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「建前的」の判定が出たら不採用。急成長ベンチャー「M&Aクラウド」が過去のミスマッチから得たもの
Jobgram(ジョブグラム)を導入いただいている企業の方に、採用の課題や導入してから感じた変化、組織を作る上で大切にしていることなど、採用にまつわるさまざまなお話をご紹介いただきます。
今回お話を伺ったのは、株式会社M&Aクラウド代表の及川 厚博さん(以下、及川さん)です。
会社紹介|株式会社M&Aクラウド
2015年12月創業。「テクノロジーの力でM&Aに流通革命を」をミッションに、オンラインM&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」を運営営。従来の仲介モデルから発想を転換し、業界初となる求人広告型M&Aプラットフォームのビジネスモデルを構築。サービス開始後わずか3か月で9.2億円のディールが成立。2020年11月時点で、売り手企業の登録数が約3,500社を超え、掲載する買い手企業の記事は300社を突破。
2021年2月には、企業成長に向けたM&Aや資金調達、資本業務提携等のアライアンスをハンズオンで支援する新事業部「M&A Cloud Advisory Partners」、通称「MACAP(エムエーキャップ)」を設立した。
現在の社員数は、41名。
●以前の課題
・採用面接の基準を定量化したい
・採用データを蓄積したい
●効果
・組織拡大(1年で約2倍)
・前期黒字化を達成
現在の採用フロー
書類選考→一次面接→二次面接→Jobgram→最終面接
Jobgram適性検査の平均利用回数 :約10回 /月
30人の壁を超えるため、バリューを新しく
ーJobgramをお使いいただいておよそ1年くらいですが、当初の社員数は20名ほどでしたよね。
及川さん
そうですね。現在は41名なので、この1年で倍くらいメンバーが増えています。
ー急速に組織が拡大する中で、感じた課題や懸念はありましたか?
及川さん
「バリューの浸透」ですね。
いわゆる“30人の壁“にそろそろ当たるフェーズに来ていて、会社のバリューが浸透しきれていない実感がありました。
人が増える中で、経営陣が思う方向性に事業が進まない場面が出てきたんです。メンバー数がまだ少なかった頃には感じなかった細かなズレみたいなものが生まれていました。
ーどういった場面で、そのズレを感じたんでしょう?
及川さん
例えば、ざっくりした指示では想定と違う方向に進んでいってしまったり。考え方や感覚が似ている人だけで集まっていた頃はそれでよかったんですけど、もうそれでは成立しないフェーズに来ているんだなと。
あとは、ちょうどコロナの影響で新しいメンバーたちとほとんどface to faceのコミュニケーションが取れず、オンボーディングに失敗したこともズレを生んだ一つの要因かなと思います。
ーそういったズレをどのように解消していったんでしょうか?
及川さん
現状のM&Aクラウドに合っていないバリューや、体現しづらいバリューが多かったので、このタイミングでバリューを新しくしました。
▼M&Aクラウドの新しいバリュー
「企業価値最大主義の1・2・10(ワンツーテン)」
及川さん
ちょうど先日、言語化の一環としてバリュー刷新についてのnoteを公開しています。
及川さん
noteで詳しくお話ししていますが、人数が増えるとコミュニケーションコストが上がりますよね。30人の壁にぶつかる前に、評価制度をちゃんと作りたいと思ったんです。そのためには、まずバリューの刷新が必要でした。
バリューを体現したメンバーを評価するためには、そもそも「体現できるバリュー」「使われるバリュー」を作らなくてはいけないなと。
ー新しいバリューは社内で浸透してきていますか?
及川さん
そうですね。noteで言語化できましたし、すでに社内でバリューのワークショップを開催したり、「1・2・10(ワンツーテン)」を指で表すバリューポーズを作ったり、さまざまなアプローチで浸透を図っていて、今後も継続していく予定です。
採用の失敗をきっかけに信じた「建前的」の判定から見えること
ー前回インタビューした際には、「自身の判断に対するセカンドオピニオンとしてJobgramのデータを参考にしている」とお答えされていました。
ー現在は、Jobgramの診断結果を、採用の意思決定にどの程度反映されていますか?
及川さん
以前と大きくは変わらないのですが、嘘をついていたり、誠実に回答していない人に表示される「不良回答」のラベルが出たら、基本的に不採用にしようというスタンスでいます。
▼不良回答ラベル「建前的」の例
ー不良回答の判定を重視するようになったのには、何か理由があったんですか?
