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お椀
お椀を買い替えた。
思えば、かつては、台所のものを、好きなもので埋め尽くすのが好きな時期があった。
初めて、自分のお金で少しずつ、
ヘイワの圧力鍋を買ったり、
ストウブを買ったり。
少しずつ、永く使えるものを、
大切に使いたいと思うものを、
と、思っていた。
にもかかわらず。
いま、家にあるお椀が、お茶碗が、
どうにも気に入らないということに気づいた。
それは、たまたま待ち時間で、
時間潰しで入った雑貨屋。
「あ、そういえば、お茶碗が気に入らないんだった」
と、ふと思った。
でも、目についたのは、お椀。
なんともいえない日本の色が、いいな、と思った。
お椀を決めてから、お椀に合うように、茶碗とお箸も選んだ。
なんだろう、このワクワク感は。
お椀と出会って、茶碗とお箸をあつらえただけなのに。
ただそれだけで、ほかほかと、温かいものが流れてくる。
そうだ。
最近、こういう出会いって、なかった。
優しい雑貨屋の店員さんに、さらにほっこりして、帰路につく。
そして、
帰宅して、茶碗とお椀を洗う。
あ、これだ。
なんとなく、
なにかがまわりだしたような、
そんな気がした。