FisdaN 2020、そして、SetDancePalで創りたかった風景
FisdaN 2020が終わってしまった。
写真や動画で思い出に浸っています。
政府の発表もありましたが、もう1週間開催が遅ければ中止になっていたところ。
感染管理の見地にたてば、FisdaN への参加は推奨されたものではないかもしれませんが、それでも僕は今年も長野へ踊りに行けてよかった。
行こうか行くまいか戸惑いはあって、それは長野へ着いてからもあったけれど、とってもとっても楽しかった。
FisdaN 2020のスケジュール
「FisdaN とは?」という方は去年の投稿を読んでね。
以下スケジュール。
1日目
・10:30-11:30 初級ワークショップ
・11:30-14:30 1st Céilí
・15:30-18:30 2nd Céilí
2日目
・ 9:30-10:30 中級ワークショップ
・10:30-13:30 3rd Céilí
・15:30-18:30 4th Céilí
・19:30~ 打ち上げ at HAKKO MONZEN
FisdaN - 1日目
初級ワークショップはBB Céilí Bandの専属コーラーの飯井大智さんが担当。「自己紹介タイム」からの「他己紹介」などコミュニケーションを重視しつつ基礎的な動きを練習しました。
1st Céilí では初めてケーリーに参加する方のために演奏はゆっくりめ、コール有り。昨年よりも参加者同士が仲良く交流している印象を受けたことが個人的にうれしかったポイント。
長野に住む人とセットダンスを通じて知り合える、仲良くなれるのがケーリーのよいところ。
伴奏は Toyota Ceili Band。
「Toyota Ceili Band は夜の演奏が強い」
という印象が個人的にあったのですが、その先入観を覆すほどの朝ケーリーでしびれました。音響もよかった。
2nd Céilíでは午前に演奏した Toyota Ceili Band と BB Céilí Band が交互に演奏、からの合同ケーリー。
BB Céilí Band はこの日初公開の Kildownet Half Set を演奏。ケーリーでハーフセットは日本国内ではとっても珍しい(推したい)。
夜は各々、晩御飯を食べたり、Red Dragon でセッション、酒盛り、、、
FisdaN - 2日目
2日目の朝は小山民子さんによる中級ワークショップから。
2日目ということもあり、参加者は30人ほど?たくさんの方がいらしていました。僭越ながらアシスタントとして僕もお手伝い。
ワークショップでは、リールとポルカのステップのお復習い、リズムに応じた踊り分け、パートナーを気持ち良く回ってもらうための足運びなどが扱われていました。
初めての方には少々難しかったかもしれませんが、「ハウスをするときに無意識でやっていたこと」が言語化されていく体験は(個人的に)とても貴重でした。
その後の 3rd Céilí の伴奏は BB Céilí Band。
2nd Céilí で練習した Kildownet Half Set を始め、面白おかしいコール、軽快なトークなど、昨日に引き続き素敵な司会でした。
人が足りていないセットをぱっぱと組ませていたことが特に印象的。ケーリーに不慣れな人はパートナーを見つけるのもセットに入るのも抵抗あるので、入りやすかった方も多かったのでは。
South Galway Set は最近ようやく体に染みついてきて好きになってきた。ハウスがたくさんできるセットだね。Castle Set は BB Céilí Band のセトリにはいつもある印象?曲がすき。
そしてお楽しみの 4th Céilí。
昨年と同じくシャッフルバンド。今年はフルートとフィドルに分かれてのコンセプト・ケーリーバンドでした。
個人的に Bm の曲が好きで、特にポルカが好きなのだけれど、North Kerry Set のフィガー2 で Finnish が演奏されたときはエモさにしびれた…
4th Céilí はなんだかとても気に入っていて録音を聞き返すのがとても好き。
ラストセットの Clare Lancers Set のフィガー3 あたりから
「FisdaNが終わってしまう…」
と淋しさが募る。
ケーリーでこの手の感情を得るのはそう多くはないのだけれど、本当にたのしい2日間だった。
SetDancePalで創りたかった風景
SetDancePal がダンサーに広く認知され始めたのは丁度2年前の今頃。松本開催の FisdaM あたり。
それから ICF と定例ケーリーを経て「セットダンスのインフラ」としての立ち位置を少しずつ獲得した。と同時に問題も生まれた。
「ケーリーの最中にスマホを見る回数が増えて、パートナーとお喋りが疎かになる」
というものだ。
