目を惹く表現を追い求めて。ネオン作品誕生秘話|くろろんさんインタビュー #9
昨年12月に開催した「じだいのはざま展vol.5」。
その会期中に行ったアーティストインタビューを掲載します。
今回はくろろんさんのインタビューです。
主催と対談形式で、ネオン作品の誕生秘話や“肩書き”について深掘りしました。
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ネオン作品の誕生秘話
───くろろんさんはイラストと「ELファイバー」という光る装置を組み合わせた作品をつくっていらっしゃいます。この表現にたどり着いたきっかけはなんだったのでしょうか。
くろろんさん(以下敬称略):そもそも活動を始めた当初からこのネオンのような作品をつくっていたかというと、そんなことはなくて。2021年に初めて参加した展示には、よく自分がネットに上げていたイラストをただキャンバスプリントして持っていきました。そこに一緒に参加されていた他のイラストレーターさんの絵力がすごく強くて、一目見たらそればっかり見てしまうような魅力がありました。逆に自分の絵が見劣りしているなという感覚がありました。
それから、展示で目を惹くにはどうしたらいいのかをずっと考えていました。そこで僕がもともと好きだったネオンと、イラストを組み合わせている方が自分の知る限りはいなかったので、やってみようと思い立ってすぐに行動に移しました。
───どうやったら目を惹くのか試行錯誤した結果、これらの作品が生まれたんですね。くろろんさんは蛍光色やパキッとした色使いがすごく特徴的です。今日も素敵な蛍光オレンジのお洋服を着ていらっしゃいますね。もともと蛍光色がお好きだったんですか?
くろろん:色使い自体は、いろいろな流れは経ているんですが、僕が好きで尊敬している秋赤音さんというイラストレーターさんに影響を受けました。秋赤音さんは原色やパキッとした色使いをされていて、それでいて絵がまとまっていて。かっこよくてどこか和風なイラストが僕に刺さりました。
今も活動されている方なんですが、僕が秋赤音さんを知った当時は幻想的できれいなイラストが流行っている傾向がありました。秋赤音さんのような大胆な色使いもいいんだと知り、そのほうが自分にあっていると思って色使いがどんどん派手になっていきました。
───当時のファンタジーで繊細で書き込みがすごくて・・・というのが主流のなかで、秋赤音さんのその大胆な色使いに惹かれたんですね。
優柔不断だった自分が即行動できるように
───じだいのはざま展にはいろんな作風の作家さんに出展していただいています。くろろんさんはイラストレーターでもありアーティストでもあると思うんですが、ご自身の肩書きについてどうお考えですか?
くろろん:仕事として受ける分にはイラストレーターとして受注することが多いんですけど、僕としてはお願いされたものを自分の手で再現して渡すという作業をするだけはちょっと違うなと思っていて・・・。やりたい表現で作品をつくっていくという意味ではアーティストの側面もあると思っています。
僕は肩書きを聞かれると「アーティスト兼イラストレーター」という風に2つの肩書きを言ったりします。自分のなかでどちらかに定めると、後々自分が苦しくなってくる気がして。なのでこのじだいのはざま展のように、曖昧さを残してちょうど狭間にいるような状態です。
───自分はどっちだって方向をつけるんじゃなくてゆらゆら揺られながら曖昧な状態で活動をしてらっしゃるんですね。じだいのはざま展と通ずるところがあって嬉しいです。くろろんさんの活動を通して伝えたい思いはありますか?
くろろん:自分自身が優柔不断なところがあって、何かやるにしてもいろいろ悩んで立ち止まってしまう人間でした。でもさっき話したネオンの作品は、衝動的に“これはつくらなきゃダメだ”と思ってつくりはじめました。結果としてこういう展示に参加できるようになりました。
だから自分がやってみたいと思いついたものは、一旦悩むのはやめてまずつくりはじめてみるっていうのが大事だということを伝えていきたいです。今展示しているものも完璧だとは思っていなくて、完璧じゃなくても人に見せられるクオリティを突き詰めつつ、創作にしても仕事にしてもやっていけたらいいということを伝えたいです。
───優柔不断だった自分が、活動によってすぐ行動できる自分に変われたんですね。
くろろん:そうですね。制作中に悩むことはたくさんあるんですけど、別にそれ自体は悪いことではないと思っています。一旦動きはじめるということができるようになったのがいいことだと思います。
───アートを通して自分も成長するし、見る人の心も動くしで相乗効果が起きていますね。
大好きなアパレルに挑戦
───最後に、これから挑戦したいことがあればお聞きしたいです。
くろろん:今回展示しているTシャツは、今年の6月ごろからシルクスクリーンでつくりはじめました。これが結構楽しくて。アバレル作品って頑張ったら自分でもつくれるんだなと気づきました。次はアパレル小物、例えば帽子などをデザインできたらなと思っています。
───このTシャツはシルクスクリーンでご自身で刷られたんですか?
くろろん:そうです。自宅で型をつくってインクも買ってやってみました。
───デザインするだけじゃなくて一点一点手刷りなところに愛を感じます。これからアパレルが増えていくのを楽しみにしています。
インタビュアー:川口 由真
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