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第6話 少年との出会いから、過去の記憶がよみがえる

手首に小物をつけると、なぜか症状が軽減する。
私の身体は、少量の重りによって、バランスが取れるようになるのだろうか。
それによって、症状が軽減するのだろうか……。

これが前回までのお話です。




第6話 少年との出会いから、過去の記憶がよみがえる



顎の治療を試すと、確かに改善がありました。
自力で立つことも難しい状態だったのに、立てるようになったのですから。声も出しやすくなる。

けれど、一定のところまで行くと、それ以上の改善は望めませんでした。

そこで次は、首のカイロプラクティックを試すことにしました。
顎の治療をきっかけに、私はカイロプラクティックに興味を持つようになりました。
カイロプラクティックでは、自然治癒力を大切にしています。
全身の骨格が整って神経伝達が良くなれば、心身は自然と治癒に向かっていくというのが基本理念。

試してみると、これも一定の成果がありました。
けれど、辛いことに変わりない。

私の身体の問題は骨格ではないのだろうか。
骨格を歪ませる原因が、他に何かあるのだろうか。

じわじわと、そんな疑問がよぎるようになりました。

それでも、家の周りを少し歩けるくらいにはなれていました。
徐々に、脳と身体との神経伝達がよくなっていたのかもしれません。

ただ、精神は不安定。
散歩は辺りが暗くなってから行くようにしていました。

2014年12月。
その日も夕方以降から、散歩へ。
そこへ突然、キックボードに乗った少年が飛び出してきたのです。
すごいスピードで私の前を横切るように。
驚いて、全身が硬直しました。

しかし問題はそれだけではありませんでした。
少年が乗っていたキックボードには、きらびやかな電飾がついていました。私は、暗がりの中でその光をまともに見てしまったのです。

その瞬間、頭が真っ白になって、思考が一瞬停止しました。
懐かしい感覚。

当時からさかのぼること8年前の2006年、12月。
私は、眼科で検査を受けました。
左目の視界に違和感を覚えたからです。

その時、眼底検査を受けました。
眼底を撮影して、眼球の奥を診るためのものです。

検査が始まりました。
するとピカっと強い光がたかれて、思考が一瞬停止しました。
そうして始まったのが、眼瞼けいれんでした。

私はこの8年間、何も変わっていなかったことを突きつけられました。
むしろ、悪化していた。
最初は瞼だけのジストニア症状だったのに、全身に広がってしまった。

顎や首の治療で、一定の改善はありました。
けれど、本質は変わっていなかった。
8年前も今もこれだけ光に反応するということは、私の問題は脳にあるんだ。

認めざるを得ませんでした。

何か脳に関することで、見落としていることはないだろうか。
うまく働かない頭で記憶をさかのぼりました。

視点を変えなければ。
過去までたどって根本に目を向けなければ。
そうでないと、どの治療を受けても結局また同じになってしまう。

思い当たることがあった。
後頭部を強打して、脳震盪を起こした記憶がよみがえってきました。

それは小学校に入るか入らないかくらいの頃だったと思います。
父親とプールに遊びに行って、プールサイドで走ってしまって、脚を滑らせ、思いっきり後頭部から倒れてしまったのです。

首の治療をしている場合ではない。
病院を変えないと。
でも、どこに行けば良いのだろう?
ふと、1件の治療院が頭に浮かびました。

(つづく)






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頑張りたい理由がある人へ | ジストニア体験者・研究家 永松ひさこ
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