不調を言葉にできなくて困っている人へ
今日のブログも、最近読んだ本から発想を飛ばして書いてみようと思います。
辻村深月さん「あなたの言葉を」
この本は、本屋さんでたまたま手に取って、「はじめに」を読んで惹かれた本です。その中で、辻村さんはこんな内容のことを書いています。
(かいつまんで紹介させていただきますね)
深く共感しました。ただ、私の悩みは、辻村さんのそれとは少し違っていて、自分の心や身体のうっとうしさについてが中心でした。
私は、幼い頃から心身に違和感を覚えていました。でも、誰にも伝えずに大人になりました。伝えたのは、25歳以降。ジストニアになってから。どうして言わなかったのか? 親にもそう訊かれたし、自分でも自問自答しつづけました。けれど、これ!という理由がなかなかまとまりませんでした。
なぜ言わなかったのだろう?
私が言葉にできなかった理由
改めてこの場を借りて、整理してみようと思います。先ほども書いたように、私は幼い頃から心身の違和感を覚えていました。そうは言っても、小学校低学年頃までは割と元気でした。運動もできて、活発な女の子。不調を挙げるならば、頭痛、耳鳴り、肌の過敏さ、便秘、寝つきの悪さあたりでしょうか。
でも小学校中学年頃から、心身が重く感じるようになりました。だるい。重い。うっとうしい。家庭環境にも、先生にも、友達にも、何不自由していませんでした。なので、ときどき具合が悪くなるだけなら、誰かに伝えられたはず。
けれど私の場合は違いました。常にだるい。重い。うっとうしい。だから、伝えられなかった。そして、伝えられないから、臭い物に蓋をする選択をしたように思います。
「自分」の身体が感じる本音を押し殺し、頭の中の「自分」には何も問題ないよと言い聞かせ、心身ともに無視して生きていく選択をしたのです。そうして、そのまま大人へ。
今、子どもだった頃の感覚を探ってみると、いろいろな感情や思考を同時に抱えていた気がします。
1つ目は、辻村さんと似た理由。違和感は覚えているけれど、それが分からなくて言葉にできないジレンマ。
2つ目は、きっとみんなも同じように疲れているのだから、自分も弱音を吐かず頑張らないと、と自分を鼓舞する気持ち。
3つ目は、自分は元気だから問題なんてあるはずない。気にしすぎる性格なんだという、自己否定。
4つ目は、自分の感覚に意識を向けてしまうと、怠さがいっそう目立ってしまう。それを避けたいと思う、自己防衛。
5つ目は、自分の感覚を無視しないと、みんなと同じスピードで生きていけないと無意識的に抱く、焦り。
改めて書き出してみると、大人でもパンクしそうな状況です。それを、小さな体で抱えていたのだと思うと、本当によく頑張っていたなと思います。言葉にできなくて当然だったな、と。
言葉にできなくて困っている人へ
辻村さんは、大人になって子どもだった頃の気持ちを表現できるようになったと言います。でも、心身の違和感の場合、大人になっても表現するのが難しい気がします。
身体が成長しても、心が成長しても、つきまとう心身のうっとうしさは変わらないから。むしろ増えていくから。問題は、日常に溶け込みながら、ジワジワとややこしくなっていくから。
私も、40歳を過ぎているのに、本当につい最近まで自分の感覚の深いところまでを言葉にすることができませんでした。そんな私が言葉にできるようになったのは、なぜか? それは、過去までさかのぼって症状や出来事を整理したからだと思います。
いつから具合が悪くなったのか?
どんなことをしてから、悪化したのか?
そういうことを客観的に見る時間を持ったからです。そうすることで、大まかにでも自分を理解できるようになったのだと思います。
どうして子どもの頃から具合が悪かったのか。
なぜジストニアにまで発展してしまったのか。
そういう流れを大よそ捉えることができるようになりました。
今、このブログを読んでいる方は、きっと大人の人がほとんどなはず。だけど、以前の私のように、自分の身に起きている不調が理解できない。だから、他人にも理解してもらえない。そして、孤独になっている人が多いのではないかと思います。
体の感覚は、感情以上に伝えるのが難しいと感じています。本当に、本当に、難しい。私も、ブログで感覚を言葉にする時は、他の記事を書く時よりもすごく時間がかかります。
でも、そうして書いたブログが、少しでも伝える手助けとなれたら。
あなたが「あなたの言葉を」持てる手助けとなれたらいいなと思います。
この感覚、自分と似ているな。私の症状も、こういう経緯で悪くなったのかもしれない。他人に説明することを諦めていたけれど、この伝え方ならば伝わるかもしれない。
そんな風に思って、少しでも人との壁を減らしていけますように。
少しでも原因究明につながりますように。
少しでも孤独になる患者さんが、減っていけますように。
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