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やる気のある若手職員が離職しないためにできることを考える
児童養護施設は、子どもたちの生活と未来を支える大切な現場です。ここで働く職員の熱意や努力は、施設の支援の質を左右する重要な要素といえるでしょう。
しかし現実には、やる気に満ちた若手職員が、志半ばで施設を去るケースが後を絶ちません。この状況にどう向き合い、何が改善できるのか。今回は、施設職員の働きやすさに焦点を当て、考えてみたいと思います。
若手職員の離職を招く現場の課題
まず、やる気のある職員が辞めてしまう背景にはどのような課題があるのでしょうか。
新しい挑戦が受け入れられにくい現場
「リスクがある」「前例がない」といった理由で、新しい試みや提案が否定されてしまう現状があります。挑戦が難しい環境では、若手職員の意欲が徐々に削がれてしまいます。業務負担の大きさと孤独感
人手不足による過剰な業務負担や、職場内でのコミュニケーション不足が、職員に孤独感や疲労をもたらしています。自己成長を感じにくい仕組み
自分の仕事の成果が見えにくく、スキルアップの機会も限られている。そうした状況では、職員は「ここで働き続ける意味」を見失いがちです。
ふなちゃんの発信に見る可能性
この問題について考える際に、私が注目したのが、元児童養護施設職員であるふなちゃんの取り組みです。現在、ふなちゃんはフリーランス保育士、ベビーシッター、そしてインフルエンサーとして活動されています。
ふなちゃんは、自身のSNSを通じて、施設職員としての経験や社会的養護の課題について発信を続けています。その言葉には、現場での経験をもとにしたリアルさと深い共感があり、多くの人々の心を動かしています。
たとえば、千葉県市原市の児童養護施設「平和園」さんのInstagramをふなちゃんが紹介した際、彼女の発信をきっかけに多くの人が平和園さんの取り組みに興味を持ちました。そして、それが採用活動につながったのです。
ふなちゃんのように、現場の声を外に届ける取り組みは、施設の課題を解決するきっかけにもなり得ます。職員の「価値」が外部で認められることが、施設内の職員の働きやすさにも好影響を与えるはずです。
現場の文化を変えるためにできること
やる気のある若手職員が、意欲を持って働き続けられる職場を作るためには、現場の「文化」を変えていく必要があります。私が考える具体的なポイントをいくつか挙げてみます。
1. 挑戦を受け入れる文化を育てる
若手職員の提案や意見を前向きに受け止めることが重要です。「やってみよう」という姿勢が現場全体に広がれば、職員のモチベーションが向上します。
2. 働きやすさの改善
業務量の見直しや適切な休暇の確保、職場での風通しを良くする努力が欠かせません。小さな改善の積み重ねが、職員の満足度向上につながります。
3. 成長できる環境を整える
研修やキャリアアップの仕組みを整えることで、「ここで成長できている」と実感できる職場を目指すことが大切です。
4. 外部の視点を取り入れる
ふなちゃんのような外部の視点や経験を取り入れることは、新しい発想や仕組みを取り入れる良いきっかけになります。外とのつながりが増えれば、職員にも新たな刺激が生まれるでしょう。
職員の働きやすさを支えることが子どもたちの未来を支える
児童養護施設で働く職員一人ひとりが、自分の仕事に誇りを持ち、意欲的に働き続けられること。それは、施設全体の支援の質を高め、結果として子どもたちの未来を支える力になります。
ふなちゃんの発信から学ぶように、挑戦する人を支え、声を外に届ける努力を続けることが、職場の文化を変える第一歩になるでしょう。小さな変化が、やがて大きな変革を生むことを信じています。
私たちがまずできるのは、「現場を良くするために、自分がどう関われるか」を考えること。そして、できることを一歩ずつ行動に移していくことです。あなたも、職員の働きやすさを考え直すための第一歩を踏み出してみませんか?