Connie Ryan Dublin Dancing 2019に行ってきた
2019年1月18、19、20日の3日間、ダブリンのグリーン・アイル・ホテルでConnie Ryan Dublin Dancingというフェスに参加してきました。日本人は僕を含めて3名。
アイルランドのセットダンスウィークエンドに参加するのはこれで2回目。このウィークエンド、30年以上続いていたものの去年は開催されず、2年振りの開催。全4回のケーリーとオールドステップやシャンノース、セットダンスなどの6つのワークショップが催されました。僕はセットダンスのワークショップとケーリーに参加しました。
このフェスを通して感じたことは以下の記事に書き連ねたので、今回はこのフェスの概要、ワークショップで扱った内容、ケーリーのセットリスト、その他所感などをメモしたいと思います。
Connie Ryan Dublin Dancing Weekendの基本情報
会場のグリーン・アイル・ホテルはダブリンの中心街から南西にバスで40分ほどのところにあります(僕は友達の車に乗せてもらいました)。宿泊費はウィークエンド価格で1名に付き€99/day。1回分のディナー付きでベッドが2つある部屋に割り振られます。僕の泊まった部屋はダブルのベッドが一つとシングルのベッドが一つの広々としたお部屋でした。一人で泊まる場合は€20/day余分に支払います。朝食・昼食はレストランで食べられます。近隣は住宅街っぽいです。
ウィークエンドの参加費は上記とは別で、参加を予め決めている場合は€40、当日支払う場合は€45です。宿泊費やレストランなどホテル内の会計ではクレジットカードが使えます。ウィークエンドの参加費はそれらとは別でキャッシュが必要でした。しかし、ホテル内にATMがあるので現金を事前に用意する必要はありません。
会場:Green Isle Hotel
参加費:€40〜
宿泊費:€139〜
交通手段:13 or 69番のバス
Connie Ryanとは?
セットダンスWSとケーリー
セットダンス・ワークショップは1日目の夜と2日目・3日目の朝で全3回。2~3時間ぶっ続けで学びます。一回のワークショップに付き課題セットが一つあって、最初にお手本を見せてもらい、その後に自分たちで踊ります。時間が余ったときは別のセットも教えてもらえました。
1/19(金) 夜 Camus Set by Séamus Ó Méalóid
1/20(Sat) 朝 Old Mill Lancers Set (& Kilgarvan Polka Set) by Pat Murphy
1/21(Sun) 朝 South Kerry Set (& Fermanagh Quadrilles Set) by Eamonn McGowan
クラスを教えるのはやはりPatさんが一番上手でした。YouTubeで聞き慣れている簡潔でわかりやすい説明とコール。South Kerry Setは、講師のEamonnが実際にSouth Kerryに住んでいる代々踊り続けてきたダンサーを呼んでのデモでした。Eamonnは今回のワークショップの主催でもあって、色々と気合いが入っていた。
教えてもらったフィガーはすべて撮影してあるのだけれど、インターネット上にアップロードすることを禁じられているので興味ある人は個別に聞いてね。
推しセットはOld Mill Lancers SetとFermanagh Quardrilles Set。SetDancePalに追加済みです。その他のセットも追々追加したい。
続いてケーリーについて。
ケーリーは1日目の夜、2日目の昼と夜、3日目の昼で全4回。各ケーリーではワークショップで習ったセットが随所に散りばめられ、定番セットの他にもNewport SetやRinkinstown Setなどメジャーでないセットもありました。
The Brian Boru
1. Corofin Plain Set
2. Mazurk Set
3. Camus Set
4. Ballyvourney Jig Set
5. Claddagh Set
6. Rinkinstown Set
7. Castle Set
8. Plain Reel Set
Copper Plate
1. South Galway Set
2. Kilfenora Set
3. Borlin Jenny Set
4. Clare Lancers Set
5. Clare Orange and Green Set
6. Innis Mean Set
7. Carrowbeg Set
8. Connemara Reel Set
Shandrum Five Counties
1. Kilfenora Plain Set
2. Sliabh Luachra Set
3. Old Mill Lancers Set
4. Merchant Set
5. Claddagh Set
6. Connemara Set
7. Derrada Set
8. Clare Lancers Set
Taylors Cross
1. Corofin Plain Set
2. Moycullen Set
3. South Kerry Set
4. Labasheeda Set
5. Caledonian Set
6. Merchant Set
7. Newport Set
8. Plain Reel Set
一番興奮したのはShandrum。セットリストが面白かったのはCopper Plate。Borlin Jenny Set, Clare Orange and Green Set, Innis Mean Set, Carrowbeg Setなど日本のケーリーでは踊られないセットがたくさんあってドキドキ・スリル満点でしたが初心に帰れる貴重な機会でした。聞くところによると、Innis Mean Setは1週間前のConnie Ryan Set Dancing Weekendで教えられたセットだとか。Old Mill Lancers Setもこのウィークエンドで初登場だったとか。
最近は定番セットをほとんど覚えてしまったのでこうした少しマニアックなケーリーはとても刺激になるし(めっちゃ予習した)、何と言っても一回のケーリーで8セットも踊れるところがたまんない。しかも途中のブレイクではワルツやクイックステップの時間もある。踊り倒せる。B.B. Jigが1回しかなかったのは物足りなかったけれどCladdaghが2回踊れたのはGood!
