【カルチャー雑感】2024年02月04日~10日の書籍、映画、ポッドキャスト
この一週間でふれて、印象に残ったものの感想です。
書籍
井上荒野「錠剤F」(2024)
「孤独」をテーマに描かれた、10の短編からなる一冊。おどろおどろしい装丁が物語るように、救いようのない話が多い。SNSでの誹謗中傷やマッチングアプリなど、いつの間にか日常に侵食しているものをテーマにストーリーを描いているが、似たような社会的事例がパッと思いつかないのが特徴でもある。小説というのは、読み手が楽しむ、消費するものだという認識だったが、この本は向こうから読み手の腕を掴んでくるような、そんな感覚がある。
詳しい感想は、こちらのRadiotalkでアンナ・カリィさんという方と話しています。
映画
「ファースト・カウ」(ケリー・ライカート/アメリカ/2023)
BGMが良いなと思って観ていたら、そのうち曲が鳴らなくなって、セリフも少ないので、どんどん静かな映画になっていった印象。それ故に緊張感のある作品に仕上がっていた。描かれているのは「貧富の差」で、貧しいものがお金を得るためには、悪事に手を染めるしかなかったのかなと考えてしまう。変な関係で結ばれたバディものだと思って観ていた。
ポッドキャスト
こんプロラジオ「#30 一月の終わりのハーモニー」
Base Ball Bearの小出祐介さんと、ライターの南波一海さんの雑談ポッドキャスト。お便りがきっかけで始まった「批評」についての話が深くて面白かった。
今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?
「日高が語る、身の毛もよだつ恐怖体験…」
以前収録していたものの、配信するにはあまりにも危険すぎるということでお蔵入りになっていた、日高さんの恐怖エピソードが、安全だということの確認が取れたのでようやく蔵出し。冷静なトーンで話す日高さんと、それを聞いて叫びまくる藤原さくらさんの対比が、面白かったと言って良いのかわからないけど面白かった。