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最愛の『リトル・マーメイド』

リトル・マーメイドへの愛は負けたくない。

みなさんは共に育ったといっても過言ではないような作品はありますか?
私はたくさんの作品を読んだり見てきました。
ざっと何個になるのかは数えていないのでわからないのですが、
その量の物語が自分の血肉となって今の自分になったのだろうと考えています。
その中でもDVDが擦り切れそうなくらい、
ディズニーのリトル・マーメイド(1989版)と共に幼少期を過ごしました。
TDSでも絶対にマーメイドラグーンに真っ先に行くような子どもでした。
それぐらい愛してやまない作品です。

リトルマーメイドの内容をざっと説明させていただくと、
アンデルセンの「人魚姫」を元にディズニーが作り上げた作品です。
陸に憧れを抱く人魚・アリエルが、人間の王子・エリックに惹かれ
今作のヴィランである海の魔女アースラと己の”声”と引き換えに
脚を手にいれる取引をするが……?といったようなお話です。

私にとって、この作品に大好きなポイントはたくさんありすぎます。
個人的に「研究」と言えるまでいくかはわかりませんが、
原作の人魚姫を読んだり、豆知識のような物を蓄えてみたり
深いところまで知りたくて好きなように調べてみたりしています。
とにかく以下は思いつく限りを列挙していきたいと思います。
私はいわゆるディズニーオタクまではいけるほどの知識はないかと思います。
自分なりの答えというのを踏まえた上で目を通してもらえれば幸いです。

すずきまゆみさんのPart of your world の表現力

私の殿堂入りに大好きなPart of your world。
こちらの曲を聴くと、これこれ!!というような安心感があります。
みなさんもこの曲は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
ディズニーの伝説を作ったといっても過言ではないアラン・メンケンの作った
こちらの曲を、日本語版ではすずきまゆみさんが歌っています。
私は彼女の歌の表現がとても大好きなんです。
アリエルは天真爛漫な16歳です。
16歳はいわゆる反抗期もありながら、それでもまだ子どもで、
でもやっぱり女の子で……というような複雑な年頃と言えるでしょう。
作中、アリエルは父親・トリトン王と喧嘩をした後こう言います。

「パパはわからずやよ、人間のことを誤解しているんだもの。」


Part of your world 前のセリフ

そして歌詞の中にも、

『陸にはいないわ、あんなわからずやは。私は、子供じゃないのよ!』

Part of your world 日本語版

というパートがあります。
だからこそ、この曲には年頃のツンとした少女性のあって、かつアリエルのお姫様のような上品な声が必要です。これを歌い上げてしまった彼女の声は唯一無二だと思います。すずきまゆみさんのPart of your world には、切に陸に憧れる人魚がいます。たくさんの人のカバーを見たりするときがありますが、個性があってどれも素敵だと思いますが、オリジナルのすずきまゆみさんを覆すのはかなり難しいと思います。


トリトン王とアリエル、二人の親娘の許し

作中、トリトン王は頑なに人間や陸に出ることを禁じます。
それはもちろん人魚である自分達を守るためでもありますが、
彼がそういうのは過去に妻を人間のせいで失っているからです。
そういったわけで、人間を許せないという信念が彼の中で燃えているのです。
だからこそ、大事な娘であるアリエルを守るために、
彼女の憧れである陸の世界を否定をします。
アリエルのコレクションをめちゃくちゃに破壊するような
暴動にまで至ってしまう程、人間が大嫌いだからです。
その後、彼の顔に浮かぶ表情はやりすぎてしまった後悔で苦そうですが、
それでも大嫌いな人間に憧れる事を止めてやりたい父性にも見えます。

アリエルはそれに深く傷つきます。
その怒り悲しんだ衝動で今作のヴィランである海の魔女・アースラに
自分の声を差し出して、人間の世界へその脚で駆け出してしまいます。
アリエルとアースラは魔法の契約をします。
一言に”契約”といっても、一方的なアースラの要求のようにもなっています。
アリエルは大好きなエリックのそばで三日間の日没まで過ごす中で、
彼と真実の愛のキスをすることができれば本当の人間になれる、
それができなければアリエルはアースラのものになる、という内容でした。

ただ、アースラは、アリエルを利用してトリトン王から王権を得ることが目当てでしたから、最終的にその条件を満たせなかったアリエルのせいでアースラは思惑通り全てを手に入れてしまいます。
トリトン王は、アリエルを救うために、王権の魔法でも破れなかった契約書に代わりにサインをし、全てを差し出します。

