しばいぬとオレ 〜ハチ編〜 その1
クリスマスの少し前、ハチが我が家にやってきた。
名前はたぶんオレがつけたと思う。ハチといえば『忠犬ハチ公』が頭に浮かぶが、直感的に名付けた。
少しこじつけるのであれば、
ロッキー(初代しばいぬ)→ナナコ(ムスメ)→ハチ
6→7→8(ハチ)
ちなみにナナコとロッキーでは、ナナコの方が歳上なので、やはりこじつけである。でもハチはハチなのだ。
ハチが我が家の新メンバーに加わり、オレの中で確実に遂行しなければならないミッションがあった。それはヒエラエルキーの改善だ。犬は家族を順位づけする、と聞いたことがある。あくまでもオレ基準ではあるが、ロッキーはきっとこう見ていた。
嫁さん=息子1>息子2>ナナコ=ロッキー>>オレ
認めたくないが、ロッキーの態度を見ていた限り、オレは我が家で最下層に位置付けられていた。あくまでもオレ分析であるが、ロッキーの幼少期の記憶、日頃の接し方等からロッキーはそう順位づけをしていた。思い返せば、躾と称し、ロッキーが粗相をすれば大声で叱っていた。きっとロッキーはオレを恐れていたことだろう。
ごめんな、ロッキー。
世帯主、収入源であることなどは犬には全く関係ないのだ。可愛がってくれる人が全てなのである。
黒歴史は塗り替えなくてはならない。
目指せ、ハチランキング1位!
これがミッションだ。そうとなれば、オレもそれなりに社会経験をしてきた自称大人だ。褒めて育ててる。しかしそれだけではダメで、躾も同時にやる。さらに言えば、ハチの気持ちをしっかり考える。待ってろよ、ハチ。あどけないハチの目をじっと見ながらそう心に誓った。
ハチはまだ生後3ヶ月ほどである。息子たちが使っていた部屋にロッキーが家の中に避難する際に使っていたお古のケージを置いて、その中に入れた。ケージの中にはトイレ用のマットを入れ、水が飲めるようにペットボトルを設置した。外飼いをするにもまだ早いということで、まずは家の中での生活が始まった。
ハチがトイレマットの上で用足しが出来るたびに、褒める。褒めちぎる。失敗をしても叱らない。叱るにしても大きな声は絶対に出さない。
「あ〜失敗しちゃったね。次はがんばろうね。」
と優しい声を掛ける。オレを知る人がいたら驚くであろう。
キモい〜。
誰かがそう言ってそうだ。だが、関係ない。これはミッションコンプリートのための第一歩なのだ。
しばいぬは他の犬種より神経質で繊細だと聞く。ちょっとしたことで恐怖を感じる可能性があるのだ。ハチは普通のしばいぬよりも弱々しく見え、余計に神経質に見える。
「ハチ、うちの子に成れてよかったね!」
と言いながら撫で撫でする。環境が大きく変わってストレスも大きいだろう。ゆっくり優しく、そして辛抱強く。オレのランキング1位への道は続く。