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【学級通信】(高校1年:第021号)「教室の標語」の裏にある物語

2017-10-04

学級通信も書いてみると、けっこう書けるものですね。この「書く」という行為ですが、私は超が100個付くほど苦手でした。当時は、

「おれ、理系だから書けないんだよね」

とか恥ずかしい言い訳をしていましたし…。そんな私が文章を書くのを苦でなくなったのは、仕事で書くようになってからです。今でも「てにをは」はよくわかっていませんし、ワードの波線を頼りにしているレベルですが、「書く」という経験を続けることで気軽に書けるようになりました。皆さんもぜひ文章を書けるようになってください。今回の学級通信では、教室に飾っている言葉を紹介します。

1.教室に飾ってある標語

うちのクラスには、

「美しい姿勢」

という標語が飾ってあります。これは、どうすれば皆さんが授業に集中して臨めるようになるのか…と超が100個付くほどモンモンと考えた結果、決めたものです。「寝るな」とか、「勉強せよ」とか、「集中だ」とか…いろいろ考えたのですが、どれも押しつけがましいなと思って止めました。で、グルグルグル悩んだ末に、

「授業の眠気を乗り切るには正しい姿勢かな~」
「姿勢の良い生徒って勉強できる子多いしな~」

という考えに至り、姿勢に関する言葉にしました(私自身、腰を悪くしたことも影響しています)。最初は、「姿勢を正しく」だったのですが、命令感がウザい印象を与えるので、「美しい姿勢」にしました。だから皆さん机に突っ伏したりせずに、前を見て姿勢を正して「美しく」なってください

2.書道十段の世界

この言葉を教室に飾るにあたって、書道十段の三年生に「書」をお願いしました。私が、

「書道十段ってどんな世界なの?空とか飛べるの?」

と聞くと、

「空は九段から飛べます」

と返してくるようなウイットに富んだ生徒です。納得いくまで何回も書き直すらしく、頼んでから3週間かかりました。そして持ってきたときに、

「三枚から選んでください」

と言われました。それが次の言葉です。

① 杜甫は詩聖
② 理想的な市政
③ 美しい姿勢

3.教養とボケ

 頼んだもの以外は彼女なりのボケなのですが、教養のない私には、

「杜甫(トホ)は詩聖(シセイ)」

がわからずに笑えませんでした。

「さあ皆さん意味わかります?」

私はけっきょく国語の先生に国語便覧を借りて調べ、ようやくわかりました。

杜甫というのは、漢詩(漢字で書かれた中国の伝統的な詩のこと)の超有名人です。詩聖って呼ばれているくらいですからね。中学時代に習った(であろう)

「春眠不覚暁(しゅんみん)あかつきをおぼえず」

が漢詩です。で、この漢詩には韻を踏まなければならないというルールがあります。韻というのはヒップホップで言うところのライムみたいなやつですね。つまり何が言いたいかというと、「詩聖」で韻を踏んでいるのはただのダジャレってだけでなく、漢詩のルールも意識しているんだよってことです。(つ~か、すごくね?)。教養がないと、高尚なボケには反応できないのだと痛感しました。


皆さんが毎日見ている「美しい姿勢」という言葉にはこんなエピドードがあったわけです。そのうち杜甫とか李白(詩仙と呼ばれたもう一人の有名人で酒好き。杜甫は真面目)が国語で出てきたら思い出してください。ちなみに、授業以外でも美しい姿勢は大切です。立ち姿、歩き姿、何かに臨む姿勢も美しさを意識してください。

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