基本情報技術者試験で連敗続きからようやく合格できた人間が、応用情報技術者試験の一発合格を目指すためにしたこと【令和6年春】
はじめに
令和6年春に開催された応用情報技術者試験(以下、AP)の初受験で合格できたので、その取組について記事にします。
IT業界従事者や基本情報技術者試験(以下、FE)合格者であれば特に参考になるかと思います。
【この記事をおすすめしたい方】
FE合格直後で、AP合格を目指す方
社会人で資格の勉強とそれ以外ことが両立できるか不安な方
一日のうちどれだけの時間を勉強に割けば良いか分からない方
午前と午後対策の時間配分について知りたい方
参考書に載っていない単語が出題されて困った経験のある方
【主な取り組み】
無理のない範囲で学習時間を作る。
学習をルーティン化する。
試験問題を実際に解いてみる。
試験問題を解いてみて足りない知識を補強する。
可能であれば、過去問や参考書以外からも知識を拾い集める。
午後対策を優先する。
午後問題の選択については可能な限り絞り込む。
筆者について
30代、経済学部卒のSE
とある基幹系システムの運用保守を10年以上担当。
業務ではSQLを扱ったりサービスマネジメントの問題に出てきそうなことをやっている。(ITILでいうところのサービス・トランジションやサービス・オペレーションに関する部分に深く関わっている。)
調査のためにSQLはよく使っている。
FEについてはn連敗の後、2023年にようやく合格。
→FEの連敗期間中はIPAの試験は午後試験が本番であることや、過去問演習が重要であることに気づかずにズルズルと敗北を重ねていた・・・。
このこともあり、AP受験時は下調べのうえ入念に対策した。
令和6年春応用情報技術者試験を受験した話(リンク)
大まかな学習期間と内容
2023年の年末から開始し、4ヶ月ほど学習。
基本的に午前対策は過去問道場周回によるルーティン化し、午前の過去問周回と平行して
2024年1月末頃から午後対策に着手した。
スキマ時間に午前対策を行いつつ、午後対策に大半の時間を割いた。
午後対策には平日1時間、休日1〜2時間程度の学習時間を確保。
無理のない範囲で学習を習慣化でき、仕事や趣味や家庭等と両立可能な学習時間だと思う。
実際に休日は午前中1~2時間程度勉強して、午後からは自由時間という日がほとんどであった。
学習時間1時間であれば、午後の過去問の大問1つを解答と見直しまで行うことができるはず。
1ヶ月目:午前問題でわからないところを合格教本で重点的に学習。
2ヶ月目:スキマ時間に午前の過去問を周回しつつ、まとまった時間に緑本の演習問題に着手する。
また、午後問題の選択について検討する。
自作の単語帳の作成と学習を開始。3ヶ月目以降:緑本2周目と過去問道場の午後問題による過去問演習を行う。
午後問題の選択の方針が固まってきたのでその分野について重点的に学習を行う。試験2週間前〜:最後の追い込みとして、合格教本のネットワークとセキュリティの箇所を読み復習。
あとは下記をルーティン化し、学習を習慣づけた。過去道場(午前)周回→毎朝80問、電車で移動中に実施。
計算問題は休日に午後問題の演習前に少しずつ学習。午後問題→平日帰宅後1時間、休日午前中の1~2時間を確保し過去問演習を実施。
終盤は毎朝の過去問道場周回プラス、単語帳アプリによる学習。
使用教材
令和06年【春期】【秋期】 応用情報技術者 合格教本
辞書代わりに使用することを推奨。
過去問周回中、わからない単語がれば巻末の索引から探したりできる。
特にデータベース、ネットワーク、セキュリティあたりは体系的に整理されており、FEに合格できる程度の知識があればおすすめ。
分厚いので基礎理論から読んでいくのは精神衛生上よろしくない。
応用情報技術者 午後問題の重点対策
通称緑本。午後対策に必須とも言える。
午後問題の解答の根拠等を丁寧に解説してくれている。
一度解いてみて、間違えた箇所の解説を読んでは理解する、の繰り返し。
解答用紙もダウンロードできるので、印刷して記述に備えたい。
応用情報技術者過去問道場
こちらも必須レベル。
午前、午後ともに解説付きで網羅されており有り難い。
午前対策
試験直前までスキマ時間のある限り過去問道場を周回
APを受験すると決めたその時から、過去問道場を周回しましょう。
直近2回分を避け、平成29年秋~令和4年秋の10回分をひたすら周回した。
直近2回分(令和5年春秋)は試験直前に模試感覚で解いた。
FE合格直後の知識でも半分くらいは正解できるはず。
・チェック機能の活用
以下のようにざっくりとした感覚で使用した。
緑→いつでも即答できるレベルの問題
黄→半々くらいの確率で間違える問題
赤→高確率で間違える問題
試験直前は黄、赤の問題を重点的に学習し、取りこぼしを減らすようにした。
シラバスにも目を通して気になった単語は調べる→案外参考書に乗っていない単語もある
最近の傾向だと最新の参考書でも載っていないような問題が出題されることが多いと感じている。(令和6年春でいえばデジタルガバナンスコードやバリューストリームマップ等)
しかしシラバスに目を通しておくことで対策は可能。
きっかけはFEを受験したときの話。
CBT化後の問題なので詳細は伏せるが、
とある単語について尋ねる問題が出題されて、困惑したことがあった。
試験後、こういった意地悪な?問題はどう対処すればよいかひたすら考えた。
シラバスに目を通したところ、その単語についてちゃんと記載があった。
つまり、その単語について分からなかったことは、
シラバスに目を通すことをサボった代償ということ。
