桜の季節10
前回の桜の季節はこちら。
「私はいいんです。この辺りも近代化が進み、私たち植物には住みにくい環境になりつつあります。思った様に根もはれず、このままではもっても20年ほどといったとこでしょう。」
「しかし、本来死ぬ予定の人を生き長らえさせたら……。」
「未来が変わってしまいますか?」
「私たち死神には未来はか分かりませんから、そこまでは言えませんが。何かしら異変は出るのでは無いかと。(小声で)あと時間を司る奴に怒られるな。」
「2日!2日だけでも構いません!……但し、私の残りの20年をフルに使って、庄ちゃんを若返らせてあげて欲しいの。」
「若返らせる!?」
「庄ちゃんの夢を叶えてあげたいんです。」
「夢?」
「ハイ、若い姿で一雄君に伝えさせてあげたいんです。庄ちゃんの言う、本当の強さを。お願いします。」
深く頭を下げる桜の精、スレイブは考え込んでいる。
「……、私も鬼ではありません。」
「それじゃ!」
「鬼すら恐れる死神ですよ。」
その言葉に肩を落とす桜の精。スレイブはその姿を見て悩んでいる。桜の精の願いを聞く必要はないが、それが庄之助の為になるのなら。しかし、死ぬはずの人間を生かすなど……。スレイブの中で葛藤が続いていると桜の精が。
「賭けをしませんか?」
「賭け?」
突然不思議な事を言い出す桜の精。
「私は今ここにコインを持ってます。」
桜の精はどこで手に入れたのかコインを持っていた。
「このコインを投げてキャッチします。裏が出たら私の負け潔く諦めます。表が出たら私の勝ち、その時は私の願いを聞いてください!」
スレイブはまだ悩んでいた、賭けのこともよりも庄之助の事を。
「もう!聞いてますか?いきますよ!」
桜の精はそう言うとスレイブの返事を待たずにコインを投げた。
つづく
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