1/24 ニュースなスペイン語 Exclusión social:社会的排除
社会的排除とは個人や集団が様々な理由によって、社会から置き去りにされてしまった状況を指す。
コロナによってスペインの社会は大きな打撃を受けたが、中でも、16~34歳の若者の、そして、特に女性はひどい。
今、若者たちは「前例のないショック(shock sin precedentes)」を受けているとも評され、「激しく(intensa)」そして「多方面に及ぶ(multidimensional)」排除が若者たちを苦しめているという。
約2700万人に及ぶ若者たちが社会的な排除の影響を受けているのだが、その内の約半数である1400万人の若者が「職が不安定(inestabilidad laboral ; precariedad laboral)」なので、「将来設計(proyecto de vida)」が立てられないーー。
19歳のある少女の談話がスペイン国営放送(RTVE)のニュース(noticia)に載っていた。
私はもう勉強を続けることができません。だって、無理だから。家の手伝いをしなきゃ。母は清掃員で、月400ユーロ(約5万1000円)のお給料。父とは離婚したから、生活のためにはもう何も頼れないんです(Dejé de estudiar porque no podía permitírmelo. Tenía que ayudar en casa. Mi madre es limpiadora y gana 400 euros al mes. Desde que se divorció de mi padre ya no nos da para vivir)。
この少女は、現在、10歳の双子の弟たちと母とで、祖母の家に暮らしている。「弟たちには何一つ足りないものがないようにしてあげたいんです(le gustaría que no les faltase nada)」と語る。そして、「家に食べ物がなくて、数日間、おなかがペコペコだった時もあるわ(Hay días que he pasado hambre y no había comida en casa. )」とも加えた。
デジタル格差(brecha digital)ーー。家にWifiやパソコンをはじめとする整備が整っていない家庭が多い。社会的排除の状況にある家庭の約半分が、デジタル社会から置いてきぼりになってしまっている。特に地方(España rural)にこうした傾向が顕著だ。また、「21世紀の新しいタイプの文盲(nuevo analfabetismo)」とも表現される。かつては、教育が受けられない、筆記用具などの勉強道具が買えない、などの理由で、文字を読むことができない人たちがいたが、そうした文盲の人たちに、現代の困窮社会を例えているのだ。文字がかつてのように読めないというわけではないだろうが、今を生きるのに最低限必要なPCの操作やデジタルの知識が不足している。当然、情報の収集量も変わってくるだろう。事実上、文字が読めていないのに等しい。
戦中・終戦直後の話ではない。2022年、今現在の話だ。
「忙しい」などと嘆くことなかれ。忙しいながらも自分の家でネットを使って、仕事をしながら、生活ができていることを感謝しようーー。まずは自戒を込めて。
写真はデジタル格差を指摘した記事に掲載されていた挿絵。記事は2015年に書かれたものだった。実はデジタル格差は今日昨日始まった現象ではないし、新しい格差でもない・・・。