過渡期の学年の入試の英語はどうなりそうか予想してみた
(2024.6.25加筆あり)
はじめに
今の中学生たちの英語の教科書のむずかしさはひとむかしからすると予想を上回るレベルかもしれない。そのめやすのひとつは英単語。学習サポートの生徒たち(中学生~高校生)のディクテーションやシャドウイングの練習は以前の高校生(前半部分)とおなじものがつかえるほど。
なにも極端なことをやっているわけではない。指導要領がそうなった。過渡期なのだと思い知らされる。教える方も意識の改革がもとめられそう。
きょうはそんな話。
教える内容とレベル
連続しているようでどこかしていない。それは学校で教わる英語。すでに世代ごとで義務教育で習う英語はかなりちがう。もちろん将来にわたってつかえる教養となってほしいのはもちろん。新課程への変化でそれを如実に感じる。
くわえて以前からさまざま指摘されているように、中学と高校のみならず小学校と中学校のあいだでのギャップもそう。各教科にそれは多少あるがとくに英語のギクシャクぐあいがいちじるしい。
残念ながらすでに10年ほどまえ、小学校の段階で英語をできるようになりたいというきもちをもつ一方で、なかば関心を失いかけている児童がかなりいると気づいた。興味を感じにくくなる時期が中学校から小学校にずれただけのよう。それについてはその当時の専門家もいろいろとりあげている。
https://www.arcle.jp/research/books/data/html/data/pdf/vol8_4-3.pdf
https://berd.benesse.jp/up_images/research/03_Tyu3_Eigo_Keizoku_web_P4-12.pdf
それ以前から成績に関して2極化は顕著だと感じている。入試のデータにそれがあらわれている。ある県では成績が正規分布していない年がよくある。
そのなかで
とはいえここは学習を支援する場。意欲をうしないかけた、あるいは自分でやってもやりかたがわからず途方に暮れる状態からすこしでも前向きにすすめられるようにサポートする。はじまりはたいていそんな状態から。
英語についてはやはり途中の段階でおいてきぼりになったことがわかる。しかたがないのでその前にもどり、手順を追ってコツコツと地味な作業をはげましつつおこなっていく。その多くは単語の習得。
ひとむかしまえとくらべて
今回のカリキュラムの変更をわかりやすくいうと、ひとむかしまえの中学校で学んだ単語の半分ちかくは小学校へ(しかし「書き」はあまりやらない)、それは中学校では履修済み(つまり書けること)になっている。そして高校前半の単語が中学校へ降りてきたといっていい。文法事項の一部もおなじくそんなふう。高校の早い段階で教わるものが中学校へと移っている。
それだけでない。入試のリスニングを聞きくらべると、あきらかにスピードが早いうえに分量も多い。1回しか音の聞けない問いの割合のほうが多い。隔世の感がある。共通テストの英文は各問とも長くなりつづけ、ここ数年この分量。試験時間は変わらないのでとうぜん話者は早く話すことになる。おそらく今回もこの分量だろう。
どう対処するか
サポートする側も予習時の内容の更新が欠かせない。わたしはすでに半分リタイヤ状態で、しかも来年度は学習サポートを閉じる予定でいるのに、最後の最後で内容の更新作業をやってそれでおしまいというなんとも中途半端な状態。それもまあ仕方がない。
それ以上に当事者の中学生はなかなか大変。下の学年から積み上げてきたので慣れてしまっているのかもしない。いきなり中学生当時のわたし(授業以外ではあまり勉強せずともついていけた生徒だった)がいまの中学校に入ったらなにもできずに右往左往しそう。
さて過渡期の入試
今回はその過渡期の入試。共通テストのしくみはガラリと変わるが、英語に関しては昨年とは大幅に変えにくい事情がある。それは過年度生の受験上の扱い。
あくまでもカリキュラム変更に伴い入試は変わるが、いつも過年度生の負担軽減のための措置が数学などの教科ではある。しかし共通一次以来、過去に英語に関しては過年度生むけの措置は目につかない(気づいていないだけかもしれないが)。
もうひとつは過去のカリキュラムや入試制度変更時がどうだったかということ。今まではその時期は平均点などをみるかぎり、ここ数年の難易度に変化は見られない。
今回もその点では2,3年前からすでに問題の形式など調整済みなために、あえて今回の制度変更時に大きく変わることはなさそう。したがって毛色のちがう問題をさほど気にする必要はなさそう。むしろここ数年の問題傾向を把握し、共通テスト特有の形式などに慣れて解けるかたちにもっていきさえすればよさそう。あとは本番の試験にむけて淡々と日々の学習をすすめたい。
おわりに
つくづく学習サポートでこれまで高校生を教えてきてよかったと思った。高校生の内容(とくに前半)をほぼ中学生へとシフトすればいい。もちろんシャドウイングなどに関しては早い段階からやるうえで内容を精査する必要がある。
中学生の生活により合うように文の長さやつかう単語にくふうがいる。それらを支援してくれる教材を知り、活用する術も機材などが豊富(スマホが活用できる!)なので、あとは生徒ごとにどの段階から取り組むかをこちらでしっかり判断。
世間では入試がようやく変わるため議論されはじめた感があるが、このカリキュラム変更はずいぶんまえから関係者のあいだでは議論されていた。そんな傾向を10年ほどまえから予測し対策をすすめ、準備をしていまの生徒たちをむかえている。
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