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アルツハイマー軽度認知症(MCI)を改善させる鍼灸のハリ 筋肉と脳の関係 第3回

はじめに

今回は鍼灸施術のアプローチでアルツハイマー型認知症(軽度認知障害のMCI)の改善が見込める方法を説明します。
対象は早期の認知症で軽度です。 即効性がある短期的な対応法です。

MCIに対するハリ施術の効果

アルツハイマー型認知症は20年ほどの長期間で作られる病です。それで早期や軽度の認知症といっても脳内ではしっかり進行しています。脳の萎縮が進行しています。一種の脳の老化です。 本来は長期的視野で認知症を予防する必要があります。

しかし「なんだか最近急に短期記憶力が悪くなった」、それを家族や本人を取り囲む人が気つきます。その短期記憶力を何とかしてあげたいと思われます。 その時に活躍するのがハリ施術です。

ハリ施術の狙いどころ

首の筋肉のコリが血管を圧迫して低下した脳への血流をハリ施術で増やします。 そして脳の活動を高めて、短期記憶力を高める作戦です。 
単なる対処療法に留まらない理にかなった施術です。 

具体的な効果

具体的な効果としては一時的に脳の血流が高まり短期記憶力が改善します。 家族の方が見れば明らかに分かる変化です。 後期高齢者の数人の患者さんにこの施術を行って、家族様に改善を感謝されました。

多くの高齢者は首の筋肉や肩の筋肉が凝って(部分的に筋肉が固くなる)います。 その筋肉のコリにハリをして筋肉の柔軟性を高めると、特に首の柔軟性が高まると脳への血流が増えます。 同時に脳の老廃物の排泄も高まります。 認知症の進行が多少遅くなります。 

限界

認知症は一種の脳の老化現象とも言えます。 それでハリ施術だけでなく食事や運動などの生活習慣を変える必要があります。 

しかし後期高齢者で軽度認知障害のMCIがなった時点で、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病に侵されている事が多いです。 食事や運動などの改善提案をしても体力と気力の不足、介護の方も手が一ぱいで、今まで通りの生活がしたいと実行が難しいのが実情です。

それでハリ施術だけでだましだまし、認知機能の一時的な改善や大きな認知機能の低下の先延ばしをしている様な事になっています。 それだけでも本当は凄い事がハリ施術で出来ていると思っていますが、現実の前にショックを受ける事も多いです。

私の鍼灸院に筋肉疾患で来られる60歳以下の若い患者さん達は、みんなスルスルと治っていきますが、同じ施術法をしても高齢者となると効果が限定的になります。 

遅くとも悪くなる前に早く治療院に来て、体質を改善して病気に成りにくい身体や、認知症に成りにくい身体を作って下さい。

特に中高年の男性に言いたいです。 定年退職したら、身体に筋肉に深く刻まれた長年の会社勤めのストレスを取り除くために鍼灸院に来て下さい。
人生100年が実現できる身体に生まれ変わります。

前回の記事から

前回の記事「アルツハイマー認知症の予防 筋肉と脳の関係 第2回」では、①は、(アミロイドβとタウ蛋白質)を有効に排泄できる方法があれば、アルツハイマー型認知症の改善が見込める可能性が分かりました。 

それと②は脳の老廃物の排泄には脳脊髄液が関わっている事も分かりました。

上記の①と②を有効に活用して、鍼灸のハリ施術のアプローチを説明します。

脳の老廃物排泄機構

シンプルに説明すると、睡眠中に脳の隙間が広がります。 そして脳脊髄液がその隙間流れて脳の老廃物(ゴミ)を洗い流してくれます。

また交感神経の興奮が抑えられるとノルアドレナリンの分泌が減ります。すると脳のグリア細胞の体積が減り、脳の隙間が広がります。 

これから分かる事は、脳のゴミの排泄を高めるには、深い睡眠と交感神経の興奮を抑える鍼灸施術が必要です。

最近の脳医学の学術記事
慢性的な脳の血流低下が脳内炎症を引き起こす

先に説明した、脳脊髄液による脳のゴミ排泄を高める為の 「深い睡眠と交感神経の興奮を抑える。」があります。 

その事以外に以外のもう一つの医学的なよりどころがあります。

それは:
慢性的な脳の血流低下が脳内炎症を引き起こす。 それが認知症、中枢神経変性疾患や精神疾患に関係するという内容です。

キララ鍼灸院で行っている首のコリを取る施術を、応援しているような学術記事です。 京都大学の白川 久志准教授が医学学術誌の「Journal of Neuroscience」2018年3月9日に掲載されました。*1)

