考えること中心の男性社会で「感じる知性」を活かすには? ~羽黒山伏と考える、答えが出ない「問い」への向き合い方⑤~
2018年12月12日に行ったイベント(「感じる知性」を取り戻そう! 羽黒山伏と考える、答えが出ない「問い」への向き合い方)の内容、ほぼ原文そのままです。
*写真の一部は下記からお借りしています
○「感じる」はどこから来るのか?
渡辺:そろそろ皆さんのご様子、聞いてみましょうかね。じゃあ・・・何を感じたかというのをお聞きしてみますか?
星野:どうぞ。
渡辺:じゃあ、「前半のお話を聞いて感じたこと」とか、聞いていると普段の仕事とか日常の現場での課題感とリンクするようなお話があったのかなと思ったんですけど、特に細かく整理するようなことは今日はしないので、出てきたことをいろいろお話頂ければなと思います。こういうのはどうですかね、「出したい」という気持ちが出てきたら出してもらう感じに。
星野:そうだよ、そう。誰かやってよ。
渡辺:(笑)良かったら。
(編注:数秒「シーン」とした時間が経ったところで)
星野:静かだねぇ。
渡辺:静かですなぁ。
星野:なんかどんどん出るのかと思った。
渡辺:そうですね。話は盛り上がっていましたけど。
星野:考えないでいいんだよ。考えるから喋りたくなくなっちゃう。そう、大体そうだよ。「どうですか?」って言うとなんか。
渡辺:そうですよね。あ、お願いします。
参加者:え? 私が?
渡辺:(笑)。手を挙げて振るみたいな。ああ、もう全然楽に。
参加者:じゃあ、あの、まとめていないですけど適当に喋ります。
渡辺:適当でいいです。
参加者:私、最初にちょっと思ったのは、先達の話を伺って思ったのは、「感じる」という言葉をうかがって、例えば「痛い」とか「痒い」とか、それを「感じる」という言葉からイメージしていたんですけど、話を聞くとちょっと違うんだな、と。
むしろ、中から何かもっともっと深いところに何かが入ってくるようなもので、それでオガワさん(編注:同じグループの参加者)が言ってくれた話を参考にしてすると、むしろ、「感じる」というのはどこかから自分に入ってくるんだ、と。それがバーッとビジョンで見えたり、なんか言葉が思い浮かぶなり、自分よりも外から入ってくるというアイデア。
まあ、お2人、オノデラさんとオガワさんと同じような話が出るんですけど、それはどうかと言うと、山の中に入って行くと、黙って入って感じ・・・言葉は先達の言われる「感じ」ですけど、その何かいろんなものが、自分をプロテクトしている鎧みたいなものをどんどん外していくと、どんどん入ってきて、それを感じて、それは言葉にする必要はなくて、腹の中でその言葉という「感じる」ということが「感じる」なのかな、という話を3人でしていました。うまくまとまらないですけど。
渡辺:いえいえ、ありがとうございます。山に入ると鎧が取れる。
星野:うん、だからそれはね、これは表現の仕方だ。今の話はね。「感じる」ということの表現の仕方。「外から来る」というふうな表現をした。それでいいと思います。
渡辺:ありがとうございます。先達の「感じる」はどこから来るんですか?
星野:それは自分から出てきます。
渡辺:こういう感じなんですか?
(編注:自分の中から湧き出てくるようなジェスチャー)
星野:だから「言霊」と言う。自分から出てくる。だから「降りてきた」とかと言うと一昔前のスピリチュアル的発想になってくる。降りてくる。だから俺、あまり「降りてくる」という言葉はあまり言わない。結局、自分から出た、「感じる」というのは自分から出る。
渡辺:それは先達流?
星野:うん、だから表現の仕方。それはそれで表現としていいんじゃないですか。
○「よく考えて決める」<「直感で決める」!?
渡辺:どうぞ、どうぞ。ぜひ、ぜひ。目線がすごくワーッと来た。
星野:うん、良かったじゃない。
参加者:まとまってないんですけど。
渡辺:全然いいんです。
参加者:●●●●●●●●●●●●●●●(編注:声が遠くて聞き取れず・・・コメントくださった方、申し訳ありません。他の1名の方もです。「こういう内容を話しました」とご連絡いただきませんでしょうか。追記いたします!)
