左利きが淘汰されなかった理由
対戦型スポーツでわかる左利きの優位性
皆さんは右利きですか?左利きですか?
世界的には右利きの人の方が圧倒的に多く、だいたい9割の人は右利きです。
では、なぜ左利きは淘汰されずに1割程度存在しているのでしょうか?
自然淘汰によれば、優位な形質が受け継がれてゆくので、左利きが不利な形質であれば淘汰されるはずです。
この疑問を解決する為にはスポーツ選手の利き手を調べるのが大切です。
野球やボクシングなどの対戦型のスポーツでは左利きの割合が通常(10%)よりも圧倒的に高くなります。
野球では32.9%が左利きで、ボクシングでは20.1%が左利きです。
反対に、ゴルフのように道具が共有されるようなスポーツでは左利きの割合は4.2%にまで低下します。
現代で人気のスポーツの競争から祖先の環境では頻繁にあったであろうヒト同士の殺し合いでは少数の利き手が有利になります。
なぜなら、競争を行う場合には自然と多数派の利き手に対して練習を積み重ねることになります。
右利きの人も左利きの人も右利き用に練習するわけです。
したがって、すべての人は右利き用に練習していますが、左利き用には練習をしていないので、左利きと対戦する場合は左利きが優勢になります。
これが繰り返されると、左利きの数は世代を重ねるごとに増えていきますが、左利きの割合が50%を超えると今度は右利きが少数になり、右利きが有利になります。
つまり、競争下では右利きと左利きの割合はいずれ同程度になります。
反対に、道具を共有したり、協力関係を繰り返すと、一方の利き手のみが増えていき、次第に一方の利き手は淘汰されます。
つまり、人類は競争もしてきたし、協力もしてきた為に左利きが淘汰されなかったわけです。
参考文献:
Abrams, D. M., & Panaggio, M. J. (2012). A model balancing cooperation and competition can explain our right-handed world and the dominance of left-handed athletes.Journal of the Royal Society, Interface,9(75), 2718–2722. https://doi.org/10.1098/rsif.2012.0211