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【少子化は誰のせい?】団塊ジュニア世代が結婚しなかった本当の理由は…バブル崩壊、終わらぬ不況、バーチャル女子に負けて恋愛難民化した団塊ジュニア女子

団塊ジュニアは、1971年(昭和47年)から1974年(昭和49年)生まれの第二次ベビーブーム世代のことです。中でも女性たちは、特異な恋愛観・結婚観を持っています。実は、性的受難世代とも言い換えることができる世代なのです。

団塊ジュニア女子は、結婚して子供をもつ平凡な幸せをあきらめた世代

 こんにちは。女性と社会の問題を考察して発信している団塊ジュニア女子・寸尺かんなと申します。団塊ジュニア女性は、特異な社会背景で育った歪な世代にも拘わらず、あまり多くを論じられていません。そこで、同じ世代の女性について、忌憚のない自己検証をしてみます。
 これは、団塊ジュニア世代のわたしたちが、どうして恋愛、そして婚期を逃したのかについてのお話です。

少子化は団塊ジュニア世代の責任なのか

 少子化は、出生率の低下によって、将来の人口が長期的に減少する現象のことで、多くの先進国が抱える社会問題です。
 もしも、戦後生まれの団塊世代に次いで人口のボリュームゾーンだった団塊ジュニア世代が、子供をもっと産んでいたならば、少子化は今ほど深刻ではなかったのがではないかと言われています。
 つまり、我々の世代は、未婚、ひいては子供をつくらなかった世代として、少子化に拍車をかけた責任があるかのような、誹りを受けている節があります。
 女性サイドの理由としては、男女雇用機会均等法の成立をきっかけとした、社会進出とキャリア志向による未婚・晩婚化。
 男性サイドの理由としては、不況の長期化による経済的自立の困難と、そのための結婚断念が主な原因だと言われてきました。
 しかし、これらは原因のほんの一部にすぎません。
 団塊ジュニア世代が結婚しなかった本当の理由については、当事者たちが後ろめたいからなのか、自覚がないせいなのか。とにかく、あまり語られることがありません。

新人類的ライフスタイル

 団塊ジュニア世代が大学生になる少し前から、若者たちの間で新しい価値観が生まれ始めました。
 過酷な管理社会に辟易し、既存の進学や就職、その延長線上にある家族主義的な結婚といった旧態依然の価値観を拒否し、フリーターとして生計を立て、自分らしさを犠牲にしない働き方と生き方を模索する若者たちが登場してきました。
 フリーターとは、大学卒業と同時に新卒採用で企業に就職する一般的なキャリアパスではなく、あえてアルバイトなどの非正規雇用で働く生き方です。
 ジュニア世代より10歳ほど年長のバブル世代が学生だった頃は、フリーターは効率的で実入りのよい働き方でした。正規雇用の正社員のように時間と場所に縛られず、複数のバイトを掛け持ちして、自分の采配で自由に働くこともできました。
 バブルの頃は時給も高かったので、短期でガッツリ稼いで海外旅行に行たり、外車やブランド品を購入することも可能でした。
 非正規でも十分稼げる人を目の当たりにして、このように自由な生き方も将来の選択肢になりえるのだと、多くの団塊ジュニア世代が感化されました。

過保護で世間知らずの団塊ジュニア、バブル崩壊後の荒れ地に放たれる

 そんな折の1990年初頭、バブル経済が崩壊し、日本に大不況が訪れました。
 苦労してようやく入った大学を卒業し、これから社会に乗り出そうというタイミングに、ジュニア世代は不運な門出を余儀なくされます。
 しかし、敗戦以来、ずっと右肩上がりの成長気流にあった日本が、戦後はじめての下り坂に突入、時代の潮目が変わったまさにその時。幼少期から経済的な苦労をしたことがない無防備なジュニア世代は、時流が変わったことにまるで無自覚で、不況は長くても2~3年で終わるだろうと、楽天的に考えていました。
 先述した、新人類的な束縛されないライフスタイルに憧れていたジュニア世代は、とりあえずはフリーターでもしながら時間を稼いでいれば、いずれ景気は回復すると思っていました。当時は、この状況が30年以上も続くと誰も予想していませんでした。
 当時は、高学歴と大手企業のサラリーマン勤めを良とする社会風土であり、そんな中でもジュニア世代は人口が多かったために、中の下の大学ですら過当な競争で合格できないような熾烈な受験競争を強いられました。そして、入学を勝ち取った者さえも、好条件の就職ができた人は多くありませんでした。今いる年長者の雇用を守るために、若いジュニア世代が犠牲になり、正規キャリアパスの梯子を外されました。
 しかし、悪いことばかりではありませんでした。

