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100年後のアイルランド語。

どーも、勢いで始めたものの全く更新できておらず申し訳ない今日この頃です。

自分の専攻は英語、具体的には英語学なのですが、そこにまつわる話をしたいと思います。

ダイグロシア

日本語では二言語併用と呼ばれるものですが、簡潔に説明すると一つの国の中で二つの言語が使われている状態のことを意味します。

このダイグロシアが起こっている国は、その多くがその国固有の言語と英語の二言語を併用しています。

何が問題なのか?

ここまで読んだ方の中には「ダイグロシアの何が問題なの?」と思った方がいるかもしれませんが、二言語のうちの一つの言語しか話せない人も一定数いるんです。その結果、二言語話せる人(多くの場合、英語+母国語)しか高給な仕事に就けないという状態が起こり、収入格差が広がり、そこから抜け出せなくなる負の連鎖が繰り返されるわけです。

アイルランド語

アイルランドでは英語とアイルランド語が公用語として使われていますが、実際は多くの場面で英語が使われていて、母国語であるアイルランド語が衰退してきています。このままでは100年後には、アイルランド語は消滅してしまうかもしれません。

言葉を守る戦い

いくら英語に追い込まれようと、ただ衰退していくだけではありません。

https://www.ryugaku.co.jp/rjnews/IE/2019/06/

アイルランドのとある看板です。アイルランド語と英語で書かれていますが、注目したいのはアイルランド語が最初にあり、次に英語があるというところです。つまりアイルランド語の方が優先度が高いということです。英語が使われることが多いのにもかかわらず、英語の優先度は低いわけです。これこそ言葉を守る戦いです。

日本の中のダイグロシア

ほとんどの人が日本語でコミュニケーションをとる日本ですが、ダイグロシアが起こっています。今回注目したいのは手話についてです。手話でコミュニケーションをとる方にとって、日本はまだまだ対応しきれていません。例えば、手話で授業を提供している大学はほとんどなく、必要に応じて手話通訳を配置するなどの取り組みはあるものの、まだ不十分です。筑波技術大学が手話を中心に授業を提供していますが、当大学にあるのは

• 産業技術学部
 • 情報工学科
 • 総合デザイン学科
• 保健科学部
 • 保健学科(臨床工学・リハビリテーション系の学問を学ぶ)

のみで、それ以外の分野の授業を手話で受けるのは難しいのが現実です。

一方、アメリカでは多くの大学で手話通訳が活発に行われており、ガローデット大学ではASL(アメリカ手話)を主要な教育言語にとして使用しており

• 教育学部(ろう教育、特別支援教育など)
• 人文学部(英文学、歴史、哲学など)
• ビジネス学部(経営学、経済学、マーケティングなど)
• 理工学部(コンピューターサイエンス、数学、物理学など)
• 視覚文化・芸術学部(美術、デザイン、メディア研究など)
• 通訳学部(手話通訳、手話言語学など)

など日本と比べて、かなり多くの学部学科の授業を手話で受けることが可能です。ガローデット大学以外の大学でも手話通訳やリアルタイム字幕を提供しており、聴覚障害者でも問題なく授業を受けられます。

今回は以上になります。

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