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口にする一切れの寿司から始まる旅 近畿大学水産研究所の挑戦と養殖魚の世界
一口に食べる寿司が溶けていく瞬間、その風味を心から堪能することでしょう。でも、今、あなたが口にしている海の恵みであるクロマグロはどのようにして私たちの食卓にたどり着いたのでしょうか?彼らが私たちの前に現れるまでの壮大な物語を紐解きましょう。
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近畿大学は2002年に世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功しました。新聞でも大々的に取り上げられ、この研究成果は日本の食文化を守るとともに、全世界から賞賛を受けることとなりました。クロマグロの漁獲規制が世界的に強まる中、これは新たな道を開いたと言えるでしょう。
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その成功から20年、近畿大学はマダイ、クエ、ヒラメ、ブリなど、20種類以上の魚の養殖に成功しています。そしてその味を消費者に直接届けるため、大阪と東京に養殖魚専門の料理店を3店舗出店しました。「近畿大学水産研究所」として、私たちが美味しい養殖マグロを味わうことが可能になりました。
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そして2020年夏、新たなる挑戦が始まりました。「近畿大学水産研究所 はなれ」が東京駅内の「グランスタ東京」にオープン。これは銀座、大阪北区に次ぐ3店舗目となります。
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ここでは、近畿大学で育てられた「鷹島本まぐろ」や、「ふかうら真鯛」、「近大シマアジ」など、多彩な養殖魚の豊かな味が提供されます。特に、「マグロづくしの手桶寿司」は、大トロ、中トロ、赤身といったマグロの美味しさが堪能できます。
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近畿大学が水産研究所を設立してから70年以上。その間にハマチを含む多くの魚種の養殖技術が確立され、その成果を私たち消費者に届け、日本の食文化を育んできました。今、その研究成果を全世界にPRするために、「近畿大学水産研究所 はなれ」が東京駅に登場したのです。
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次にあなたが養殖マグロの刺身を口に運ぶ時は、その美味しさを味わいつつ、その背後にある物語も思い起こしてみてください。食事はただの栄養補給だけでなく、文化、科学、そして私たちの生活が交錯する場なのです。