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551でエア修行した私が老祥記を念頭に置きながら作るバースデー豚まん

この話は先日の「ハッピーバースデーディア俺」の続きです。

オットの誕生日に「昭和の海老チリ」をリクエストされたことを書いたが、実をいうとあれは嘘だ。いや、嘘は言い過ぎた。「半分しか言ってない」が正しい。本当のリクエストは「昭和の海老チリと肉まん」だったのだ。義実家がよく行ってた店の、思い出の肉まんも作って欲しいと言われていた。

肉まんはオットの好物だから、なんども作ってきた。小麦粉をこねる手触りが好きだし、ふくらむのは楽しいし、ガス抜きのためにゲンコツで一撃をくらわすのがまた最高だ。そのたびに「ぽええ」と変な声が出ちゃう。

肉を包むのはみるみる上達した。551のおかげだ。551の催事は並ぶのが当たり前だが、長い行列も豚まんを包むスタッフをながめていれば、ちっとも辛くない。「なるほど、指をああいう風に置いて、こっちの手で持ち上げると、ふむふむ」と脳内でシミュレーションしながらガン見する。これを繰り返していくと頭の中に「豚まん包み動画」のストックが増える。すると、いざ自分で包む時には「脳内YouTube」が起動し、いろんな角度からコマ送り再生してくれるようになる。おかげで、ぼんやり他のことを考えながらでも手が勝手に包めるようにはなってきた。

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さらに今年は新たな動画が加わった。神戸は南京町の老舗「老祥記」が、ステイホームのみなさま向けに、小麦粉から作る豚まんの動画を配信してくれたからだ。

「老祥記」といえば私の豚まん人生で、同率ナンバーワンに輝く店である(ちなみにもう1つは、奈良県にあった「天真爛漫」→現在は閉店)。好きであるがゆえに、あえてテイクアウトはせず、店内で熱々を食べることのみをマイルールにしてきた。やっぱできたての熱々が最高だと思っていた。今はコロナのせいでイートインはやってないので、仮に神戸に行けたとしても店内では食べられぬ。それなら我が家で「老祥記」のできたて熱々を作れば良いのではないか。そこでオットに問うてみた。

「ねえオット。思い出の店じゃなくて老祥記の豚まん作りt」

「いいよ!やった!老祥記!」

もめるかと思いきや、二つ返事だ。そういえばオットは神戸で老祥記を気に入り、2回もおかわりしていた。さらに向かいにある姉妹店にハシゴして、椎茸入りも食べていた。「小麦粉の皮で肉を包んだもの」はすべて平等に愛する男だった。反対する理由がなかった。

「その代わり、いっぱい作ってね」

かなえてしんぜよう。
そんなわけで今年の誕生日プレゼントの本命は「551でエア修行した私が老祥記を念頭に置きながら作る豚まん」となったのである。とはいえ例によって勝手なアレンジをしてある。今回でいうなら皮は老祥記のおおせのままに、中身を自分好みに変更した。中身をアレンジするならそれはもう老祥記じゃないのでは?とか言わないこと。

【バースデーの豚まん】

最後の発酵

<材料>


生地
薄力粉・・・250g
強力粉・・・50g
ベーキングパウダー・・・8g
砂糖・・・30g
塩・・・2g
ドライイースト・・・6g
ぬるま湯・・・170cc
ラード・・・18g (以上、老祥記YouTubeより)

中身
豚ひき肉・・・100g
豚肩ロース・・・150g(1cm角に切っておく)
玉ねぎ・・・50g(あらみじん/倍量まで増やしてもいい)

醤油 大さじ2/オイスターソース 大さじ2/砂糖 大さじ1/片栗粉 大さじ2/おろし生姜 小さじ1/ごま油 小さじ1

<作り方>

皮の作り方はぜひ動画を見て欲しい。ざっくりいうと、ラード以外の材料をボウルに合わせ、ぬるま湯にといたイーストを加える。よくこねる。5分くらいこねたらラードを加える。さらにこねる。私はフードプロセッサでこねるので、1~2分といったところか。もう手に力が入らないお年頃なのである。機械があるなら機械を使えばいいよねメーテル。

フープロ

今の気候なら、発酵するときにボウルにお湯を張らなくても大丈夫。うちは室温25度くらいの部屋に放置していたが、20分でもりもり膨らんだ。ガス抜きのパンチがたまりませんでしたわよ。生地を分割して丸め、休ませておく。

パンパン

中身の肉あんは、クワイやナンコツを入れてみたり、いろんなスパイスを入れてみたりした歴史もあるけど、結局「肉を感じるシンプルタイプ」に落ち着いた。まあ私の料理は大体がそんな感じだ。ごちゃごちゃした料理は好きじゃない。

ひき肉に醤油と砂糖の半量を加え、よくねる。肩ロースと玉ねぎをつなぐノリになるので、粘りが出るまで頑張ること。次に肩ロースと玉ねぎに残りの醤油と砂糖を加え、軽くもむ。さらに片栗粉を全体にまぶしたら先ほどのひき肉とオイスターソースを加え、均一になるようによく混ぜる。冷蔵庫へ入れて休ませる。

包み

皮を伸ばすとこ、包むところは動画をみて欲しい。餃子と同じく「目的はしっかり包んで肉を逃さないこと」にあるので、はみ出ないで、包みこむことができればそれで良い。かたちはそのうち上手になる。包み終わったら蒸し器に乗せ、10分ほど二次発酵させる。

全景

強火で15分ほど蒸しあげたら出来上がり。私はウスターソースをつけるのが好きだが、カラシ醤油でも、酢醤油でもお好きなものをつけてどうぞ。食べきれなくて残った分は、焼いて食べると美味しい。

焼き

オットの実家は中国と縁の深い家だった。特に祖父母は長野と中国の架け橋となり、中国から来た人の仕事の相談に乗ってあげたり、来日した人を家に招いたりと、何かと接点があったという。

雑技団の人たちが家にやってきたとき、おばあちゃんはどこからか冷凍の肉まんを買ってきて、それを蒸して出すように義母に言ったという。幼いオットはそれを見て「なんで肉まんなの? もっとご馳走あるのに。もっと日本のご馳走を出せばいいのに」とおばあちゃんに聞いたらしい。するとおばあちゃんはこう言った。

「あの人たちは長いことよその国を回って巡業している。ふるさとを離れて暮らす上で1番こたえるのが、食べ慣れたものが食べられないってことなの。だから寿司でも天ぷらでもなく、肉まんなんだよ。うちに来たときくらいは、そうしてあげるの」

怪しむオット(幼い)の心配をよそに、肉まんは異常とも思えるほど歓待されたそうだ。長野の印象はさぞかしよかったことだろう。

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じろまるいずみ
めちゃくちゃくだらないことに使いたいと思います。よろしくお願いします。