児童虐待とマルトリートメント - 子どもたちの健やかな成長を守るために
今回は、児童虐待とマルトリートメントについて詳しく掘り下げ、その影響や社会的対応について考えてみたいと思います。
児童虐待の現状と定義
2020年度、全国の児童相談所が対応した児童虐待相談は過去最多の205,044件に達しました。特に、心理的虐待やネグレクトといった「目に見えにくい」虐待が増えているのが現状です。
児童虐待防止法では、保護者が18歳未満の児童に対して行う次の4種類の行為を「児童虐待」と定義しています。
身体的虐待
子どもの身体に外傷が生じる、またはその恐れのある暴行を加える行為。例えば、殴る、蹴る、投げ落とす、熱湯をかける、溺れさせるといった行為が該当します。性的虐待
子どもにわいせつな行為をする、またはさせる行為。性的いたずらや性行為の強要、ポルノグラフィーの被写体にすることなどが含まれます。ネグレクト(育児放棄)
保護者としての監護を著しく怠る行為。食事を与えない、病院に連れて行かない、長時間放置するなどがこれに該当します。心理的虐待
子どもに対して暴言や無視などの行為を行い、著しい心理的苦痛を与える行為。親の面前での暴力行為(面前DV)もこれに含まれます。
マルトリートメントという広がりを持つ概念
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