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誰のために結婚するんですか…?親の幸せより、自分の人生のほうが大切です【中村淳彦『中年婚活』】

高齢化社会が進むにつれて深刻化する親の介護問題。「結婚はしたいが、親元を離れられない」という状況に頭を悩ませる人もいるでしょう。しかし婚活において「親と同居」は絶対的NG事項。義両親の介護をしたがる女性なんていないのです。
中村淳彦『中年婚活 50歳、年収450万円からの結婚に必要な30の法則』より一部抜粋してお届けします。

2040年問題、悲惨なアラフィフの老後

 アラフィフのみなさんは、親の団塊の世代は徹底的に優遇されて、みなさんが該当する団塊ジュニアや氷河期世代が、徹底的に不遇なことは自覚されているでしょうか。これから婚活するにあたって、親の介護の問題は避けて通れません。
 みなさんの親は、昭和10年代生まれから団塊の世代です。年齢にすると70代後半から80代です。
 日本が長年に渡って極端な高齢者優遇、団塊の世代優遇の国づくりを続けているのは、みなさんご存じだと思います。具体的には団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題でしょうか。2025年を目安に高齢者大国をつくるために、1990年からゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略)を開始して、社会で高齢者を支える介護保険制度がつくられました。
 高齢者の介護が民営化されたことで、2000年代は福祉のムーブメントが起こりました。しかし、結果として残ったのは、現役世代の人生を潰して高齢者に奉仕をさせる低賃金ブラック労働と、結婚できない貧乏なおじさんでした。未婚化、家庭崩壊、精神疾患、中年童貞などなど、現役世代に悲惨な副作用を起こしています。
 人口のボリュームゾーンであるみなさんが20代のときに、高齢者優遇ではなく、現役世代に目を向けた少子化対策をしていれば、順調に第三次ベビーブームが巻き起こり、現在のような悲惨な少子高齢化を迎えることはなかったはずです。いまはみなさんが前期高齢者となる2040年問題が叫ばれています。現在のような社会保障の持続は無理だろうことと、社会が単身世帯だらけになる異常な孤独社会が予測されています。
 みなさんの老後は、親世代とは大きく変化し、悲惨な末路が決定しているのはご存じでしょうか。2022年の出生数は80万人を切り、みなさんが高齢者になる頃には支える現役世代がいなくなります。
 人口のボリュームゾーンであるアラフィフが前期高齢者になる2040年、すべての社会保障が機能しないのではないか?と予測されています。追い打ちをかけて相続税と退職金の大増税の検討、年金は受給開始年齢の引き上げと減額の検討、介護は要介護1と2を保険から外して、もう介護を受けさせない動きがはじまっています。アラフィフは単身世帯で孤独に耐えながら、有事にも介護どころか、医療も受けられるか微妙という状況なのです。
 そのような過酷な未来が予測されているなかで、唯一のセーフティネットは家庭といわれています。自助、共助、公助の「自助」に該当する部分で、苦しくても自分でなんとかしろという考え方です。社会保障が機能停止する可能性が高いアラフィフのみなさんは、このまま単身で生きて哀れに孤独死するか、いまのラストチャンスに結婚して誰かと支え合うかの選択を迫られているのです。

親の介護は放棄しよう!

 みなさんのなかにも、すでに親の介護をする人、これからの親の介護が不安な人はたくさんいるでしょう。男性の寿命ー健康寿命は、おおよそ9年といわれています。
 未婚のアナタが近い将来に9年間も費やして真面目に親の介護をしたとすると、最終的に介護から解放されるのは60代半ばでしょうか。未婚男性の死亡年齢中央値がデータ通りに67歳とすると、アナタは親の葬儀が終わって数年以内に亡くなるか、親よりも早く死んでしまうことになります。
 結婚も、出産も、年金ももらえぬまま死んでしまう、そんな残念すぎる未来が現実となる可能性が極めて高いのです。
 ここで筆者の提案は「親の介護を放棄しよう!」ということです。
 理由はいくつもあります。まず一つは、将来アナタと結婚する女性は義父義母の介護は絶対にしたくないということです。義父義母の介護を積極的にしたい、献身的に貢献したい女性はいません。いくら探してもいないはずです。
 民法上の介護義務は直系の血族です。婚活で女性に「義父義母の介護はしなくていい」と伝えるのは、結婚の最低条件でしょう。親の介護の話をした瞬間にフラれるはずです。筆者が伝えたいのは、自分のための結婚か、自分の未来を潰しての親の介護かの選択を迫られたとき、真っ先に結婚を選ぶべきということです。

