幸せ制作会社
人本経営実現に向けて、歩調を合わせてくれる右腕、左腕の存在も出来ました。いよいよ、人を大切にする「いい会社」づくりのために行動をしていく段階になりました。
まず初めに何をしていくべきでしょうか。
セオリーは経営理念の見つめなおし
これからこういう会社にしようと全社員に方向を指し示していくのですから、錦の御旗として経営理念を改めて提示していくことが自然でしょう。
前述したとおり、わたしが社労士という仕事を通じて、世の中に人本経営を普及させることをミッションにしたのは13年前の2008年のことでした。
翌年から恩師坂本光司教授のもと法政大学大学院の修士課程で、人を大切にする経営を学び、修士論文のテーマは「いい会社づくりの実践論」と掲げ、これを書きあげようと研究をしていました。
幸運にも修士課程の2年目に、それは面白いと出版社の目に留まり、書籍化することがトントン拍子で決まっていきました。
素晴らしい出会いを育んでくれたわが書
そうして世の中に誕生したのが、「元気な社員がいる会社のつくり方」という本でした。
この本が書店に並んで、すぐに反響がありました。会社に一枚のFAXが届いたのです。それは大阪にある株式会社ヘッズの暮松邦一社長からのメッセージでした。「読ませていただき、いたく感動、感銘したので会いたい」という著者冥利につきるものでした。
いつでもどうぞと伝えると、「明日東京へ行きたい」とのことで瞬く間に接見が実現しました。
お会いして、ものの30分で意気投合をいたしました。
ヘッズさんは、ラッピングなどの包装資材を企画制作している会社さんで全国のケーキ屋、花屋、雑貨店などの小売店に絶大な信頼を得ていて、すでにファンがたくさんいる状態でした。
業績は毎年、前年の130%程度の成長を続ける快進撃をしていました。ところが社員の離職がとまらず、採用しては辞められるということで、人のことでほとほと悩んでいるときに書店で拙書に出会い、経営者は顧客満足よりも先に社員のやりがい、働きがいを大切にすることが重要だと展開する内容に、目からうろこが落ちたということで当方へご連絡をくださったのです。
とにかく今自分が出来ることを120%全身全力で出し尽くして、ヘッズさんがよくなるようお手伝いをしようということで翌月から人本経営の指導をさせていただくことになりました。
「いい会社」にしたいという暮松社長の本気度は半端なく、当方の助言を素直に聞き入れていただき、ひとつひとつ実行をしていかれました。
まず毎月3時間ほど時間をいただき、「いい会社」とは何か、近づくためには働く社員としてどのような考え方や行動が大切なのか、気づきを得ていただくことを目的に勉強会を開催していきました。
このとき、同時に暮松社長は経営理念を思い切って見直されました。
それがこのマガジンのタイトルともなっている「幸せ制作会社」というものでした。
それまでの「感動創造企業」もなかなかのものですが、思い切りアクセルを踏み込んだことが、社員一人ひとりに明確に伝わります。
なにしろ「社員がしあわせになり支持される」会社を目指すと明言した訳ですから。
もちろん幸せの価値観は人それぞれです。けれど仕事上で幸せを感じるのはどんな時なのか、このことは初期の勉強会で皆さんに腹落ちしていただくために特に意識してお伝えしていきました。
やはり、ヘッズの社員の皆さんの心に、いちばん刺さったのは日本理化学工業の大山泰弘の究極の4つの幸せのエピソードでした。
これについては次回ご紹介させていただきますが、「いい会社」になることを目指したら、まず関わる人、全員が幸せになると手にとって分かるように経営理念として反映していくことです。
そして、そうありたい、実践できているかということが折に触れて確認できる拠り所にしていくことが「いい会社」になるためのセオリーといえるでしょう。
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