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【アジャイル】DevLOVEイベント:右手に「正しいものを正しくつくる」、左手に「組織を芯からアジャイルにする」(右手編)

DevLOVEの市谷さんのイベントに参加しました。

右手でプロダクトを掴み、左手で組織を変える

市谷さんの代表的な書籍「正しいものを正しくつくる」と「組織を芯からアジャイルにする」を扱ったイベントになります。

握っているプロダクトが何故組織を変えるのか?は、市谷さんのこれまでのアジャイルに資する活動、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進・支援を通じて感じた、それらを妨げる「組織の分断」として、組織に「芯」がないこと、それは組織として成り立っているWHY(なぜ我々はここにいるのか?)が無いことが原因であることにたどりつきます。

しかし本来最初にあるべき「芯」がないところを改めて作り出すのはとても大変です。そこで市谷さんの提案としては、組織(企業)が顧客に価値を提供して利益を得ている源泉である「プロダクト」に着目し、「プロダクト作り」を通じて芯を探しに行こうというものです。
(ここでいうプロダクト作りは、単に開発だけではなく、企画や運用などプロダクトを生み出す周りも含めた全ての活動を意味しています)

そしてプロダクト作りに欠かせないは提供先の顧客であり、その顧客に提供する価値、そして作り出すチームです。自分たちだけで分断を乗り越えられないのであれば、プロダクト作りを通じて顧客や社会との対話することが必要になります。
そして対話によって探索された課題やアイディアに適応したプロダクトで、顧客や社会に価値を還元することになります。

このプロダクト作りが分断解消の足がかりになり、その際に拠り所となるのが、まさに市谷さんの書籍「正しいものを正しくつくる」になります。
市谷さんのが仰る中で興味深いのが「分断を解消する組織改革こそ、仮説検証である」ということ。プロダクト作りも、今のVUCAな時代に本質的な価値を提供するには仮説検証が重要であるため、仮説検証とアジャイルによって探索と適応を繰り返していくプロダクト作りを始めることで、自分たちの芯を見つけていこうと仰っています。

そのヒントが書籍「正しいものを正しくつくる」に込められています。

世界の中で「整合」を取る

イベントで市谷さんが話された内容で、印象的なものを書き出していきます。

  • 「正しいものを正しくつくる」とは、世界の中で「整合を取る」こと

    • 整合されるものと、整合するもの、この両者が一致してはじめて価値がうまれる

    • 整合は様々な角度(観点)から光を当てて少しずつみえるようにしていく

    • か・かた・かたちの整合を取る。課題(か)ー機能(かた)ー形態(かたち)。整合を取って価値(かち)を導く

  • 仮説が立ったら検証。検証で確かめるのが整合。整合とはFITのこと

    • PSF(Problem Solution Fit)やPMF(Product Market Fit)のFIT(フィットしているとはどういう状態か?)の言語化が必要。言語化できないなら、何を目指しているか曖昧であり、達成しているかの判断もつかない

    • CPFのCはCustomer(顧客)ではなくContext(状況)

      • Context Problem Fit

      • Cを顧客とすると顧客属性に囚われてしまう

  • 仮説が浅い・弱い・薄い問題

    • 解像度が足りない(浅い)、それは状況のイメージがついてない

    • 切実さが足りない(弱い)、相対的な影響を受けるから

      • 想定する状況課題の中で、優先度の高い課題に取り組む

    • 仮説が足りない(薄い)、仮説を前提にした展開がないから

      • 優位性を獲得しそれが次にどう活きるのか?

      • 部分ではなく、全体で優位性を見いだす

  • MVP(Minimum Viable Product)は学習手段であり、それと価値提供は別もの

    • MVPでプロダクトにして価値提供してしまうと、そのプロダクトを売れるようにしようという間違った動きが起きる

    • MKP(Most Knowledgeble Product)、価値提供のために最大限学習結果を踏まえたプロダクト

    • SPF(Solution Product Fit)でMVPからMKPに転換する

  • 価値提供を開始してからも整合はとり続ける

    • ユーザの課題が移り変わる、プロダクトの技術負債解消、チームの健全性。ユーザ、プロダクト、チームの3つの整合性。

    • これは新規事業だけではない、既存事業も整合が必要。価値向上の余地を見いだす

  • プロダクトから発見や導きがある

    • 例えばデータからユーザの認識していない課題を発見できる

    • あえて不整合を作ること

      • 価値を拡げていくためにユーザを変える・ずらす。新たに生まれる必要な価値をプロダクトに反映する

      • プロダクトが変化を作り出す

        • プロダクトの提供と利用によって発生する行動変容、状況変化をベースに次の仮説を作る

  • 「知行合一」…行動を伴わない知識は知らないと同じ

参加してみての感想

基本的には「正しいものを正しくつくる」の内容を理解し、共感してこれがプロダクト作り(価値作りも含む)をうまくやるうえでの期待や突破口になりそうと感じている人には、市谷さんの言葉はどれもしっくりくると思います。

特に、実際に企業や組織の中でアジャイルの普及活動やDX推進、価値創造のための仮説構築・検証に携わっている人間なら、やり方としては正しそうでやればよさそうなのに、それでも何故企業や組織は変われないのか?という壁に阻まれている人(それはまさに私自身)には、よくぞ言語化してくださったと思えるような内容です。

「整合を取る」というのは、まさしく「探索」と「適応」を繰り返し、そこからの知見の積み上げとチームと組織の成長・醸成のことを仰ってるのだなと思いました。その積み上げが架け橋となり、提供価値とプロダクトの間にあるギャップを埋めていくことになります。
特に「整合」というのは「適応」のことでもあり、ギャップを埋めに行く活動になります。適応する先、つまり整合を取りに行く先とは、取り組む課題でもあり、提供する機能やソリューションでもあり、顧客であり、自分のチーム内でもあり、チームの周りのステークホルダーや関係者でもある。

そう考えると「整合を取る」という動き方はとても複雑で重たいものになりそうだなと思いました。これに気づいてしまうとあまりに大変でくじけてしまいそうですが、「何も分からなかったことから、(たくさんあるけど)何をすればよいかがある程度分かるようになる」ことが大事であり、地道に愚直に、どこから攻めれば最も効果的か?を、これもまた仮説検証の繰り返しから見いだしていくことになるのかなと思います。

その動き方を習慣的に行い、諦めずに、自分やチームの成長を感じながら希望を持って動き続けていくための拠り所になるのが、「アジャイル」なのではないかなと改めて気づけました。

※よくよく考えると「正しいものを正しくつくる」を右手にしているのは、「RIGHT(正しい、右)」とかけてるんですかね?深読み過ぎ?

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