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酒井透

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(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ…
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2024年1月の記事一覧

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】口之永良部島の『400円ホテル』

名湯もある  1993年にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界自然遺産に登録された屋久島の北西約12キロのところに位置する口之永良部島に〝驚くべきホテル〟があった。その名も「400円ホテル」。現在は、閉鎖されているようだが、隣接している温泉は、国内の温泉の中でも名湯と呼ばれる部類に分けられている。  500円玉ひとつでおつりがくるようなホテルは、日本中探しても見つけることは難しいだろう。実のところ、「400円ホテル」というのは、俗称みたいなものになる。正確には、宿と

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】大阪城の『涙を流す観世音菩薩像』

 関西の観光スポットとして人気のある「大阪城」。安土桃山時代に豊臣秀吉が築城したこの城は、贅沢を極めた天守閣や立派な石垣などが見どころになっていることで、大勢の観光客を集めている。  秀吉の勢いを肌で感じることのできるこの城は、当時の姿を緻密に復元されていることから、門をくぐると400年前にタイムスリップしたような感覚に陥る。  大阪城は、国内外からやって来る観光客はもちろんのこと、大阪に住む人たちからも親しまれている観光スポットになっている。意外なことは、このようなとこ

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】北海道・網走郡の『破壊された骨仏』

 「人は死ぬと墓に入る」という観念をくつがえす葬法がある。北海道から九州にかけて、全国40あまりの寺には、亡くなった人たちの遺骨を集めて練造された骨仏が奉安されている。練造の方法も様々で、石膏と遺骨を混ぜ合わせて造られたものやコンクリートと遺骨を混ぜ合わせて造られたもの。セラミックスと遺骨を混ぜ合わせて造られたものなどがある。古いものになると、粉末状の遺骨をにかわなどに混ぜて木像に塗ったものがある。  亡くなった人の遺骨を使って骨仏を造ることには、大きく分けて2つの意味があ

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】松山・道後温泉の遊郭廃墟『旧・朝日楼』

 松山・道後温泉のシンボルとなっている道後温泉本館の裏手に、色町の臭いを残した街並みが広がっている。  この界隈は、昭和33年まで道後・松ヶ枝町遊廓として栄えていたところだ。だらだらとした坂道を登りきったところには、『旧・朝日楼』という名前の遊郭廃墟があった。通りに面したところには、格子状の枠が設けられ、遊女を買いに来た男たちは、ここから中の様子を窺っていた。最盛期には、40名ほどの遊女が働いていたという。解体されたのは、平成19年のことになる。  筆者は、解体される前に