ガラガラなのに潰れない──街に乱立する「インドカレー屋」の実態
ビザ取得の裏技
インドカレー屋と言っても、実際に働いている人にネパール人などのアジア系が多いのは最近では有名な話。比較的渡航しやすい日本で一定期間働いて、ある程度の額を稼いで国に帰るわけだが、当然就労するためにはビザが必要になる。
日本で彼らが働く際に取得するビザの多くは「技能ビザ」といい、それを取得すると「専門技術を持った調理師」として日本に招き入れられる。
カレー屋に「インド・ネパール料理屋」と表記されているのも、ネパール人がビザを取得しやすいためだと言われる。本来ならば調理師としての実務が10年以上ないと技能ビザは通らないものの、「遠方の郷土料理を専門とした料理人」としてやって来ても、訝しげに思われることもないだろう。さらに言えば、暗黙の了解というところか。
タンドールブローカーの存在
肉料理やナンを作るために必要なのが「タンドール」と呼ばれる窯。タンドール1台の導入につき、法務局より4人の外国人にビザが発行されるという。ここで登場するのが「タンドールブローカー」である。
「基本的には、私たちブローカーが仲介人となり、現地の外国人たちに日本行きを勧めます。そこでビザの発行手数料のような形である程度のお金をお支払いいただいています」
こう語るのは、10年ほどブローカーとしてネパール人やバングラデシュ人などを日本のカレー屋に招き入れたというOさん(40代男性)。
要は、"簡単にビザあげますよ代" をもらうことで彼らは儲けているわけだ。
外国人たちは日本ビザを取得するために親戚中から金を集める。その額は約30~70万円ほどと、決して安くはない。
ブローカーの元に集まった資金の一部は、店を経営するオーナーに開店資金として手渡される。この金がオーナーの一番の資金源となるケースも多い。
「賃金ほぼゼロ」ということも…
店で働くことになった外国人スタッフたちには、そのまま働き続ける人もいれば、早々に解雇され他の仕事に就く人も(※ホントは違法)。
なぜなら彼らの目的はあくまで日本で働いて稼ぐこと。そのため、料理屋で料理人として雇用され続ける必要が必ずしもあるわけではない。なんでも、ブローカーから紹介された料理屋で働いても、ほとんど賃金ももらえないケースが稀にあるとかないとか……。
そんなこんなで、実はスタッフの入れ替わりの多い店も多数。オーナー側からしたら、人件費もかからない、開店資金もメニューの原価も安いインド料理屋は、やや悪徳なニオイはしますが美味しいビジネスなわけである。
といっても、真っ当に頑張っている美味しいカレー屋の方が圧倒的に多いのもまた事実。お気に入りの店を見つけたら、通い詰めちゃおう!