人事部長その40〜ともだち〜
親友が亡くなって一週間が過ぎた。
彼は僕と同じくがんを患っていた。
こんなに急に。
こんなに早く。
普段書いている人事考察や闘病のこと。
そんな思考が止まってしまった出来事だった。
会社でオンライン研修初日。
本当に始まる直前に、ラインが鳴り
親友4人のグループラインに一報が入った。
亡くなった親友の奥様から。
仕事中のスイッチは僕の感情に蓋をしてくれる。
実感がない事もそれに加担する。
何事もなかったように研修をこなし
何事もなかったように1日を忙しく過ごせた。
家では妻にその話をしたが
少しの考え事で、そのほかはいつもの日常だ。
その親友とは高校で3年間同じクラス。
実家も近かったこともありよく一緒に帰った。
彼はロック好きで、
エアロスミスもガンズも彼から教わった。
特にエアロスミスの『What It Takes』は
彼から教えてもらって以来、
定期的にずっと聴いている名曲。
すでにこの曲は僕の中に入り込んで
この曲と、刻んできた人生のページがたくさんある。
彼はギターが好きで、高校時代にバンドを組んでいた。
僕らは彼らのバンドを応援した。
しかし、彼とは少し疎遠になる。
大学で僕は遠隔の地を踏んだこともあり
オリンピック年に開催する同窓会で会うくらい。
会えばすぐに腹抱えて笑える仲間。
いつ会っても変わらない。
どんなにブランクがあっても変わらない。
そんなかたい友情を、しばらくぶりに会う度に
普通に感じる仲間だった。
そんな親友とやり取りを再開し始めたのは
やはり病気がきっかけ。
膵臓がんだという事をもう一人の仲間から聞いた。
僕も既に大腸がんを患っていたのもあり
いろいろとコンタクトを取った。
昨年の11月。
彼を含めた仲間4人で再会を果たせた。
新宿でおじさん4人のランチ。
少しオシャレなお店を選んだから
周りは女子だらけ。
気恥ずかしさもあったが
昔話が本当に楽しかった。
その後新宿御苑を4人で散歩。
天気もよく芝生でくだらない話をたくさんした。
再会を誓い解散。
まさか本気で最後になるとは思わなかった。
先月最後のラインのやりとり。
お互いの体を気遣う内容だったが
その時、抗がん剤治療はもうしない。
ということを言っていた。
まさか次の月に亡くなるなんて
思いもしなかった。
このNOTEでも書いているが
僕もがん患者だ。
いつどうなるかなんて分からないと思った。
膵臓がんと大腸がんでは
いろいろな数値が違うし
人によっても全然パターンが違う。
でも人生は本当に一回キリで
幸せに生きることがどんなに貴重なことで
楽しいことで、嬉しいことか。
僕だってあとどれくらい生きられるかなんて
分からない。
もう一人の仲間と一緒に通夜に参列した。
涙が止まらなかった。
大人がむせび泣く姿は見るに堪えないが
何年ぶん泣いたか分からない。
お焼香もちゃんと出来なかった。
お顔も見せて頂いたが、またむせび泣いてしまった。
親友の死をどう受け止めるか。
これはものすごく難しい。
家族を亡くした事はあるがその時とはまた
違う感情。
もう少しゆっくり時間をかけて考えて行きたい。
でも誓うことはたくさんある。
1日1日を大切に生きよう。
周りへの感謝をしよう。
すぐ行動しよう。
ポジティブに考えよう。
笑ってもらえる会話をしよう。
一言一言を大事にしよう。
そんな風に彼が教えてくれたと感謝します。
悲しみは無理に消化しないで
ゆっくり自分のペースで受け入れて行きます。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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