【企業分析⑥】Amazon
今回はIT界の大巨人Amazonを紹介します。
もともとは1994年にインターネット書店として始まった同社ですが、この20数年の間に、売上をすべて事業投資に回す独特の経営スタイルで、あっという間にGoogle, Appleと並ぶ圧倒的企業に成長してきました。
※参考記事
https://newspicks.com/news/1670146/body/
巨大ECサイトAmazonの運営のみでなく、クラウドサーバー事業、AmazonEcho等のデバイス製造など非常に多くの事業を手がけていますが、その1つずつを読み解いていくと一環した戦略が見えてきます。
今回はAmazonの戦略的なビジネスモデルについて解説していきたいと思います。
【読んで欲しい人】
↓↓のような人向けの情報です!
・対象企業の現状を、サクッとどんな状況なのか知りたい。
・ビジネスモデル・マーケティングの勉強がしたい。
・就活対策のために企業の情報を網羅的に知っておきたい。
【ご注意事項】
・2017年時点での情報をもとに分析、考察しています。
・情報のソースは独自でかき集めており、分析内容には一部主観も含みますので、悪しからずでお願いします。
今回も同様に、以下の流れで分析をしていきます。
■市場環境(PEST分析)※全分析ともに共通
■ビジネスモデル(売上算出式)
■自社・顧客・競合分析(3C分析)
■製品・価格・流通・広告分析(4P分析)
■5F分析
■分析から見える課題
■分析を踏まえた新規施策アイデア
それでは今回も非常に長々と失礼しますが、お付き合いくださいませ!
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▼市場環境(PEST分析)※2017年3月時点・全分析ともに共通
・Politics(政治情勢)
農協の組織改革を柱とする農業改革、労働市場の柔軟化を含む労働改革、増え続ける社会保障費を抑制するための医療・年金・介護改革など、課題は山積みな状態。
米トランプ大統領がTPP脱退を宣言。TPP脱退実現の場合、TPP前提で計画されていた農業改革が遅れ、工業品の輸出が伸びない傾向。
同じく米トランプ政権の指針で、米軍駐留撤退の可能性あり。自国防衛についての議論が活発になる。→実際のトランプ政権の動きは現状不透明なため、影響を大きく受ける可能性あり。
・Economy(経済情勢)
米大統領選後、円安傾向が続いており、輸出企業(主にメーカー)の業績回復が見込まれ、景気は緩やかに良くなる基調。
2020年オリンピックに向けて公共事業・不動産開発はじめ、消費の拡大が続く見込み。
海外からのインバウンド来訪者数・消費額も年々増加傾向あり。
・Society(社会情勢)
2016年の労基関係事件もあり、働き方改革が緩やかに浸透し、企業活動において生産性が問われる。(プレミアムフライデー・週休3日制導入企業も出てきた)
流行モノはマス(TV)とネット(SNS)のセットで生成されるようになる。
・Technology(技術情勢)
AI、IoT、VR、ドローンなど、2016年騒がれた技術を活用した新端末・サービスが続々商品化、一般に普及していく見込み。
IoT、ロボット技術を活用したスマート家電商品も続々リリース、一般に普及見込み。
ビットコイン/ブロックチェーンのような仮想通貨の技術が、他産業にも応用される可能性が出てくる。
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▼ビジネスモデル(売上算出式)
※多数の事業展開があるため、事業のビジネスモデルを大きく6タイプに分類して記述することとする。
■リテールビジネス
売上 = EC販売価格 × 販売数
※1995年のサービス開始以降、主力事業となっている。卸業者から安く仕入れて、利益を乗せてECで販売。
■会員権ビジネス(年間)
売上 = サービス価格 × 登録会員数
※Amazonプライムが代表。(翌日お届け便・音楽やラジオが聞き放題・ドラマや映画が見放題・タイムセールに30分早く参加可能などの権利を提供)
■サブスクリプションビジネス(月間)
売上 = サービス価格 × 登録会員数
※Amazon English、Kindle Unlimited、Amazon Web Serviceなど、月額制で会員向けサービスを利用できるようにするもの。
■プラットフォームビジネス
大口:売上 = (月間登録料4,900円 × 出品業者数) + (販売手数料 × 販売成約数)
小口:売上 = (基本成約料100円+販売手数料) × 販売成約数
※マーケットプレイスのビジネスモデル。ECサイトを販売プラットフォームとして解放することで、商品ラインナップのロングテール的拡充を図っている。
■ロイヤリティビジネス
売上 = 著作権物販売価格 × 販売数
