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PERFECT DAYS

鑑賞:2023年12月@TOHOシネマズ新宿

映画に求めているもののひとつ。
名前と賞が大きくて、事前に心構えを悩ませてくれました。拝見すると、見事な実直表現。「そういえば、映画ってこうだったな」と思ってしまいました。

無口な清掃員の主人公。それを役所広司さんが演じられているのが、また魅力的。表情でこんなに魅せてくれる。

日と影。木洩れ日。重なる影。
織りなす人々の関わりを普遍的なビジュアルで訴えてくれる。
主人公の変わり映えなさそうな営みの機微。朝、ホウキの音で目が覚めて。霧吹きで苗木を濡らせて。流しで歯磨きして。自販機でサントリーボスを買って(!)。軽自動車で墨田区から渋谷区へ向かい。公衆トイレの清掃を始める。利用者が現れたり、休憩中にごはん食べたり。そんな中、木洩れ日に向けてフィルムカメラを向ける。芽が出た木を分けてもらったり。なんとでもない日を通して、東京という街と、そこで暮らすひとりの男が見えてくる。

同僚の男女関係に巻き込まれつつ、行きつけの飲み屋でまた自身の男女関係に揺さぶられる。出会った男と影絵踏み。明かされる事情。転がり込む姪っ子。照らされる主人公の内面を表情で語る、そんな役所広司さん。

特別でもない日が、特別だったりする素敵な作品でした。
あまり他の方々の評をここには書かないようにしているのですが、「サブカルおじさんの孤独な歳の取り方」というような評を見て、いや、これホントそうだし、生き方を考えさせられます。これだけ映画を見に行っている今の私としまして。果たして、その部分としてはステキなのでしょうか。

スポンサー事情の織り交ぜ方が、また上手いです。これは、恐れ入りました。いろんな素敵な公衆トイレの数々が登場して、感心しました。

▲役所広司さん主演「すばらしき世界」。ちょっと、近いわけではありませんけれど、それほど遠くない作品トーンかなと思います。

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