その後、エリックがアースラを倒し、契約が破棄になってアリエル達が自由にはなったはいいものの、アリエルは遠くから本来の人魚の姿に戻り、海岸で体を投げ出して倒れたエリックを見つめていました。
トリトン王は、エリックに救われた事や、アリエルの人間に恋焦がれるその小さな背中を見て、決意します。自分の妻を殺した人間という憎い生き物を許して、自分の娘を人間にして送り出すことを決めました。

これは原作のアンデルセンでの設定ですが、人魚は寿命が300年ということになっており、トリトン王は娘がそれより短命になる事を受け入れて、人間の姿に変えると思うと、筆舌に尽くし難い壮大な決意です。アリエルの憧れと愛を許して、人間を許したトリトン王はとても偉大な父だと思います。

また、エンディングシーンでアリエルとエリックの結婚式が開かれています。
最後、アリエルは、あんなに反抗した相手であるトリトンへ、
一度は、大好きなものを全て奪われた事を許せなくて家出同然の事をした父に、
「愛しているわ、パパ。」と言って抱き締めます。
これこそ、許しではないでしょうか?
この深いテーマが私にとっては学びのような、素敵だなと思う点の一つです。

憧れを諦めないアリエルの姿勢

私もまだまだ子どもの部類なのかもしれませんが、日本では成人年齢を超えているので、一端の大人の意見として聞いていただけると幸いです。
歳を追うごとに、憧れることは疲れることだと思ってしまう瞬間がありました。
しかし、そんな私に希望を与えてくれるアリエルの姿はいつだって映画を通してそこにあります。
例えば、この英語版のPart of your world ではこんな歌詞があります。

up where they walk, up where they run,
(歩いて、走って)
up where they stay all day in the sun,
(陽の光浴びながら)
wonderin' free, wish I could be part of that world
(なんだってできるその世界に溶け込みたいの)
What would I give if I could live out of these waters?
(何を差し出せばこの海から出れるの?)
What would I pay to spend a day warm on the sand?
(何を払えばあたたかい砂の上で過ごせるの?)

Part of your world 英語版歌詞


夢や憧れ、Desireという言葉が似合うような気持ちが言葉に載っています。
あの歌の中に混じる最後の吐息は
悲しいくらい叶えたいと願う少女そのものです。
”Up”という言葉にも強さを感じます。

結局、アリエルは周囲の意見を変えれるぐらい自分の恋焦がれた人間の世界で、陸での生活を手に入れています。
あれだけ求めて頑張ったアリエルはすごいなと純粋に思います。
中触れていませんが、そんな血の滲むような努力をしたんだろうと思うと、純粋にすごいとしか言えません。

ディズニーにしかできないエンディング

アンデルセンの人魚姫は、王子に愛されないことが確定した際、
泡になって死ぬか、姉達の長い髪を代償として手に入れたナイフで王子の胸をさすことで救われるかの二択を差し迫られます。
しかし、人魚姫は、愛する人を殺すことはできないと、泡となって消えることを選んで海に身を投げました。
その後、風の精霊となって300年善行を積んで魂になって天国に行けることを教わる。という結末でした。

しかし、先ほども申し上げた通り、ディズニーは子どもが見る痛々しかったり苦しすぎる部分は削って改変したストーリーでお送りしています。
原作だと自己犠牲について考えさせられる作品のようにも見えたりもするし、救いがありそうでなさそうな、メリーバッドエンド的要素があります。
それを、あんな幸せなエンディングに持っていったのディズニーの手腕には痺れます。王子と紆余曲折有りつつも結ばれる事、人間の世界で生きる夢を叶える事、親娘のストーリー……ここまで綺麗にまとめれるのはすごいと思います。


ディズニーってすごい。

昨今はポリコレなどの世間の影響を受け、いろんな事を考えすぎて暴走しているようにも見えるディズニーですが、原作の良さを消しすぎないこの時代の作品はとても素敵な物ばかりだと思います。私はリトル・マーメイドが自分の人生の作品となったように、みなさんの心に残る作品としてもう一度でもいいから見てもらえたらいいな、なんて考えです。ご精読ありがとうございました!

https://www.disney.co.jp/fc/little-mermaid






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