「海」
改札の向こうに麦わら帽姿の君が立っていた。「遅れてごめん」と云うと、君はふくれっ面を緩めて笑顔を見せた。蝉の声が響く海岸通の道を、二人で歩いた。やがて、視線の先にキラキラと輝く海が見えてきて、君は息を漏らした。二度とはないこの瞬間を、僕は心に焼きつけた。 #140字小説

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