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種子から育てて収穫にこぎつけた 梅の果実の収穫、梅酒・梅ジュースを漬けるまでの20年


はじめに

 おとなりの小梅の大木(なんか変な表現)からわが家にこぼれ落ちた完熟果実より発芽したバラ科の果樹Prunus mume(日本名:梅)。種子から育てているので実生。

発芽から20年あまり。先日までさむいなかで花をつけていた。ここ数年、安定してよい実がなる。毎年5月に収穫して梅酒と梅ジュースに漬ける。木に残る梅は完熟をめざす。

実生から


 うえに書いたようにこの梅は実生。もとはおとなりの小梅。とは名ばかりで大木で老木。推定樹齢70年ほど。すでに枝先は人の手のとどかない。2階よりもはるか高所にたくさんの花と実をつけている。収穫をなさらないようで、たくさんの果実が周囲に落ちている。

はるか人類が梅の祖先を栽培する前からこうして実が熟すと木から落ちて、一部は動物たちの食べものとなり、口にはいるのをまぬがれた種子が発芽、実をつけて自然と周囲に子孫を残すエリアをひろげていったのだろう。

うちの庭で悠長にそれをやっていたのでは何世代もかかるので、わたしはあっちでもないこっちでもないと実生の苗木の移植をくりかえし、いまの庭のこの位置に落ち着かせている。


幹が太くなったが…


 さすがに実生の苗。接ぎ木の苗とちがい大木になるだけの親の形質をみごとに受けつぐ。生育は旺盛。あっというまにわたしの背丈をこえ、手がとどかなくなった。そして4年で花をつけはじめた。

まだ生長したいらしく枝をさかんにのばす。実は小さいうちに落ちてしまう。このようすをながめていると、やはり小梅か花梅の雑種かなと思わせた。

いつでも移植できるようにコンパクトに刈り込んだ。根も周囲をスコップを挿していわゆる「根回し」をしておいた。

ここまでですでに7年が経過。


実がなりはじめる


 このたびたびの移植がよかったかも。移植でたいてい根をいためる。しかも庭の土壌はそれほど厚くない。谷と谷のあいだの小規模な扇状地。庭の地中は大きなかたい河原の石。根は横には伸びても深くははいらない。

それだけ木を[いじめ」たのがよかったのかも。ある年から開花のあと実がつくように。

それでもついた実は小梅ほどのサイズで熟れて落下。やはり親とおなじ小梅かとこの時点では思った。花をたのしみ、実はそのままなるにまかせて収穫せずに完熟する梅のかおりをたのしんでいた。おとなりの前述の大木といっしょ。ここまでで13年ほどか。


実が大きく病気に強いかも


 実生苗なので雑種にちがいなく花梅としてしばらくたのしんでいた。実梅はもっぱら畑の木から収穫。こちらは南高梅というごくふつうの品種。安定して実をつける。ただし黒星病に侵される。

庭の実生梅に話をもどそう。木の生長が落ち着いて先端の上向きの枝の伸びはそれほどではない。

すでに発芽から15年ほど経過。幹回りは50センチを超え、実が大きくなりはじめた。落ちずに残っている。LLサイズを超えるぐらいが交じる。

完熟間近の実生梅の果実

しかも黒星病がまったくみあたらない。この木から10メートルほどのところにしだれ梅(花梅)、ちらほらではあるが実をつける。

実生梅のごく近くのしだれ梅


ただし花梅で黒星病耐性はない。黒い点々が実の表面にある。べつに食べても問題ないが黒い斑点がめだつ。

ところが実生の木はこんなに近くでも黒星病がでない。この実生苗には耐性があるのか、もともと実生なので病気に強いのか。そのいずれかだろう。


よい形質が安定すれば接ぎ木用に


 この実生苗の実がとても立派なことは近所の販売所で確認できた。このところ店の商品を見ているが、これほどの実を販売していない。これでは文字どおり自画自賛ではあるが、4年前には4割ほど高い値段をつけて数か所の販売所ですぐに売れた。

 種子が大きいだけかなと思ったが、梅酒に漬けて実を食べると果肉が厚い。あじもいい。種子はふつうサイズ。

漬けたばかりの梅酒

おわりに


 どうやらこの実生、親の小さい実の形質は受け継がず、ヒトにとってづごうのよい形質をいくつも持ちあわせる雑種(ハイブリッド)だろう。ここ数年の傾向からひかえめにそう言ってよさそう。

せっかくなので実のつかない梅や黒星病が出やすい形質の梅に接ぎ木か挿し芽で接いでみようと思う。 


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