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アート初心者の美術館巡り:番外編 ~課題図書はこれ!~
先日「美術館レポ」をお送りしましたが…。
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美術館も好きだし、「アートを楽しみたい!」という欲もある。
けれど、いざ美術館に足を踏み入れると「ここで過ごしている自分」にちょっとくすぐったさというか…居心地の悪さというか。
「本当に私、楽しんでる?知ったかぶってない??」という疑問(疑念?)を抱いておりました。
そこで、先日の「フェルメール展」に向かう時にバッグに入れて携えたのが、山内マリコさんの「美術館は一人で行く派 展」。
作家で大阪芸術大学卒という経歴を持つ山内さんが、自腹を切って様々な展覧会をめぐった様子をエッセイに綴った本書。
1展示につき見開き2ページで完結するというボリュームも手伝って、すいすいと読み進められます。
もちろん、実は深い考察も差し挟まれているのですが、なによりそれを重くなく、ポップで小気味よく展開してくれるので、本当に面白い!
気になるタイトルや展示のページから読めるのも◎です。
実生活でもよくありません?
日頃いろんな話をしている中で「この人、この物事をこんな見方してるんだ!」とハッとさせられることとか、「こんなところに面白みを見出す人がいるんだ!」と知ったら次の瞬間に世界の解像度が変わるとか、そういう経験。
この本はまさにそんな感じ。
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「アートはどうやって楽しんだらいいの?」という疑問に「それはね…」と真正面から答えるのではなく、「この展示のここがこう面白くてさ~」とか、「こんな風に思って入ったら思ってたのと全然違ってさ~」とか……。経験談を見ていくうちに、答えはよくわからなくても解放されていく感覚。
美術館に行ったからって、目の前の絵そのものを楽しまなくてもいい。来ている人を観察したっていいし、画家の人生や人間模様に面白みを感じたっていいんだ!
なんなら山内さん、「ティム・バートンの世界」というエキシビションが開催された「森アーツセンターリャラリー」に集まった人たちをこんな風に言っちゃってますからね。
こじゃれた若者が「マストっしょ」みたいな顔して詰めかけてました。ふひぃ~。なんかもう、既に嫌な感じです。客層が好きじゃない!
PR案件で「これ、おすすめです♡」って言ってるSNS投稿が腐るほどある現代、自腹でめぐるからこそのオブラートなんて存在しない真正面からの物言いに心地よさを感じました♡
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さて、そう思って踏み込んだフェルメール展は心が自由で面白かった!
片っ端から絵を見なくたっていいし、絵の周りの壁を見たっていいし、「音声ガイドって罪だよね…」と素直に思ってもいい。
アートの楽しみ方の参考になるのはもちろん、疑似的にアート散策をできるようなこちらの一冊。実は図書館で借りましたが、自腹購入決定です!
2021年12月、WordPressでWEBサイト「じぶん実験室」を立ち上げましたが、2023年6月より、noteにお引越しを始めました。
2021年12月~2023年6月の記事は、WEBサイトに掲載していたコンテンツをそのまま移行したものです。