 親の介護を放棄するべき理由の二つめは、アラフィフで未婚のアナタより、親が徹底的に恵まれてきたことです。高度経済成長を生きた団塊の世代は、真面目に働けば、誰もが結婚をして家庭を持って、年功序列の社会のなかで豊かな生活を謳歌できました。生涯未婚率は1%台、消費税はなく、国立大学の授業料も年間1万2000円と安価でした。
 それだけではありません。団塊の世代の男性は女好きでも有名です。「(男は)飲む、打つ、買う!」などの自分勝手な格言を掲げ、アルコールを浴びながら風俗遊びに勤しみ、享楽的な生活を満喫してきました。
『金曜日の妻たちへ』に影響されて家庭を顧みずに不倫に狂い、会社では男尊女卑を根拠にセクハラとパワハラ三昧で、女性に肉体を売らせる風俗産業や、出演強要が大きな社会問題となったアダルトビデオ業界を活性化させたのも団塊の世代です。
 そんな享楽にまみれて恵まれ尽くした親を、徹底的に不遇を強いられて結婚すらできなかったアラフィフのみなさんが身を削って介護する必要があるのか?という、平等の原則を根拠とする疑問です。

 理由の三つめは日本全体で2025年問題などと戦略的に騒いで、徹底した高齢者優遇を貫いたことで介護保険制度ができたことです。これからの未来を担う現役世代の生活や、少子化問題を後回しにして、高齢者を優先したことで介護保険制度が整いました。
 介護業界や都道府県は「(介護の仕事は)やりがいがある」「夢がある」「社会貢献」などなど、適当なキャッチフレーズを並べて末端で低賃金労働する介護職たちを集めています。官民をあげて介護労働者を洗脳したことで、どこの地域にも「介護をしたい!」「献身的に奉仕をしたい!」という奇特な人々が存在しています。
 親の介護は、義理の娘である嫁は放棄、介護義務のある血縁者であるアナタも、介護をしたい介護労働者に全部任せてしまえばいいのです。要介護高齢者はひとりでは生きていけないので、介護者がいなかったら死んでしまうかもしれません。介護保険制度では十分な介護にはならないかもしれません。でも、それでもいいのではないでしょうか。
 まずは両親に老々介護を頑張らせて、そして介護保険をフル活用して介護をしたい介護職に任せる。それでも生活ができなくて、親が死んでしまったらそれは仕方がないと割り切る、という考え方です。
 これまでの人生も、未来も不遇が決定しているアラフィフは、親の幸せな終末期より、自分自身の人生のほうが大切という意識が絶対に必要です。親のために未来の妻に介護をさせる、介護離職などは言語道断の愚行だといえます。
 親の介護はやりたい人にお任せする、介護が十分ではなくて死んでしまったら、親の自己責任──それでいいのではないでしょうか。

婚活成功のためには抜本的な意識改革が重要です。
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<著者プロフィール>
中村淳彦(なかむら・あつひこ)
ノンフィクションライター。無名AV女優インタビュー『名前のない女たち』シリーズ、『東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか』、『悪魔の傾聴』などヒット作多数。花房観音との共著『ルポ池袋 アンダーワールド』(大洋図書)が絶賛発売中。Voicy「名前のない女たちの話」ほぼ毎日放送中。ニコニコチャンネルプラス「中村淳彦の40歳からの婚活ちゃんねる」配信中。

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