その学術論文では

慢性的に脳の血流量が低下し、酸素や栄養が脳へ十分に行き届かなくなることは認知機能障害の発症・病態増悪因子の一つであることが指摘されてきましたが、その病態メカニズムは詳しくは分かっていませんでした。

それを解明すると、慢性的な脳血流の低下が、脳の免疫細胞であるミクログリアの過剰な活性化、中枢神経系の過剰な炎症(脳内炎症)、白質部分の傷害が観察され、認知機能障害が起こっている。

学術論文との共通性

病気に対する解釈は少し違いますが、首のコリを取って脳への血流の改善を行います。

具体的な施術方法

アルツハイマー型認知症(軽度認知障害のMCI)の改善の為の施術法ですが、実は特別な施術は行っておりません。 キララ鍼灸院で行っている普段通りの施術法です。 

筋肉のコリを取る

普段通りの施術は筋肉の異常点を見つけて(筋肉のコリ)、コリをハリを打って取り除く。  

身体の血流が改善すれば、身体が変わり、心も変わる」の考えに基づき、脳を含む身体全体の血流改善に注力しています。

それが、結果として深い睡眠を作り出します。 筋緊張を緩和すると交感神経の過剰興奮が抑制できて、ノルアドレナリンの分泌が低下して、脳の支持細胞であるグリア細胞の体積が減って、脳の隙間が広がって、脳脊髄液によるゴミの排泄が高まります。

キララ鍼灸院の施術の紹介

キララ鍼灸院の施術の概要を説明すると:

慢性的なひどい首コリ、ひどい肩コリ、肩甲骨回りのコリ、背中コリ、腰のコリなどを、徹底的に、本当に徹底的に取り除きます。

筋肉のコリを、縦、横、高さを考えて、広く立体的に施術します。 すると広い範囲の血液の滞りが改善して、温かくなり、柔軟性が高まります。

首のコリが取れると、脳の血流が改善します。 肩、肩甲骨回りのコリが取れると、胸郭(肺を支える骨格)が広がり、呼吸が深くなり、酸素摂取量が上がります。体全体のエネルギーがアップします。

脳への血流改善と酸素摂取量(呼吸)の改善の、2つの施術を最重要視しています。

ハリ施術の詳細はキララ鍼灸院のホームページで詳しく説明しております。
そちらをご覧下さい。
「キララ鍼灸院の適応症状と効果の目次」

まとめ

軽度認知障害のMCIのレベルであれば、鍼灸のハリ施術で認知症の改善はできると考えています。

鍼灸のハリ施術をして慢性的なひどい首コリ、ひどい肩コリ、肩甲骨回りのコリなどを取り除くと、脳の血流が改善できます。 

脳に行く動脈だけでなく、脳脊髄液が洗い流したゴミは頚静脈に繋がってゴミが排泄されます。

資料

1) 脳の血流低下が中枢神経変性疾患や精神疾患に関係する

「Journal of Neuroscience」日本時間2018年3月9日掲載
京都大学大学院薬学研究科 白川 久志准教授

慢性脳低灌流状態から認知機能障害に至る病態メカニズムは、アルツハイマー病や血管性認知症をはじめとする認知症はもちろんのこと、他の中枢神経変性疾患や精神疾患にも共通していることが示されております。

記事のオリジンについて

この記事はキララ鍼灸院のホームページの連続記事から1章を抜き出しました。 その記事を note に転載しました。 気がついたら、大きく加筆を行っていました。

キララ鍼灸院のホームページにあるオリジナルの連続記事は2017年6月に書いたものです。 全部で4章の記事プラス補足記事で作られています。それは2万文字の長い記事で、400文字原稿用紙に換算すると50ページです。 それがホームページでは1ページになっていました。

オリジナルは以下のURLで読めます。

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