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不死身ラヴァーズ

鑑賞:2024年4月@テアトル新宿

優しく付き合いたい嘘。
短調と長調の不思議な掛け合わせです。落ち着いたトーンの画づくりとキラキラ輝く見上愛さんの真っ直ぐキャラが合わさった特異なラブストーリー。原作漫画は拝見していませんけれど、これまた難しい嘘をついています。

正直、感想に困る作品でした。前半のストーリーは見事なハイスピード展開で要所しかありません。両想いになったら相手が消える。それをおかしく見せてくれるのですが、これ以上短くできないだろうというぐらい最短時間でセットアップ。何を写しているのか、と同時に、何を写していないのかも考えながら見ると「難易度の高い話やな!」と感じます。主人公の幼馴染は出てくるのに、家も親も出て来ません。ものすごく偏った視点で描かれています。最後まで見れば、「なるほど偏るわけだ」と合点がいきますけれど、んー、表現する側にとっては面白そうだけれど、我々見る側にとって面白いのかが悩ましいぞ、なんて思いました。そこが感想に悩むところでした。

特筆すべきは主役の見上愛さん。この漫画原作なコミカルキャラを一手に引き受けて、ずっと牽引しています。まごう事なき主人公です。少し間違えればお飾りになりかねない軽さや危うさを感じるお話でしたけれど、シッカリ見上さんが見せつけてくれました。

ロケ地も音楽も素敵です。特に音楽は作品トーンを支配していて、ある意味では卑怯なのかもしれません。

役者さんや監督を見ていても、作品のラブストーリーの味付けを見ても、「世代交代」を感じました。

後半で、両思いになった相手が消えるカラクリが判明しますが、そこは受け入れられます。ただ、佐藤寛太さん演じる恋人の特殊な事情だけは入っていけず、ちょっと人を選ぶ作品だと思いました。

追伸
舞台挨拶で監督・松居大悟さんをお見かけしました。昨秋、南座でお見かけして以来でしたが、なんだか同一人物な気がしない不思議なお方でした。もっとお話を聞けるチャンスがあれば、また伺いたいです。

▲原作。上映会で、どうみてもご本人が隣にお座りでした…。

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