APでも、直近でLiDARや情報銀行といった問題があり、令和6年版の合格教本から探し出すことはできなかった。
しかしこちらについてもシラバスにはしっかりと記載があった。
(LiDARに関してはiPhone Proシリーズに搭載されていたりするから、拾えなくはないが・・・。)
APのシラバスは100ページ以上あり、様々な分野に関することが記載されている。
一から十までをインプットするのは莫大な労力を要するが、最近の頻出分野(DX、AI、IoT、アジャイル開発等)とセキュリティ関連の部分だけでも目を通しておきたい。
一点でも多く貪欲に稼ぐためには
色々検索していると「午前で見たこともないような問題が多い。難化しているように感じる。」という意見を見る機会が多くて、正直戦々恐々としていた。
そのため、午前の足切りを受けないためにも、一点でも多く稼ぐ必要があると感じていた。
【意識したこと】
午前過去問周回の段階で、近年の出題傾向を掴み、その分野を重点的に対策(クラウド化、IoT、Society5.0、AI、No SQL、コンテナ型仮想化等)
正解以外の選択肢についてもなるべく覚える(例:フェールセーフ、フェールソフトなど)
クラウド化について、SaaS/PaaS/IaaSのそれぞれでできること、できないことを覚える。→午後問題でも各分野で出題が多い。
計算問題は初見の問題であっても計算式さえ知っていれば解けるものがほとんどなので、なるべく多く対処できるようにする。
シラバスや過去問から覚えておくべきキーワードを見つけては単語帳アプリに入力。(このおかげでデジタルガバナンスコードや午後のゼロトラストを拾えた。)
あとは余裕があれば、IPAのサイト内にある情報セキュリティ10大脅威やDX推進指標等に目を通しておくのもよいだろう。
午後対策
緑本+過去問道場を主軸に過去問演習を行い、過去問を解いた日と正答率を記録しておく
午後の重点対策(緑本)には午後の問1〜11が演習問題5~6まで
解説付きで収録されている。
緑本については演習問題を2〜3周は解いてみて、解答のポイントを押さえる。
早い段階で記述に慣れるためにも付録の解答シートを印刷し、記述するクセをつけていきたい。
また本番では150分という試験時間なので、大問一つを30分以内に終えられるようにしたい。
必須のセキュリティと、IT業界従事者であれば実務経験のある分野から優先的に解いていく。
問題選択が未確定の場合は、一通り過去問を解いてみて感触のよかった分野から検討していくのも良いだろう。
午後の問題選択についてはなるべく早い段階で、セキュリティ以外を5〜6つくらいまでに絞り込んでおきたい。
そのうち2〜3つを本番当日の出題内容に関わらず決め打ちできるとさらに有利になる。
(筆者の場合、データベース、サービスマネジメント、システム監査を決め打ちで行く方針を取っていた。)
また、Excelなりスプレッドシートで解答した日時と問題と正答率を管理することで進捗と正答率の良し悪しを一目で把握できる。
緑本を終えたあとは、緑本に収録されていない午後の過去問にも着手する。
特に令和に入ってからの過去問は最近主流のクラウド化等を取り上げていることが多いので一通り着手しておきたいところ。
過去問道場の午後問題はページ内に入力して解答することもできるが、記述式に慣れていない場合は手書きで学習しておきたい。
メンバーシップ制度に課金すれば午後の解答用紙を入手できるが、無ければ適当な紙を使っても構わない。
真っ白な紙を使う場合は、文字数は指折り数えながらカウントするか1〜10まで数字を書いた下に、10文字ごとに折り返して記述する。
午後対策で学習したことが午前に役立つ場合もある
過去に午後問題で出題された内容と類似した問題が、午前に出題されていたりする。
令和6年春の午前問題で言えば問26のCOALESCE句と問28のスタースキーマについての問題。
これらの問題に関しては午後の過去問演習が午前にも役に立った。
午後の過去問でも選択や穴埋め問題に出てくる単語はその都度拾い集めると良いだろう。
(セキュリティ、DB、情報システム開発あたりは特に。)
試験当日の心構え
できれば電波時計を持参。(試験監督の合図と同じタイミングで開始できる。)
9時頃には会場に到着できるようにしたい。
生年月日、受験番号の記入、午後の問題選択の丸付けは開始直後に落ち着いてゆっくりと書くくらいでいい。(焦って間違えたり無記入になると最悪。)
午前は11時〜11時半くらいには途中退出を目標。
午後は15時半まで粘るつもりで。
自己採点のために記述問題の答えは書き写さない代わりに問題文の該当箇所に下線を引いておく。
帰宅後はなるべく早く午後の解答をExcel等に記録し、解答発表に備える。
最後に
FE合格直後から戦略的にAP合格へ向けて準備したおかげで無事合格できた。
合格率20%台という数字に惑わされがちだが、
その数字も午前で半分が落ちて、また午後で午前通過したうちの半分が落ちるというロジックであり、
正しい方向へ学習を重ねていけば充分太刀打ちできできるる内容だと感じた。
IPA(≒経済産業省)の試験ということもあり、IPA、経済産業省、総務省を始めとする組織がITを通じて国を挙げて今取り組んでいることについて所々に反映されているように感じた。
クラウド化、AI、IoT、ビッグデータといった問題が多いことも、元を辿ればすべてSociety5.0に紐付くものだからだ。
CBT化後のFEしか受験の経験がない場合、AP受験時の朝から夕方まで試験会場に居なければいけないことや試験会場の雰囲気に戸惑うかもしれないが、この記事がFE合格後に積極的にAPを狙う人たちの役に立ちますように。