いちごの果実の表面の種子を蒔いて、ドロップのかおりのする果実が実った
(2024.3.18加筆あり)
はじめに
やさいづくりのかたわらさまざまな手にするくだものの種子を蒔くのがたのしくてしかたない。そのなかから最終的に果実をみのらせるのに成功した例から。
きょうはそんな話。
いちごを食べるころ
実際には真冬にはじめた。本来いちごの旬は今ごろ。クリスマスなど真冬のケーキにのっかっているのはごく一部をのぞいてあきらかに施設栽培でつくったもの。
露地で実るいちごがなつかしい。わたしは冬のさなかのいちごには興味がなくまず買わない。春に地元産のちいさな果実がたくさんはいったパックを1,2回買うのが関の山。
いただきものを
ある年、雪の降るなかいただきものとして立派な果実を頂戴したがどうしようとほおばりながら考えた。躊躇するでもない。いただいたわたしが楽しめるようにといただいたのだからその意図をくんで、そうさせてもらう。
思うぞんぶんたのしもう。まず表面のつぶつぶの種子を丹念にあつめ、とったのこりの果実をありがたく賞味しつつ、水洗いして準備した湿らせたテッシュの上へ蒔いてみた。ぜんぶで100つぶほど。
その上にはそのいちごの入っていった透明パックをかぶせてあたたかい縁側に置いておいた。
縁側で
あたたかい日がつづいたおかげだろう。1~2週間のあいだ霧吹きでしめらせた状態をたもつとほのかにしろいものが種子からのびはじめていた。あっさり発芽していた。しかもかなりの発芽率。真冬でしかも暖房していない場所なので殺菌などせずに清浄な状態を保てたのがさいわいした。
これをはしでひとつずつつまんで育苗用の赤玉土(細粒)をいれた小さなプラスチックのポットに移植。すると春先にはかわいらしい葉が出てきた。このあいだうすめの液肥を水やり代わりにあたえた。
移植する
春をむかえて霜の心配がなくなったので外の植木鉢へと植えかえた。そこが気に入ったのだろう。みるみるうちに葉がふえて、ランナーをのばしはじめた。このランナーがたいせつ。これを何段階かで節ごとにきりとり、ひとかかえほどある素焼き鉢に植えかえていく。
いちごはこうした空気の流通のいい場所をこのむ。いちご用には専用の鉢もあるが非常に高価。それはつかわず、大きめの素焼き鉢で代用。庭先に棚をくんで風とおしをよくした。たくさんのランナーが出て棚からいくつもぶらさがるほど。このランナーを根もとのふくらみごときりとり、つぎつぎに素焼き鉢へと移していった。
そこでひとくふう。いちごだけだといろいろなものが実った場合に果実を食べてしまう。そこでねぎを素焼き鉢に混植。いちごと交互に植えつけた。コンパニオンプランツと言っていいかも。
おわりに
定着後には弱った葉はいたみやすく病気などをよぶので早めにとりのぞき、株の下の空気の流通をよくした。これがよかったようで、さっそく株もとがふくらんで花芽があがりはじめ、またたくまにつぼみがふくらみ開花。まるい花弁のかぐわしい花が開いた。ほのかなさくらのような香り。
するとまんなかがあわく若草いろにふくらみはじめた。1人前に表面につぶつぶが見える。すでにいちごのかたちになりつつある。ここから用心が必要。周囲には虎視眈々と赤く熟すのを待つ虫や鳥たち。
それらの目につかぬようによく乾燥した枯れ草をふんわりとうすくかぶせておいた。植えたねぎもよく生長してくれてうまくカモフラージュできている。ここにはおいしいものはありませんよと言いたげ。
そして果実が赤く熟した。この果実、いただいたときとはちがいすこしだけ小さいがかおりはいちごのドロップスの香り。あじはあますぎずにむかしの酸味とあまみのバランスのとれた味。
きっとワイルドストロベリーの性質があらわれたのかもしれない。病気にあわなかったのはそのおかげかもしれない。なにもくすりをかけずに1年あまりのちにようやく果実をあじわうことができた。
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