投資に関する不都合な真実…アナタはサルより賢いか(2)
グロソブの勃興と衰退
アナタは「グロソブ」をご存知でしょうか。国際投信(現三菱UFJ国際投
信)が運用(以前はウェスタンアセットに運用委託)し、主として信用格付
の高い先進国の国債に投資する投資信託で、リーマンショック前には運用残
高が5兆円を超え6兆円に迫る水準まで成長した「グローバルソブリン・オー
プン」のことです。毎月分配の仕組みが人気を集め、2002年以来12年間にわ
たって国内最大ファンドの地位を維持するなど、かつて一世を風靡した巨大
ファンドがグロソブです。直近純資産はピーク比20分の1ほどまで縮小しま
したが、それでも3000億円強はありますので、零細投信会社であるところの
弊社(特に名を秘す)からすると依然として「巨大」であることにかわりは
ありません。
さて、何故グロソブはかつてそれほど成功したのでしょうか。
毎月分配という仕組みが顧客のニーズに合致した(人気を集めた)という点が
最大の成功要因かと思います。また、グロソブの運用開始が97年12月で、銀
行の投信窓販開始(1998年12月~)も販売の追い風となったのは間違いない
でしょう。販社にとって信託報酬の取り分が手厚かった上、毎月4-5%の分配
金を支払うファンドは、「年金の代わりに」とか「預金金利ゼロの時
代…」、「みなさん買ってらっしゃいます」などという話法で銀行のお客様
にオススメしやすかったのかもしれませんね~
毎月分配型投信のヤミ
ところでみなさんは「朝三暮四」という故事成語をご存知ですよね?猿たち
の飼い主であるところのおじいさんが、餌の削減をはかったものの、朝に3
粒夕方に4粒(とちの実だとか)とする案に対してサルたちから猛反対の声
が上がったので、「じゃあ朝を増やして4粒、夕方3粒にしよう」としたら、
浅はかなサルたちは大喜びした、という故事から、目先の違いに気をとられ
実際は同じであるのに気がつかないサルをバカにする、または、口先だけで
他人(サルだけど)を騙すおじいさんの悪辣さを咎める、どちらの意味でも
使われる成語ですね。毎月分配型投信をありがたがるその気持ちは「朝の4
粒を喜ぶサルたちとおんなじや~ん」と買い手側の金融リテラシーの低さを
たしなめるべきか、それとも作り手、売り手の投信会社、銀行、証券側のモ
ラルの欠如をなじるべきか、ちょっと悩みますねー。
ちなみに「毎月分配型投信」が顧客のためにならないというのは金融庁
の2017年の金融レポートにおいて、指摘されたとおりであり
などが主な批判でありますが、高い分配金利回り=高いファンドリターンと
勘違いして(させられて)、元本を取り崩して支払われる分配金を有難がっ
たり,売れ筋の商品にわけもなく群がったり,リテラシーの低い人々が悪辣な
業者にカモられるのを見るのは精神衛生上イクナイですね~。
ということで本日のまとめ
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