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11/4 ニュースなスペイン語 Tumbas sin flores:花のないお墓

噴火(erupción)が徐々に収まりつつあるラ・パルマ島で「諸聖人の日(Todos los Santos)」を迎えるにあたり、一面溶岩と化した墓地(cementerio)に、軍のヘリコプター(helicóptero de Ejército)が、空中から花びら(pétalos)を投下した。止むに止まれぬ献花(ofrenda floral)の新しい形だ。

しかし、スペインには、誰も花を手向けに行かない墓地(tumbas a las que nadie lleva flores)がある。

そこに眠る(enterrados)のは、無数(公式の数字(recuento oficial)はない)の、しかし、生前はひとりひとりに名前と歴史のあった人たちだ。彼らは皆、スペインに来る途中、大海に散った移民たち(inmigrantes)だ。

多くの移民たちが命を落とすジブラルタル海峡(Estrecho de Gibrartar)付近に、そのお墓はある。お墓とは言っても、故人の名前は刻まれていない(sin nombres)。

民間団体「国境を歩きながら(Caminando fronteras)」の推計によると、2020年は、およそ、2170名の移民が命を落とした。前年比で約150%増加したという。 

もっとも、彼らは、遺体(cuerpo, cadáver)とはなったが、見つけてもらえた人たちだ。

モロッコ、セネガル、モーリタニア、ガンビア――。多くの移民の出身地だ。ジブラルタル海峡などを超えて、スペインを目指すが、とてつもない長い道中(excesivamente largo)、多くの船が遭難する。しかし、情報不足などから遭難にカウントされないことすらある。これを、「見えない遭難(náufrago invisible)」と言う。行方不明者(desaparecidos)の数は推計すら難しい。

写真はジブラルタル海峡付近にある霊廟。下の方には、一般の人たちの「くぼみ(nicho)」があるが、上の方には、ただ「モロッコからの移民(inmigrante de Marruecos)」としか書かれていないくぼみがある。花をたむけようにも、届かない。せめて、最上段から祖国モロッコが見えると良いのだが…。アーメン。