雑魚どもよ、大志を抱け!
鑑賞:2023年3月@新宿武蔵野館
とーっても、とーっても、良い作品。
ですが、とーっても、とーっても、長いです。
「昭和の小学生あるある」が、そこかしこにあって、ノスタルジーに浸れます。
新作ゲームの発売日に学校休むとか、定番すぎて笑うのですが、またPCエンジンとか言わせてニヤニヤしてしまい、沼に引っ張られていきます。
冒頭、見事。主役の小学生を家族との掛け合いで登場させ、親から詰められて屋根から脱出、ほかのメインキャラとなる小学生たちをひとりひとり順番に引き連れていき、イタズラさせていく。駄菓子屋で叱られ、学校で叱られ、やんちゃしまくります。どのシーンも魅力的で、ちょっと間違えれば「早くイントロ終わらせてくれよ」と思っちゃうぐらいの流れなのですが、それぞれの出来事は憎らしいぐらいキャラを表していて、テンポも大変いいのです。教科書に載ってそうな脚本とでも言いましょうか。楽しませてくれます。ありがとうございます。
事前情報で、長回しショットが多いと知っていたのですが、小学生役ばかりの中で緊張感を出すこと、芝居することに大変良い影響が出ていて、こういう長回しは良いなと思わされました。
しかしです。良い長回しが多いということは、それだけ作品が長くなるということで。2時間24分ですよ。目を見張るシーンが多いとはいえ、中だるみがなかったかというと、ちょっとクチごもります。良いんですけど。長いことがプラスになってると思います。でも長いんですよ。RRR作るぐらいのシナリオをおつくりになってると感じるんですけどやっぱり長いんです。RRRでも感じました。くどいですが「良いんだけど長い」。しょうがない。
キャラクターが立ってるのが更に良いです。
田代輝さんがめっちゃ芝居します。スゴイです。彼を起用したことはいくつかある鍵の1つに間違いありません。
岩田奏さんも良い。ほかの子と雰囲気が違うのが、めっちゃ良い。しかも一人で映画見に行く小学生って…どういうこと…スクリーン読んでるし(狼狽)
臼田あさ美さん・浜野謙太さんの両親っていうのが、また良いトーンなんです。みんなキャラを出すところは出すし、オフビートにすぐ戻れる。
終盤は、うーん、そう来たか、そうなるよなあ…と思うんですけども。ベタをきっちりやりきる姿勢、付き合える嘘。前後編に分けて、見やすい仕上がりにしてほしかったです。
そんなことより、主題は「弱虫」なんですけれども。みんな弱いかな?こんな小学生、じゅうぶん強いです。母親を巡って、弱さについて照らし合わせたり、暴力親とか地域のジャイアン的なヤツとか、それに対して弱虫かというと、はじめからそう感じられないのが、ちょっと計算違いではないでしょうか。言われてみれば弱虫のようにも見えるんです。でも、それってすでにジョースター家に生まれたぐらいのノリで、そんなことないんです。キャラクターを立たせて物語をドライブさせる方が勝っていて、弱虫さ加減が、拾いきれなかった気がします。
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