こうなることは開発当初からわかっていた。
ケーリー中に SetDancePal を確認する人がいると、それとなく(開発者の僕が)非難を浴びることもあった。
これは「銃があるから乱射事件が起きる」という主張と似たようなもので、実際は事件を起こそうとする人が銃を使用するだけで、銃の有無は関係が無い。
SetDancePal を使う人はそれまではカンペを自作していただろうし、なんならケーリー前に予習をする几帳面な人だろう。
スマホだから目につくだけで、カンペを持参してケーリーに参加する人は今でもいる。
ところで SetDancePal の目指すところは、
「ダンサーがケーリー中にスマホをみる世界」ではない。
セットの8人がスタンダードなフィガーを覚えていて、不慣れな初心者が来てもみんなでサポートできる、楽しめる。そんな風景だ。
僕がセットダンスを始めた頃、フィガーをパーフェクトに覚えている人は本当に少なくて、ケーリーでは半分くらいのセットが崩壊していたような印象だった。
フィガーを覚えてコールができるようになると、セットで一緒の8人は(危うくも)楽しく踊れるものの、他のセットの練度は変わらない。
もちろん、崩壊するフィガーを楽しむことも踊り方もある。
しかし僕はみんなに上手くなってほしいと思った。
SetDancePal をつくりはじめた2017年、僕ははじめてアイルランドへ踊りに行った。
Willie Clancy Festival というセットダンスの祭典では本当にダンスが上手い人たちばかりで、はじめて参加したのにあまり戸惑わなかったことをよく覚えている。
今、アイルランドでセットダンスを嗜む人は高齢の方が多い。そして彼/彼女らはセットダンスが流行始めた数十年前からずっと踊り続けている。
10年のキャリアすら短いくらいだ。
ケーリー会場にいるダンサーはフィガーをほとんど把握していて、たとえ覚えていなくても体に染み込んだ動きですぐに対応する。
ジェントの僕がリードされることもままあった。
「ダンスってこうやって楽しむものだな」
と、そのときの僕は感じたのだろう。
いわゆる社交ダンスは男性がリードするもので、例に漏れずセットダンスも男性がリードするのだけれど、セットダンスがその他の社交ダンスと異なるのは8人で踊る点だ。
男性がリードする量が比較的少ないセットダンスでは場合によっては女性がリードすることができる。男女ともに不慣れな場合、その他の6人が助けることができる。
はじめは戸惑っていた人々も、周囲の助けで少しずつ顔がほころぶ。
トラブルが転じて笑顔のきっかけになる。
セットダンスにはそんな魅力がある。
「日本でもそんな風景が見られるといいな」と思った。
そのためには自分だけが上手いだけじゃない。みんなにも上手くなってほしい。なんなら僕の覚えていないフィガーを教えてほしい。
「だれもが安心して踊れるケーリー会場になるといい」
その礎になることを目指したのが SetDancePal(セットダンス仲間)だ。
今年の FisdaN では、去年よりスマホを見ている人が少なかったように感じた。それは、ベテランの方々が助けてくれていたからだろうし、あるいは、みんなが単純に上手くなったからかもしれない。
ケーリー中、他のセットのダンサーからフィガーの動きを聞かれることも何回かあった。それらのダンサーは自分のセットに戻り、同じセットの人に向けて説明していた。
そうした風景は僕がずっと見たかったものだ。
おわりに
今年の FisdaN では東京、長野のダンサーをはじめ、大阪、名古屋、広島からもダンサーが来ていた。
長野は日本の真ん中にあるので人が集まりやすいらしい。
東京以外のケーリーで各地のダンサーと会える・知り合えるのはなんだか嬉しい。
終わって数日。録音をたまに聞き返しながら、Flute Ceili Bandの文字通り"息の合った"ブレスや、ケーリーの度に味わい深くなる加瀬 早苗さんのピアノ、踊っているときにふと訪れる気持ちの良い時間のことを思い出す。ピンチヒッターのみっちーはかっこよかった。
去年の FisdaN も、今年の FisdaN も、とってもたのしかった。
開催してくれたバンドメンバーの方々には感謝をしてもしきれない。ダンサーとしてこれほど楽しいイベントは日本で他にない。
参加者として、できる限り力になりたい。
これからも(無理のない範囲で)続いてほしい。
それといーちゃん、今度はシャンノースでアレやろーな!!
「信濃の国」てぬぐい、売ってるよ
2nd Céilí、和服
今年は会場でビールが飲めました。
おまけ
長野へ行ったら「アイルランド音楽サウナ部」
長野県信濃町にあるゲストハウス Lampでプチケーリーを開きたいと考えています。ダンスが好きで長野までフッ軽な貴方、サウナ・ケーリーやろうぜ!!!