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2015年ごろにふってわいた新入試の記述問題にまつわるそののちの顛末について
はじめに
またまた8年まえに記した文章から。あいもかわらず入試に関して。このころ教育指導要領の改定にともない、入試のなかみがさまがわりするとさかんに報じられた。つぎの2025年度の大学共通テストがまさにそれに該当する。
そのため学習サポートを個人で運営するわたしははやめに対応しないと準備がままならないために、当時から行動をはじめていた。すでに教科書や高校入試はその方針で変わりつつあった。ところが世の大学入試は思わぬ方向に…。
2015年1月の内容をほぼ原文のままここへ転記する。( )内は今回加筆。
きょうはそんな話。
入試が変わる
大学入試の新テストについてモデル問題が公表されました。すでに新聞などの報道で目にされた方もいらっしゃるでしょう。中学2年生以下、したがって小学生のみなさんはその新入試に該当します(2015年当時)。
この内容について評価することは今回は避けようと思います。予測はしたいのですが。まだなにも具体的なことが決まっていない試験なので評価しようはないです。
一見したところとくに目新しさは感じませんでした。すでに中高一貫校向けの入試などで目にしているからでしょうか。こうした形式の問題に目が慣れてしまった感じがします。それよりもさまざまな問題に対して「記述式で」モデル答案を作成しなくてはならなくなりました。筆記かパソコンへの入力による記述式で答えることになりそうです(当時のまま)。
採点の方法は
ある段階までの採点はコンピュータで行い、判断がつかないものを人間の目で見て採点する方法などが検討されています。すでに大規模な模試などでは10万人単位の模試で記述式の採点は行われています。しかし多くの場合それらはていねいに人間が採点しています。
コンピュータを使って記述式の答案を採点するとなると、さまざまな制限が生じます。どこまでを正解とすべきか判断に困る答案も出てくることが想定されます。
新テストは発想力が豊かかどうかなど大学がほしい人材を選抜するための目的のはずです。独創的な答えをコンピュータが果たして採点できるものか疑問です。
独創であれば、想定した答案の範囲を逸脱する場合もある気がするのですが。そもそもそういった答えが出ないような問題づくりをするとすれば、それは発想や独創性を測る問題としてふさわしいのかどうか、べつの疑問も湧いてきます。要領のいい生徒は「無難な正解」を書き連ねるでしょう。
受験業界では
そしてほぼかならずそうなりそうですが、予備校などの指導により対策にでこうした問題もそつなくこなしてしまう可能性はあります。コンピュータ採点の「くせ」は何度かの試行テストでわかってしまうと考えられるからです。結局☓にされにくい無難な答えを書くことが要求され、逆に「没個性的」な答案を書く練習が横行しなければよいのですが。
そして、大学全入時代と言われて久しくなっています。そのような大学への入学試験において、このような問題がはたして選抜に適切なのか疑問です。記述どころか基本的なところも怪しい層にとって、これらの問題では、地を這うような点数で競い合うことになってしまわないでしょうか。
だれのための改革か
逆に難関大学をねらう層にとってこの程度のゆさぶりの影響はないでしょう。この層の生徒はどんな試験をしたとしてもそつなくこなしてしまえることが多いです。
今回の入試改革は問題作成や採点の苦労のわりには、大学や政府が養成したい力を見る試験としてはたして機能するのかどうか疑問符だらけです。大学進学率が上昇してもそれ以上に少子化がすすむはず。ひとつの大学をめざす生徒はこれからはそんなに多くない状況にすすむでしょう。
その層の生徒たちが多くを占めるなかで、選抜法の初期段階で記述式をくわえて選抜したところであまり違いはないと思います。すでに多くの私立大でAO入試、推薦、多岐にわたる入試の枠を大幅に増しており、共通テスト利用の割合はそれほどありません。経営のさきを見越していると思います。
クニは国立大学に対して、入り口よりも出口のほうをみなおす方向性のようです。本来そうあるべきで、より注力すべきはこちらかもしれません。ところが留年に関しては大学評価できびしく査定されるようで、矛盾を感じます。
いま思うに
ここからは2024年現在でのコメントを。
すでにお気づきだろうが、当時は共通テストで英語や国語、数学などで記述式答案が課されそうないきおいだった。そののちすったもんだのあげく、共通テストで当面のあいだ記述式解答は直前になって課さないことに。内容などは以下の文科省の資料にある。
https://www.mext.go.jp/content/20200513-mxt_daigakuc02-000007071_11.pdf
のちへの検討課題になった。
当時クニがやろうとしたことの多く(たとえばセンター試験にかわる高校中途段階での複数回の試験、英語検定による代替試験、口述による解答、夏試験・秋入学の検討など)いずれもとりやめに。
その一方で、公立高校入試は理科・社会・数学をふくめて記述式の解答の割合があきらかに増した。受験指導の中心は中間層の生徒にいかに文章を抵抗なく書くかに変ってきた。これは理解力や表現力などそれまで以上にもとめられる。それはプラスの面かもしれない。
おわりに
この途上でさまざま問題点が露見した。ここに記すまでもない。検討段階での詰めの甘さがどれにもある。とくにプロジェクトの構築の段階でのもろさが見えてくる。ふりまわされるのはこどもたち。立場上、一方的に批判したくないし、なかにはいずれはとりいれるべきものもあるだろう。よかれと思いやりはじめるのだろうが。
このクニのもがきあがくようすは、こうした教育面だけの問題ではないのかもしれないが…。
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