「わたし、セット覚えていないから不安、、、」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、難しいセットの時は高頻度でコールが入ります。講師のPatさんやEamonnや大御所っぽいおじいちゃんおばあちゃんが誇りをもってコールしてくれるので意外となんとかなる。予習が間に合わなかったセットに入るか迷っていたらPatさんと同じセットに呼ばれてキュンとする一幕も。コールがめっちゃ良くて踊るのが楽しくなるときもあったなぁ。コール大事。初めてコーラー格好いいなぁとか思ったりした。
また、ワークショップやケーリーを通して踊り方やアレンジ、小技をいくつか目にして面白かったです。日本でも東京や関西、長野などその土地特有のアレンジとか眺めるのが好き。
所感
僕がアイルランドに行くのはこれで3度目。1度目は2017年のWillie Clancy Festival、2度目は同年のFleadh Cheoil na hÉireann 2017 at Ennis。どちらもアイルランド伝統音楽、ダンスの大きな祭典であったこと、僕がまだセットダンスを覚えたてであったことで、現地の人々や文化をちゃんと観察する余裕がありませんでした。
一方、今回はセットダンスの基礎とフィガーを覚えた上での渡愛だったので、ダンスだけでなく人々の所作や雰囲気など色々なところを見たり感じたり。そこで感じた内面的な事情は前回のポストで書きましたが、その他に気になったのは以下のようなこと。
・参加者が身なりを整えて来ている
・男性は女性をとても丁重に扱う
・時にハグやキスもする
日本でも可愛いドレスやお洋服を着てケーリーに来る人はいますが、今回のフェスではほとんどの人がそんな感じでした。男性は最低限ポロシャツ着てる。Tシャツの人はわずか。
喩えるなら「高校の後夜祭で催される社交ダンス」のような日本のケーリーと「宮廷文化や貴族の社交会」を思わせるアイルランド。たぶんこのフェス自体が割と特別なウィークエンドなのでより一層そう感じた気がします。ダンスの途中ではハグをしたり、男性が女性にかしずいたり、丁寧にお辞儀をしたり、ちょっと日本ではあまり見ない動きを目にすることも。
また、全員がそうではありませんが、アイルランドのケーリーってパートナーありき、家族ありき。個体として集まるのではなく、カップルとして集まっているように見えました。集まった個々人が社交をしているというよりも、既に完成された関係性をもとに社交を始める。
考えてみればあまり前のことです。しかしそれは、かつて限られた裕福な人たちがパーティーに集まっていたような、古い時代を思わせました(ちょっと妄想入ってるかな)。実際、みんな身なりが良いし、余裕がある。
アイルランドの人々がシャツやドレスを着てケーリーに参加しているのは大好きで、僕も日夜ケーリー用のシャツを探しています。しかし、そうした文化的な事情を知ってしまうと、ケーリーに参加できるのは裕福で身なりのいい人たちばかりではないのかと思ったり。そもそも音楽だって娯楽で、楽器は誰でも手にできるものではなかったですよね。
いろんな種類のケーリーがあると思いますが、もう少し生活に根ざした飾らないケーリーが僕は好きだなぁとかとか。オシャレしてダンスするのはとても良いと思うけどね!
結びに
アイルランドのセットダンスはケルト界隈の一部で人気が集まっているものの、まだまだマイナーな文化です。アイルランドでもダンサーの多くはおじいちゃんおばあちゃんだったりします。現地の情報を日本から得るのは難しく、手探りで渡航することが多いです。この記事を通して、セットダンスを愛する日本人がアイルランドへ赴き、セットダンスへの愛を深める一助となればこれに勝る喜びはありません。是非、お話しを聞かせてください。
末筆ながらウィークエンド中に一緒に踊ったり難しい英語を翻訳してくれたり現地の情報を教えてくれたほなみちゃんに圧倒的感謝。ありがとう。友達と一緒に参加するのとても楽しかった。
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Dublin's great comeback - Sets.ie, Bill Lynch