斎藤元彦さんで話題の兵庫が生んだ元スーパー県議にして現占い師《世界的に有名な》野々村竜太郎さんにお悩み相談してみたら…

斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑をめぐり、国民的注目を集める兵庫県。9月19日には兵庫県議員86人の全会一致で不信任決議が可決されたり、それを受けて失職した斎藤さんは同30日朝、心機一転とばかりにJR須磨駅前に立ち、通学・通勤する方たちに「おはようございます！」と挨拶を繰り返すなど、まだまだ注目を集めそうです。ですがかつて、斎藤さんよりも日本中の視線を集めた兵庫県議員がいたことを、覚えていますか？

野々村竜太郎さんです。

　野々村さんといえば、2011年、西宮選挙区から定数7人中第7位で当選して兵庫県議員になったものの、2014年に金銭的不祥事が発覚。2013年度の約300万円の政務活動費に不可解な支出があったことを神戸新聞などが報じ、同7月1日に説明会見を開きました。
　会見では、両耳のうしろに手のひらを添え、耳を澄まして聞くというポージングや、急に泣き出したと思ったら「わが県のウワアアアアアン！！！」「世の中をあぁぁあああああ！　変えたいッッ！！！　その一心デェェェェ！！！」などと大きな涙声で上げお茶の間の度肝を抜いたことは、いまでも迷会見として語り継がれています。
　結局野々村さんは同7月に議員辞職し、同11日に虚偽公文書作成・同行使容疑で兵庫県警に刑事告発され、2015年1月に詐欺罪、公文書作成・公使罪で書類送検されました。
　最近はというと、たびたび週刊誌が“その後”を報道。直撃取材には全力疾走で巻くなど、極度のマスコミ嫌いとして知られるようになりましたが、どうしても放っておいてくれません。それは、野々村さんが私たちの興味を引くお仕事ばかりをしているからです。

　アフィリエイトブログを開設したり、独身でありながら「結婚相談所.com」というサイトを運営したり、配信アプリ「ふわっち」で「野々村竜太郎の恋ばなチャンネル」という配信を始めたり、クラウドソーシングサイト「ランサーズ」にライターとして登録したり……精力的に活動しているようです。

　そんななか、自身のXでもっとも活発に発信しているのが、占いについて。なんでも、スキルマーケット「ココナラ」に、占い師として登録しているというのです。登録情報を確認すると、
＜西洋占星術と数秘術などであなたを占います！世界的に有名な野々村竜太郎があなたの悩みお聞きします！＞
　とのタイトルをかかげたアカウントを発見。お値段なんと２０００円。これは安いのではないでしょうか。販売実績は現時点で４７件とあり、口コミはおおむねポジティブな言葉が並びます。
　そこで取材班は、「実際に野々村さんに占いを依頼した」というユーザーとコンタクトを取ることに成功。仮にAさんとしましょう。普段から、雑居ビルの地下の占いコーナーやチャット占いなど、幅広く占いを趣味としているAさんは、ある日「ココナラで、いつものように占いアカウントを漁っていた」といいます。

「ふと、【野々村竜太郎】という文字が目に飛び込んできておどろきました。あの号泣会見の野々村さんが!?　と。値段も安価だし、レビューも星４以上で評価が高かったので、好奇心もありすぐに依頼してみたんです。ニセモノかとも思いましたが、野々村さんになりすましてもメリットがないですからね」

　プロフィール欄には＜密かに、長年にわたり西洋占星術、数秘術、四柱推命を学び、実践してきました＞とあり、「“幼少期に霊感に目覚めた"など掲げているチャット占いよりは誠実さを感じた」そうです。
　さっそく購入すると、ものの30分以内でファーストメッセージ届いたといいます。

「それから私の情報を送信すると、10分で西洋占星術、水秘術、四柱推命の総合的な占い結果が送られてきました。かなりボリュームがあり、わかりやすさも抜群でした。が、なんだかAIっぽいというか……自分で生年月日を入力して答えが出る、お手軽なネット占いのような印象を受けました。そこで、『もうすこし詳しく占ってほしい』とコメントすると、プロフィールに書いてあった注意事項をコピペした上で『占いで、相談ではない』『以上でございます』とばっさり。要は、個人的な悩み相談は受け付けていないようでした」

　だがその後、恋愛運やキャリアについての占いを求めると、それぞれ5分以内に回答が届いたといいます。

「さくさく返事が来てノーストレスな一方、とても機械的な印象を受けました」

　口コミの「ChatGPTのようだ」との書き込みに共感したというAさんは、「でも……」と続けます。

「通常、チャット占いや電話占いは、“能力がある”ことを自称して、いわば適当なんですよね。“彼はいま、あなたのことをこう思っている”なんて言われたって、会ったこともない他人にわかるわけがない。でも、友達にも話せない個人的な悩み相談に乗ってくれるし、“占い”という大義名分で背中を押された気分になっているとわかっています。そういった意味で野々村さんの占いは、誠実でした。わかることしか答えないから。それは、統計から導かれた本来の占いですよね」

　さらに、自身でもChatGPTで同じような情報を入力し、西洋占星術、水秘術、四柱推命を占ってみた結果、「とてもわかりにくく、腑に落ちない結果になった」というのです。

「野々村さんがどんなツールを使っているのか、はたまたご自身で占い、ものの5分ほどで2000文字を打ち込んだかわかりませんが、とにかくとてもわかりやすいんです。しかも、メッセージのやりとりで約２時間かかりましたが、ほかのチャット占いだと120分25000円以上はかかりますよ」

　さらにAさんが「好感が持てた」というのが、自身の高額サービスへの誘導をしなかったことだそう。たしかに野々村さんは＜有名人の野々村竜太郎が、あなたの悩みを受け止めます＞といったサービスに15,000円、＜恋愛や失恋、婚活のあなたの深刻なお悩みを解消します＞というサービスに10,000円の値をつけています。

「私が深い悩みを打ち明けたがっていたら、普通は『それならこちらへ』など誘導するはずですよね。でも一貫して『占いだけしかやりません。以上です』と、機械的に繰り返すだけでした。金銭的不祥事を起こしたわりに、ガツガツしていないんだなと思いましたね」

　実は野々村さんの「ココナラ」プロフィール欄には、マスコミ嫌いのためか＜週刊誌やテレビ局、インターネットテレビ局の記者などの取材依頼を受けられませんように、お願い申し上げます＞との注意書きがあります。Aさんは申し訳なさそうにしつつ、こう話しました。

「もちろん話すつもりはありませんでしたが、占いをやる人としてとても誠実だったので、あまり利用されていなそうな現状がもったいないと思ったんです」

　Aさんのお節介を、野々村さんは許してくれるでしょうかーー。
（取材・文＝本誌取材班）