カラオケ行こ!
鑑賞:2024年1月@TOHOシネマズ新宿
決戦はスナック
日常と非日常の境目が分からなくなる新しいトーンの作品でした。原作パワーと、大阪の異世界感が成立させていると思います。混ざることの無かった人々が、混ざってしまっています。
綾野剛さんがヤクザ役でカラオケ熱唱するだけで、いくらでも見ていられます。そこに、齋藤潤さん。真面目そうな合唱部の部長で、ヤクザとなぜか縁が出来てしまう。街でバッタリ。これは大阪の為せる技です。齋藤潤さん、良かったです。
歌わなくなった部長が、スナックでのカラオケ決戦に乱入して、激唱する姿、まごうことなきクライマックスでした。こんなに異色なキャラの交流が微笑ましいとは、ニクイです。
メインキャラ2人で引っ張っていきます。それぞれに、組長(社長)の前でカラオケ歌って褒められなきゃいけなくて、練習する事情、成長期で声変わりする中、合唱コンクールで歌わなきゃいけない事情。日常のようで、非日常のようで、そのどちらなのか見ていても翻弄されます。
単に仲良し、という関係性ではないのが全て。歌うという趣味を題材に、混ざらないはずのキャラ2人が出会い、親交を深める。
「これからは趣味の時代だ」とおっしゃっていたらしい、森田芳光さんの映画「僕達急行A列車でいこう」を連想しました。
趣味は混ざらない人々を組合せてしまうパワーがあります。そんな素敵なパワーを楽しめる本作、おすすめです。
▲シナリオブック。野木亜紀子さんの脚本を完全収録。