渡辺:私、昔、転職情報誌の編集者をやっていたことがあって、転職して幸せになっている人、たくさんたくさん取材をしたんです。今もそうですが、当時も「転職はよく考えて」みたいなフレーズってよく言われていて。でも、たくさん取材して、転職して幸せになっている人は、よく考えていない、ということが分かったんです。
じゃあ何だったかと言ったら、「直感で決めているだけ」なんですね。直感でピンと来て、動いて、それで一応理屈は後からくっつけ・・・取材するのでいろいろ話はしてくれるから説明はできるんですけど、「その瞬間によく考えたのか」と言ったら、全然よく考えていない、ということがよく分かったんですね。
当時、「直感で転職しよう」という記事を作りたかったんですけど、そんなの一編集者が「直感で転職しよう」って誰も聞いてくれないと思ったので、「直感って意味あるよ」と言ってくれる研究者を探したんです。そうしたらいたんですよ、大学の研究者の方が。その方に聞いたら、直感というのは、やっぱり自分にとって大事な答えを教えてくれるもので、それは「五感を磨くことで鍛えられる」という話なんですね。
私はそこから、体から人生を考えていくという探求に入るんですけど、本当に五感を磨いていくことが第六感、五感の上が第六感なので、五感を磨くことで第六感が開くと言うか冴えると言うか、そんなお話を聞きまして。やっぱり決断とか何か決める時って、多分あまりよく考えていないですもんね、皆さん。皆さんってごめんなさい、一括りにしちゃいけないですけど。
星野:おう、そう。だから、なんかやっぱり「考える」というのは意識、自分の都合。「感じる」というのはなんか無意識。
渡辺:ありがとうございます。他何かあれば。どうぞ、お願いします。
参加者:ええと、私経理の仕事をしているんですけど、まさに考えるスペシャルみたいな仕事です。感じる感覚とか私の気持ちではなく、仕事をしている感じで。
(編注:ここも声が遠くて聞き取れず・・・コメントくださった方、申し訳ありません。下記も同様です記憶を頼りに概要をまとめましたが、「こういう内容を話しました」とご連絡いただきませんでしょうか。)
渡辺:ありがとうございます。今のお話、ちょっと深く聞きたいんですけど、突っ込んで聞きたいんですけど、いいですか?
参加者:はい。
渡辺:まさにそういう、たとえば経理とか左脳バリバリという人達こそ感性を開いていくということができたら、すごく仕事の幅が広がるんじゃないかと、私は思っているところで、実際にやっていらっしゃるご本人としては、どんなふうに受け取って可能性を感じてくださったのかももうちょっとだけ聞かせてもらえますか?
参加者:ああ、そうですね。うちの社長が、元々「五感を大事に」「感じることを大事に」ということを言っているのですが、でも、従業員が何か受け取ってカタチにしていく中で、感じることではなくて、考えることが積み重なっているのかなという感じで。私自身は、それ(感じること)をうまく伝えたいと思いながら、目一杯がんばっていて。でも、親世代くらいのおじさんに伝えるのは難しくて。現場が本当に感じていることと、上の人たちのギャップがある感じです。
渡辺:ありがとうございます。よく先達はあれですよね、「おじさん」は「おばさん」になれって言いますよね。
○「感じる知性」を弱めるのは、男性社会?
星野:そう。これね、やっぱり今、男社会じゃない。男社会はね、なんでも理屈をつけて考える社会なんだよ。ところが、女性というのはよく俺が言う通り、感じる知性が豊富な人達なんだよ。
ところが、男社会の中でそれをまともに出そうとして本当に撥ねつけられるわけだよ。男社会の中じゃあ「考えてからやりなさい」となるから、感じる知性の強い人達が考えるとなると、これは落ち込んでいくよ、これ。ハッキリ言って。
だから、今男社会の中で、「女性活躍」を国もどんどんやっているわけだけれども、あれはハッキリ言って「男社会の中で女性を男として使う」という発想じゃないか。それだったら、何も女性活躍にはならないんだよ、ハッキリ言えば。
だから要は、男社会の中で、男性にもものすごくおばさん系っていっぱいいるわけだよ。俺なんかものすごくおばさん系ということに気づいたんだよ。
「え? 先達おばさん系?」とよく言われるけども、俺、ものすごくおばさん系。その証拠に、女性達と1日でも遊んでいられるの。女性達の会話の中で。これはね、これができるという人はおばさん系なんだよ。
渡辺:結論のない話をずっと聞いていますもんね。
星野:そうそう。
ところが、男社会の男性は、そういうところに行って「それ、どういう意味だよ?」とか、一回一回そういう会話になっちゃうから、場がシラけちゃうんだよ。そうすると女性達から「うーん・・・」と、こう反応が悪くなって、そうするうちに段々そこにいられなくなっちゃうの、男性が。だからそういうふうにして、男性でもおばさん系というのはいっぱいいるわけ。だからまず、(感じる知性の強い女性たちは)「おばさん系」の人達とどんどん一緒にやっていくことなんじゃないかな。
それでさっき言ったように男社会の中で「女性がおじさんになる」というのは、本当に男社会を助長するだけだから、やめた方がいい。女性のおじさん系は要らない。だけど、男性のおばさん系はどんどん必要。
渡辺:「男性のおばさん系の人」はどのくらいいますか?
星野:男性のおばさん系、はい!
(会場挙手)
渡辺:あ!なんかおばさんがいっぱい来てる!やっぱり来てくれる人はおばさんなんですね(笑)。
星野:そうなんだよ。俺がいろんなところに行ってイベントをやって、来る男性はほとんどおばさん系なの。だから、こういう人達と一緒に事をどんどん広げていった方がいいよ、というのが俺の算段でもあるんだよ。そういうことを世の中に殴り込みをかけたいというのが今回の本なんだよ。
要は、感じたことを答えにするのは女性が長けているから、結論は女性が出す。男性達はどうしても考える人だから、女性が男性を使ってあげればいい。そうしたら世の中変わっていくよ。そういうことを目指すことだと思っている。
(第6回へ続く (仮)決めない勇気――「カオス」の中に留まる力)
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