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ある閉ざされた雪の山荘で

鑑賞:2024年1月@TOHOシネマズ新宿

甘えを感じます。

山荘で泊まり込みで行われる劇団のオーディション。劇団員6名と、劇団外から参加する主人公、合計7名のお話です。随所に、形式に頼った言い訳のような設定、展開、キャラクターの振る舞い。エンタメだから、ショウだから、というエクスキューズに寄って立つ作品でした。

のっけから、アイマスクしたままバスから降りるという非現実的なシーンが展開され、海岸沿いの貸別荘を雪山の山荘ということにするところから、嫌な予感を感じました。
最も不満なのが、回想として入る劇団員3人の行動。なんで田舎に帰った者のところにノコノコ行くのか。
雑すぎて作品への嫌悪が顕著に。最終的には、芝居でしたと。だから雑なんだと。…そんな嘘には乗れませんよ。

とはいえ、役者さんは見ていたい人が多くて楽しめました。
重岡大毅さんの、目立ちすぎない主人公感は当たりだと思いました。
岡山天音さんも独特なキャラを上手く出されていて良かったのですが、ちょっと飛び道具的に起用されている感じもあって、そんな扱いしないでよね…などと思ってしまいました。
間宮祥太朗さんのビジュアルがキリっとしていて、人気・実力のある舞台俳優という役はピッタリでした。画の説得力が大きいです。
西野七瀬さんが社長令嬢で、評価が下駄履いてるという役ですけども、やっぱりカワイイは正義でした。
みんな、こういう劇団員いそうだなというメンバー、しっくり来ました。

映像としても楽しめました。どうしても説明的に見せなきゃいけない作品なのに、飽きないように、凝りすぎないように、ライトに、しかし真剣に、作っておられると思います。

どうですか、貸別荘の2階で種明かししているシーンで、各キャラがキレイに揃って並んでいるような画は。狙ってそんなステージの上のような立ち位置にしているのだと思います。けれど、それが原作のエッセンスに起因するのだと思うと、無念な気持ちが湧き上がります。
そういうところから汲み取っても、映画クルーは原作をリスペクトしてキッチリ作っておられると感じます。

全体として、劇団員や劇団の扱いが悪いと感じます。
これ、原作があまり良くないような気がしました。

▲原作本。

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