及川さん
一定期間Jobgramを使ってみて、Jobgramの分析結果が当たっているなという実感はあったんですが、ある時決定的な出来事があって。
経歴も面接でも優秀そうな人なんだけど、言葉にできない不安や不信感のようなものを感じる候補者の方がいて、Jobgramでも「建前的」の判定が出ていたんです。
その時に「この採用がもし失敗したら今後はJobgramを信じよう」と決めてオファーを出したことがあって。実際にその方とは全く上手くいかなかったので、そこから不良回答のラベルが付いた場合は、基本的に採用しないという判断をしています。
ーそんな出来事があったんですね……。不良回答の中でも特に「建前的」のラベルが付く方は、トラブルになったり入社後の活躍率が著しく低い傾向にありますね。
及川さん
やはりそうなんですね。
性格診断は、自分の診断結果を見たときにすぐ「この診断は当たってるな」と感じましたけど、今話したようなことは実際に採用で使って色々試してみないとわからないかもしれないですね。
Jobgramで気に入ってるところは、分析の精度とカスタマーサポート
ーJobgramを1年ほどお使いいただいて、他のサービスと比べて特にいいなと感じていただいている点はありましたか?
及川さん
やはり診断結果や分析の精度が高いところですね。当初は、「性格診断は、採用の意思決定を直接左右しないから、そんなに意味ないのかも」と考えたりもしたんですが、さっきお話したような失敗を体験してから、みんな「Jobgramを信じよう」というスタンスになりました。
及川さん
少し前からアドオンで利用している相性分析の結果も信頼度が高いですね。採用でもマネジメントでも結構参考にしていて、「メンバーとの類似度」の項目を特に活用しています。
性格傾向と面接での印象が大きく異なる候補者の場合、どういう人なのかイメージが掴みづらかったりするんですが、社内のメンバーと比較して解説されているのですごく理解しやすいです。
▼アドオンで提供している相性分析の例
▼診断結果に表示される「社内メンバーで性格傾向が似ている人」の例
及川さん
あとは、カスタマーサポートがいいですね。質問や相談したいことがあったらSlackの共有チャンネルで連絡するんですが、とにかくレスが速いし、新しい機能についてのお知らせなども定期的にシェアされてわかりやすいです。
▼実際に送られた新機能リリースについてのお知らせ
ーありがとうございます! では、以前と比べてJobgramの使い方で変わったことなどはありますか?
及川さん
採用よりマネジメントで使うことの方が増えましたね。診断で性格傾向を理解して、それをもとにマネジメント方針を考えたりしています。
それぞれのメンバーが持っている特性を、Jobgramでしっかり把握した上で、どういうコミュニケーションを取るべきか考える感じですね。
ー組織作りにおいて、Jobgramが役に立った部分はどのようなところですか?
及川さん
まだ大きな事故が起こっていないし離職率もそこまで高くないですが、Jobgramの効果は離職率の改善というよりも、「組織崩壊を防ぐための保険」のような感覚があるんですよね。
使い続けることで大きな事故が起こらない、もし事故が起きたとしても「人事を尽くしてる」と思えますし。
あとは、Jobgramがあることでマネージャーがマネジメントしやすくなってる実感はあります。採用やマネジメントのPDCAがまわりやすくなってるので、そういった面で役立っています。
ー実際にマネージャーの方々の反応はいかがですか?
及川さん
「1on1はどうしても主観が入りがちだけど、Jobgramの診断結果が裏付けになるから安心感がある」っていう声は上がっていますね。
ー最後に、及川さんにとって理想の組織とはどんな組織でしょうか?
及川さん
みんなでミッション・バリューを追っていて、M&Aクラウドで働いていることをみんなが誇りに思ってくれるような組織です。
そういう会社は、きっとリファラル採用も上手くいくでしょうし、OBもずっとファンでいてくれるような会社にしたいですね。
ーありがとうございました!
【補足解説】建前的とは
特徴ラベルの一つである「建前的」は、診断の設問に本音で回答していないか、「私はこうあるべき」という理想が非常に強い場合に、診断結果に表示されます。社会心理学では、「社会的望ましさ」とも呼ばれている項目です。
人間誰しも「他人からよく見られたい」という願望は少なからずありますが、「建前的」な人はその傾向が極めて高くなっています。
特徴
・ 実際の自分よりも、「理想の自分」をベースに話を進めてしまう
・そのため実力が追いつかず、結果が期待を下回ることが多い
・失敗した際に、隠したり取り繕おうとする傾向がある
「建前的」=活躍しないということではありませんが、期待と実態が乖離しやすいため、採用ミスマッチのリスクは非建前的の人のよりも高くなります。
また「建前的」の他に、「連打回答」「優柔不断」「矛盾回答」の不良回答ラベル(性格ラベルの一種)がありますが、いずれも候補者は真摯に回答していないと判断できます。
お話を聞いた人
株式会社M&Aクラウド
代表取締役 及川 厚博さん
思考パターン:完璧合理主義タイプ(RA型)
行動パターン:挑戦重視