サブカルチャーの登場

 この世代の男性たちは社会的将来性を奪われた代わりに、与えられたものもありました。
 それは、サブカルチャーです。
 サブカルチャーとは、メインカルチャー(文学・美術・演劇・音楽などを、教育・教養・歴史的な重要性から文化とみなす)と対比する文化的概念で、アイドル、アニメ、映画、音楽、ゲーム、漫画など、より大衆的・商業的なジャンルもカルチャーと見なします。
 ちなみに、サブカルの洗礼は男子同様、女子も受けてはいるものの、一部の例外を除き、ほぼ全てのジャンルは男性の作り手によって、男性の消費者のために生み出されており、サブカル信奉者の大多数はやはり男性です。
 サブカルは、エロも含みます。エロ漫画、エロビデオといった、主に男性のための性的娯楽コンテンツです。
 サブカルチャーの登場は、男性のライフスタイルを180度転換しました。
 バブル世代が、金とグルメとファッションとコミュニケーションスキルを駆使し、外車のカーステ(※カー・ステレオの意。死語)でユーミンのカセット(※カセットテープ。死語)をかけながら精力的にセックスに励んでいたのに対して、団塊ジュニア男子は、自分の部屋から一歩も出なくても、あらゆる娯楽と快楽を味わえるようになりました。

独身男子パラダイスの幕開け

 肉体関係を伴わない純情な憧れは、アイドルの応援で満たし、性的欲求はAVで発散。男女ともに性的アクティビティがお盛んだったバブル世代の数年後に、生身の女性を必要としない男子が誕生しました。
 実態のある女と付き合う場合だと避けられないコミュニケーションの面倒も、肉体的な労力もなく、バーチャルの世界でなら、理想の相手と、自分本位で気楽な恋愛とセックスが楽しめます。
 もはや、風俗すら必要ない男性も増えたのではないでしょうか。
 生身の女は、汗もかくし、臭いし、毛も生えていて、排せつもする。離れて見たら可愛くても、そばで見たら欠点があり、いずれ老いさらばえる運命の生命体にすぎません。それに引きかえ、二次元の女子には欠点がありません。
 こうして男性たちは、独身でも孤独でなく、他人に煩わされることもなく、趣味と空想の世界に埋没して幸せに生きる生活を手に入れました。さらに好都合なことに、大半の団塊ジュニア男性には、子離れできていない専業主婦の母親がいます。身の回りの世話は母親にしてもらい、まさにこの世の天国です。
 しかもサブカルは、高級外車やロレックスほど金がかかりません。
 応援しているアイドルのCDと年に数回は行くリアル・イベントやコンサートのチケット代、好きな漫画やゲームの購入代さえ稼げれば良いのです。親の家に同居し、母親に食事の面倒をみてもらいながらであれば、無理なく賄えます。
 バブル世代のようなビッグな野望は必要なし。ささやかな自分のパラダイスが守られればいい。もしかしたら団塊ジュニア男子は、最も幸せな世代なのかもしれません。

選ばなかったんじゃない。選ばれなかったの。

 団塊ジュニア男子は、オタク、甲斐性なし、コミュ力低い、マザコンなど、散々な言われ方をされがちです。同年代の女性から選んでもらえず、未婚のまま見捨てられた存在だと思われていたかもしれません。でも、実は違います。
 女子が同世代の男子を選ばなかったのではなく、彼らが同年代の女子を選ばなかったのです。
 同年代の男性から性的対象として見てもらえず、団塊ジュニア女子のエロス資本は、アイドルやアニメやゲームのキャラクターよりも価値がないとみなされたのです。
 本当の負け組は、団塊ジュニア女子だったのです!
 同世代の女子の中でも、同級生や会社の同僚の中から青田買いし、要領よく結婚できた女子以外の、およそ世代人口の約半数は同世代間のマッチングからあぶれてしまいました。
 こうして、あぶれてしまった団塊ジュニア女子は、運命の恋人を求め、荒漠たる恋愛砂漠へ彷徨いだしていったのでした。

<著者プロフィール>
寸尺かんな(すんしゃく・かんな)
関西出身の団塊ジュニア世代女子。特異な社会背景で育ってきた同世代ネタを中心に、女性と社会の関係性を定点観察し、発信している。本業は、リフォームを生業にしている建築士・インテリア・コーディネーター。
音声配信「stand.fm(スタンドエフエム)」では、リフォーム業界の忖度なしの業界裏話やインテリア、趣味の映画やサブカルチャーなど、徒然なるままのテーマを毎日配信中⇩
『現役リフォームプランナーの業界裏話』 https://stand.fm/channels/6566a0d64db2e7bbf594a948

イラスト:Nobby
イラストレーター/アーティスト。雑誌や書籍、広告をメインとした多岐に渡る媒体にて、イラスト・デザイ ン、漫画などを手掛けるイラストレーター。 2022年からは本格的にアート活動にも力を入れる。 絵を描き、歌を歌い、トロンボーンを吹き、たまに演じる、永遠のロックキ ッズ。 Instagram:@nobbypop


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