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sannoun
異性の友達以上、恋人未満の関係がいる人に読んで欲しい小説『男ともだち』
たくさんの本を読んで、新しい価値観に触れたり、新しい知識を身に着けたり、新しいストーリーに出会うことが読書の醍醐味だったりする。
でも同じ本を何度も読んで、深く共感し、自分中の奥底に落とし込むのも醍醐味だ。そういう本に出会うのは難しく、誰かがオススメしていたからといって自分にとってそうであるとは限らない。
千早茜さんの小説『男ともだち』は、少し女々しく、なよなよとした一面がある自分にとってはそういう本の1つだ。
関係のさめてきた恋人と同棲しながら、遊び人の医者と時々逢いびき。仕事は順調、でも何かが足りない――29歳、京都在住のイラストレーター神名葵。
彼女の日常に七年ぶりに舞い戻ってきた、大学時代の先輩ハセオ。互いに恋人がいても、なぜかいつも一緒にいた相手。理解しあう必要もないほどしっくりくる、男ともだち。
個人的に女ともだちがかなり多くて、同性の男ともだちには言えない相談とかできて大切な存在。この信頼関係はお互いに恋愛関係に発展しないからこそ生まれるもの。
でもつい心が弱ったときに、軽い気持ちでしたくなったときに、その関係性は一気に崩される。
大切な女ともだち(かなり美人だ)と飲んでいて「この後ホテルいったら、たぶん私たち一生会わずに死ぬんだろうね。まあ、行かないけど」と会話した事がある。別れ際、握手するのもおかしいし、ハグするのもおかしいけど、なんとなく「じゃっ」って感じでハイタッチをした。今を思うと、ハイタッチのわりには手が触れあっている時間が長かった気もする。でもそれでおしまい、そんな関係。
友だち以上、恋人未満のあいまいな、悪くいえば都合のいい関係にある男女の気持ちを見事に描いている。傑作、少なくとも自分の中では。