※Kindle Direct Publishing。著作権者は出版物をKindle上に展開し、販売成約時には、最大70%のロイヤリティが支払われる。
■内製プロダクト
売上 = プロダクト価格 × 販売数
※Kindle、Amazon Fire TV、Amazon Echoなど。基本的には自社サービスをより使いやすくして囲い込むツールとしての位置付けが多く、プロダクト自体で稼ぐ考えは薄いと思われる。
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▼自社・顧客・競合分析(3C分析)
■自社(Company)
【企業理念】
「地球上で最も豊富な品揃え」そして、「地球上で最もお客様を大切にできる企業であること」
【直近業績】 ※すべて1ドル120円換算
・2014年
売上:889億8800万ドル → 10兆6785億円
営業利益:1億7800万ドル → 213億円
営業利益率:0.2%
・2015年
売上:1070億600万ドル → 12兆8407億円
営業利益:22億3300万ドル → 2679億円
営業利益率:2.1%
・2016年
売上:1359億8700万ドル → 16兆3184億円
営業利益:41億8600万ドル → 5023億円
営業利益率:3.1%
直近2016年では、アメリカが705億3,700万ドル、ドイツが118億1,600万ドル、イギリスが90億3,300万ドル、日本が82億6,400万ドル、その他の地域が73億5,600万ドル。
日本は世界で4番目の売上高を誇る。
グローバルに展開しているイメージが強いが、依然として本国アメリカの売上高が66%を占める状況となっている。
営業利益率が低いのが特徴。(営業利益を事業投資に回している、未だに事業拡大フェーズ。
利益率の高いAWS(クラウド事業)が好調のため、直近では営業利益率も比較的好調)※AWSは営業利益25%程度
【経営資源】
・人
グローバルで16万人程度の従業員を有する。他IT企業からの引き抜き採用も活発。
※従業員に厳しい会社としても一部有名で、今後の採用力に影響する可能性はあり。
・モノ
配送の効率化を可能にする巨大倉庫を国内だけでも13箇所・Primenow用倉庫5m箇所保有。
特に川崎倉庫は国内初の内製ロボット在庫管理システムを導入するなど、自社技術とのシナジーを生んでいる。
※Amazonはいまだに、自社をロジスティクスカンパニーと定義している。
・情報
Data is Kingを標榜し、意思決定にもデータが活用されている。
(例)Amazon Popular Highlights:Kindle上で読者がどこに線を引いたのか収集し、新規読者の獲得施策等に反映している。
■顧客(Customer)
【市場】
・国内BtoC市場規模:13兆7,746億円(2015年)
・世界BtoC市場規模:191兆700億円(2015年)※1ドル120円換算
・国内EC取引内訳:物販系 7兆2,398億円、サービス系 4兆9014億円、デジタル系 1兆6,334億円
・国内でのEC化率は5%程度で、グローバルで見ると低水準。
・グローバルの中では中国が最もEC市場規模が大きい。(国内取引のみで50兆over)
【顧客】
・低価格で買い物の利便性を求める若年層を中心に支持されている。
・日本国内EC化率は5%程度とグローバルで見ると低水準のため、国内だけで見ても市場拡大の余地は大きい。
・今後スマートデバイス・ネットインフラの普及が進む新興国マーケットに大きな商圏拡大の余地がある。
■競合(Competitor)
【国内】 ※原則2015年の流通総額データを利用
・楽天市場:2兆6,748億円(トラベルなどの宿泊流通、GORA、ビジネス、ダウンロード、チケット、サロン、ケンコーコム、ラクマなども含んだ取引総額)
・Amazon:1兆6,000億円(推測)
・ヤフオク:8,546億円
・Yahoo!ショッピング:4,575億円(アスクル除く)
・EC-CUBE:1,500億円(2014年)
・ZOZOTOWN:1,489億円
・MakeShop:1,291億円(2014年推測)
・DeNAショッピング:1,112億円(トラベル等含む)
・メルカリ:900億円(推測)
・ショップサーブ:668億円(2014年推測)
・BASE:90億円(推測)
・minne:44.6億円
【グローバル】 ※原則2015年の流通総額データを利用
・タオバオ:35兆1,117億円 ※2015年の平均為替レート19.52円換算
・Tmall:22兆2,723億円
・Amazonグローバル:15兆1,500億円(推測)
・eBay:10兆81億円
・JD.com:9兆319億円
・Shopify:9,398億円
・Etsy:2,915億円
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