かたき、それは命がけの戦争
特に小3のころかなー。やらない日はないくらい一年中 'かたき'、 'ふっかつ' のボール投げバトルを、3-3の男子はグラウンドで繰り広げていた。
もう、2時間目が終わる10:20の5分前ともなると、心ここに在らず、授業など気が気ではない。うちの小学校は授業開始、終了の'チャイム'という仕組みがなかった。
だから、少し早く授業が終われば、時計が定時を指すまでは教室から出ずに待機する。時計の針が定時を過ぎているのに担任が授業を終わらせないときは、毎度その無能さにはらわたが煮えくりかえっていた。時間守れよ。大人だろ?
その日も2時間目が終わり、3-3の男子どもはグラウンドまでの最短ルートを各々の全速力で突っ走る。およそ1分後には、10名近くの、もしくはそれ以上の男子達はグラウンドに集まっている。
いつものように、ボールを持っている奴が空高くそれを蹴り上げ、3バウンドするまで待つ。3バウンドしたことを確かめたら(最初の所有者になるにはフィジカルが強い必要があるので大抵のいつものメンツがそれを手にする)、いつものように戦争が始まる。
各々のフォームで各々の球筋を描き、各々を狙い全力でボールをぶつける。
今考えたらそうなるべくしてなってたとおもうんだけど、これって、個人戦だけど2陣に分かれるのね。
10人いたら10チーム、ではなくて、グーチーグーチーをするわけでもなく、勝手に2チームになってたと思う。それは、図らずも自然の摂理、世の摂理として、ぼく達の前に自然に現れていた。
んで、その日もいつものように20分間各自最大限のパフォーマンスを繰り広げ、さんぽがなったら教室に戻りはじめる。
え、どの小学校も、中休みと昼休みの終了3分前くらいから さんぽ 流れるよな?
その日の戦争終わりの記憶だけは、はっきり覚えてる。おそらくクラス替えで集まって間もない時期だったと思う。夏休みよりは前。
なにがきっかけかは覚えてないけど、敵チームの一人が、玄関前の広めのスペースで俺に向かって鬼の形相で迫ってきた。もしかしたらなんかおれが挑発したのかもしれないし、その日の戦績などで相手方にフラストレーションが溜まっていたのかもしれない。わたくしはボール投げの実力はクラス四天王に入ってたから、そいつのことは正直見下していた。いや、その上背でそれかい、10センチわけろや、と。
首を締めてきた。多分、結構入ってたと思う。じゃれ合いとかでは全くなくて、まじで余裕でアウトなライン超えてるやつ。
したらさ、いつもは、ってかそれまで一度もそいつのそんなところ見たことなかったけど、おれチームサイドの頭取がすぐ気づいて、「…おいなにしてんだよ!!!死んだらどうすんだよ!!!」って鬼の形相で、首絞めてるそいつの腕を解いて、多分打撃の一発でもかました気がする。
いや、こんなに覚えてるのウケるけど、多分結構首入ってたからそのカウンターなかったらやばかったかもしれない。で、その頭取の形相が異常に記憶に残ってて、それまでは結構遊んでても調子こきがちなヤツだったし何回ムカついたかわからんけど、その日は唯一、ガチで男としてカッケーって思ったね。
そっからの記憶はないからさらに遺恨を残してのちのち〜とはならなかったはず。そのことに関して教師に説教された記憶もない。てか教師は見てないから知らんか。あいつらおれが女子泣かしたらつど委託報酬を受け取ってるかのように仕事してきてたのにな。小学校の男教師はまじでどんなブスであれ女の味方する。しょうもねえ大人だよ。
かたきしてたら、月に1回は、プレイ中にボールがプールの上に乗っかって降りてこなくて貴重な20分休みをドブに捨てる。その後の授業はテンションダダ下がりでオラつきアピールしてた気がするなあ。
グラウンドで20分間、かたき、したい。
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