【企業分析⑤】ソフトバンク
今回は孫社長で有名なソフトバンクを取り上げたいと思います。
先日、営業利益1兆円達成で話題になっていたのが記憶に新しいです。
"ソフトバンク、純利益初の1兆円超え 孫正義氏「引退を考えるのは早すぎた」"
http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/10/softbank-masason_n_16539780.html
この会社、ドル箱といえる通信事業を核に据えながら、子会社にYahooを抱えていたり、投資事業でガッツリ稼いでたり、多角的な事業展開をしすぎて、何の会社かよく分からなくなっている人も多いかと思います。
今回は、そのビジネスモデルを丁寧に読み解いていきたいと思います!
【読んで欲しい人】
↓↓のような人向けの情報です!
・対象企業の現状を、サクッとどんな状況なのか知りたい。
・ビジネスモデル・マーケティングの勉強がしたい。
・就活対策のために企業の情報を網羅的に知っておきたい。
【ご注意事項】
・2017年5月時点での情報をもとに分析、考察しています。
・情報のソースは独自でかき集めており、分析内容には一部主観も含みますので、悪しからずでお願いします。
今回も同様に、以下の流れで分析をしていきます。
■市場環境(PEST分析)※全分析ともに共通
■ビジネスモデル(売上算出式)
■自社・顧客・競合分析(3C分析)
■製品・価格・流通・広告分析(4P分析)
■5F分析
■分析から見える課題
■分析を踏まえた新規施策アイデア
それでは今回も非常に長々と失礼しますが、お付き合いくださいませ!
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▼市場環境(PEST分析)※2017年3月時点・全分析ともに共通
・Politics(政治情勢)
農協の組織改革を柱とする農業改革、労働市場の柔軟化を含む労働改革、増え続ける社会保障費を抑制するための医療・年金・介護改革など、課題は山積みな状態。
米トランプ大統領がTPP脱退を宣言。TPP脱退実現の場合、TPP前提で計画されていた農業改革が遅れ、工業品の輸出が伸びない傾向。
同じく米トランプ政権の指針で、米軍駐留撤退の可能性あり。自国防衛についての議論が活発になる。→実際のトランプ政権の動きは現状不透明なため、影響を大きく受ける可能性あり。
・Economy(経済情勢)
米大統領選後、円安傾向が続いており、輸出企業(主にメーカー)の業績回復が見込まれ、景気は緩やかに良くなる基調。
2020年オリンピックに向けて公共事業・不動産開発はじめ、消費の拡大が続く見込み。
海外からのインバウンド来訪者数・消費額も年々増加傾向あり。
・Society(社会情勢)
2016年の労基関係事件もあり、働き方改革が緩やかに浸透し、企業活動において生産性が問われる。(プレミアムフライデー・週休3日制導入企業も出てきた)
流行モノはマス(TV)とネット(SNS)のセットで生成されるようになる。
・Technology(技術情勢)
AI、IoT、VR、ドローンなど、2016年騒がれた技術を活用した新端末・サービスが続々商品化、一般に普及していく見込み。
IoT、ロボット技術を活用したスマート家電商品も続々リリース、一般に普及見込み。
ビットコイン/ブロックチェーンのような仮想通貨の技術が、他産業にも応用される可能性が出てくる。
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▼ビジネスモデル(売上算出式)
■国内通信事業(移動体通信・固定通信・ブロードバンド・クラウド)
売上 = ARPU × 契約回線数
※ARPU: 1回線あたりの平均売上金額
■スプリント事業
売上 = ARPU × 契約回線数
■ヤフー事業(Yahooショッピングは出店料・売上ロイヤリティともに無料)
売上 = 広告売上 + Yahooプレミアム会員売上
広告売上 = 出稿単価 × 出稿数
Yahooプレミアム会員売上 = 会員料 × 契約会員数
■流通事業(物販売切モデル)
売上 = 物販単価 × 売上点数
■その他
ソフトバンクホークス事業
投資事業(アジア中心にポートフォリオ構築、2015年の投資総額: 2,100億円)
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▼自社・顧客・競合分析(3C分析)
■自社(Company)
【経営理念等】
・経営理念:情報革命で人々を幸せに
・ビジョン:世界の人々から最も必要とされる企業グループへ
・バリュー:努力って、楽しい
【直近業績】
・売上
2013年:6兆6,666億円
2014年:8兆6,702億円
2015年:9兆1,535億円
【営業利益】
2013年:9,827億円
2014年:1兆770億円
2015年:9,995億円
■経営資源
・人
通信事業単体1万7,700人、連結6万3,500人の従業員。
(グローバルにも5,000人を超える人材配置)
営業会社の気質が強く、トップダウンマネジメントが徹底している。
・モノ
スプリント事業で買収によって獲得した米国での通信ネットワークインフラ。
Pepper, IBMwatson, GEPredixなどの国内展開に代表される新技術の獲得能力。
・情報
2012年頃から社内でビッグデータ利用を開始(通信接続率の統計から、設備投資の意思決定を行う等)
IoTプラットフォームのPredix、AIのIBMwatsonを連携させたビッグデータ解析ソリューションを開発中。
■その他(投資事業について)
未来のテクノロジーに対して、10兆円以上を投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」構想を掲げている。
※サウジアラビア4.9兆、ソフトバンク2.7兆、その他Apple等が3.3兆で持ち回る連合ファンド
2017.2には、米代替投資大手のフォートレス・インベストメント・グループを買収。
孫社長自身も、「テクノロジー業界で最大の投資会社になる」という目標を掲げている。
※尊敬する人物の一人がウォーレン・バフェット。中核事業を据えながら長期的投資をするスタイルも似ている。(バークシャーは保険、ソフトバンクは通信)
現状はアジア中心に60社を超える投資ポートフォリオ企業群を所有。ICT分野でシナジーを発揮できるポートフォリオを構築しており、長期的投資を行う傾向あり。
■顧客(Customer)
【市場】
・電気通信市場全体
2013年度:24兆9429億円
2016年度想定:32兆円程度
・国内移動体通信(契約回線数)※MVNO回線含む
2012年:129,127,300
2013年:136,558,000
2014年:145,053,600
2015年:154,419,400
2016年:160,706,000
・国内移動体通信(市場全体売上)
・2015年 国内移動体通信市場規模:6兆3,828億円
・2016年 国内移動体通信市場規模:7兆530億円
・2020年 国内移動体通信市場規模想定:7兆6,265億円
→法人利用の拡大、タブレット端末の普及等の要因によって、契約回線数自体が人口を超えて拡大基調あり。
【顧客動向】
・キャリア通話による通話利用が減っており、メッセンジャーApp等を利用した通話がメインになってきている。
・データ通信の利用量が増えており、特に若年層を中心にデータ通信の容量が大きなプランが好まれる傾向あり。
→2015年頃をめどに、データ収入が音声収入を逆転した。
・MVNO事業者の台頭によって、通信プランの選択肢が増えている。利用の仕方によってMVNOに流れる顧客が増加傾向あり。
■競合(Competitor)
【国内3キャリア比較】
・契約回線数(2016年度)
1位:NTTドコモ : 73,587,900
2位:KDDI : 47,829,400
3位:ソフトバンク : 39,288,700
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