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「がらくた」は、母への私の思いでした

米津玄師さんが好きです。
先日、4年ぶりに新しいアルバム『LOST CORNER』がリリースされ、彼の音楽と歌声にひたる日々を送っています。

「地球儀」や「KICK BACK」など映画やドラマの主題歌になった作品も多く、名曲ぞろいですが、私は「がらくた」という曲を聴いたときにぎゅっと心をつかまれました。

ちなみにこの曲が『ラストマイル』という映画の主題歌ということも知らなかったし、それがどんな映画かもいまだわかりません。
ただ、米津さんの歌う一節が耳に入ったときに、私の中で母の記憶がどっとよみがえりました。

例えばあなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても
構わないから 僕のそばで生きていてよ

米津玄師「がらくた」

私の母は5年前に亡くなりました。最後の1年半ほどは脳梗塞からの体の麻痺でほぼ動くことはできず、認知症も進み、意思疎通もままなりませんでした。幸い私の家の近くの病院に入っていたので、好きなだけ会いに行くことはできましたが、正直、「こういう状態でいることは本人にとってどうなのか、望むことなのだろうか」という葛藤がありました。

私を見ても、誰だかわかっているのかどうかわからない。
言葉も失っているので、反応もない。
とりあえず顔を見に行き、一方的に息子の様子や我が家の出来事などを話し、手を握り、「また来るね」と言って帰ってくる。
自分がしているその行為に意味はあるのか?とずっと自問していました。

でも、母が亡くなってから、やっぱりずっと寂しいのです。
強烈な寂しさではないけれど、空を見る度に寂しい。

そして今、「がらくた」を聴いたら、「ああ、そうなんだ、私こう思ってたんだ」と気づきました。
「壊れていても構わないから 私のそばで生きていてよ」と。

米津さんがそう歌う声を聴いて、私の中で感情がぶわーっとあふれました。
まさか認知症の母を思い出す人がいるとは、米津さんは思いもよらないでしょう。けれど、大好きなあの歌声で自分の気持ちが歌われているようで、泣きながらも心が澄んでいく気がしました。

歌詞も曲も声も、米津玄師さんやっぱりすごいな!

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