読書メモ25
ことしもよろしくおねがいします。
2024年は「最近読んだ本でおもしろいのあった?」という質問に対して、スッと答えられるようにもう少し深く、じっくりと読めるようになりたいです。
いままでよりも少しだけ自分が感じたことを記せるようにしたいです。
121.むかしむかしあるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ
社会が求める上昇志向、成長志向に疲れてませんか?ありのままを良しとする、日本の文化をヒントにしよう
今回から本の帯をイメージして小見出しをつけてみます。
予防医学の研究者である石川善樹さんとアナウンサーの吉田尚記さんの著作
身体的、精神的に健康な状態であるだけでなく、社会的経済的に良好に満たされている状態を指す「ウェルビーイング」について、日本の文化を通じて読み解いていく本。日本の民話や古典、アイドル文化から日本式のウェルビーイングの本質に迫ります。
印象的だったのは、タイトルにもあるように、「昔々あるところに〜」でお馴染みの日本の昔話を読み解いていくと、上昇志向や成長志向とは違った、ありのままを肯定する幸せが見えてくるところ。
自分自身のウェルビーイングは何か、それぞれ違うし、いくつあっても良いので、成長したい時は上昇志向になればいいし、疲れたらありのままを肯定できれば良いですよね。
あと「推し活」の幸福度が高いことにも触れられてた。推しがありのままで在るだけでありがたいというか、幸せになっていく、心が晴れていく。
個人的な考えだけど、きっと自分の恋人や子供を「推し」にすると身近すぎてよくなくて、触れられない距離感であることが大切なのかな。
無責任に応援できる距離感。崇拝できる距離感。まさに神様!!
自分は高校生〜大学1,2年生の頃、ももクロにどっぷりハマってて、特に受験生の頃は完全に心の支えだったので、推しがいる幸せのとこにはすごく共感した。文房具とかにメンバーカラーを入れ込んでお守り代わりにしてた。
夏菜子ちゃん結婚おめでとうございます。
最近、周りの友達の頑張りや活躍を見て、自分はどうだと思ってしまうこともあったけど、新年早々良い本に出会えたかなと思います。
122.ミシンと金魚
いつか自分の人生を振り返ったとき、何が思い出されるんだろう
認知症のおばあさんが嫁やヘルパーからの介護を受けながら生活する中でこれまでの壮絶な人生を振り返る話
読みながら、亡くなった祖母にもっと良い言葉をかけられたんじゃないか。老人ホームで過ごしている祖父はどういうしているだろう。などと思い、立ち止まることが何度かありました。
作品としては介護職として働く作者だからこそのリアルが散りばめられているような気がして新鮮。でもあくまでも介護する側の視点であって、介護される側の本当の視点はどうかわからない。そう思うとハンチバックのリアリティはすごかったな。
高齢になって介護を受ける立場になったとき、今までは自分でできていたことがどんどんできなくなって、情けなさや申し訳なさの中生きていく辛さがあるんだろうな。明らかに周りが気を遣ってくれたり、明らかに周りがお年寄り扱いしてきて嫌な気分になるなることも多いんだろうな。
最近のことはどんどん忘れてしまって、思い出せるのは昔のことばかり。そうなったときに思い出せる記憶が楽しい記憶であればいいけど。
例えば幼い頃の記憶って結構変な場面を断片的に覚えてたりするから、そう上手いこといかなそう。
この作品の主人公は壮絶ではあれど思い出せる記憶がしっかりあるのはすごく幸せなことなのかもしれない。
123.「自分らしさ」と日本語
「ことばでアイデンティティを表現する」について考える。
日本語にはどのような特徴があって、自分らしさの表現にどのように働いているか、敬語や方言、女言葉やオネエ言葉などを詳しくみていきながら考えることができる本。何年か前に一度読んだ本を再読。
日本語の特徴として、同じ内容を伝えるにしても、一人称が私なのか僕なのか俺なのか、や、ですます調なのか、タメ口調なのかなどで、その人の性質を感じることができる。こういった日本語の特徴も時代とともに変わっていくし、良い面もあれば悪い面もある。
実際にそういった視点で研究をされている学者さんが、一般層に向けて書いているような本なので、著者の思想が全面に押し出されているわけではなく、情報がフラットに入ってきて自分で考えながら読めて面白かった。
特に、「女言葉」については著者が別で何冊か本を出されているほど深く研究されているので読んでいて、なるほど確かにと思う内容が多い。
自分は男性であるから、日本語を使うにあたって、女性らしくあるために「女言葉」を押し付けられることはなかったし、もちろん「男なんだからもっと乱暴に話しなさい」なんて言われなかった。言葉の使い方ひとつでも自分にない視点を気づくことになるから、自分が意識していないジェンダーの差は他にも色々あるのだろう。
「女性は〇〇が苦手だ」みたいな決めつけの理論。男性と女性が全く同一であるとは思わないけど、それらの決めつけ理論の多くは、社会がそうさせているのではないか。以前友人がそういっていたのを思い出した。自分もそう思う。
言葉遣いの話で言うと、女らしいから女言葉を使うのではなくて、女らしさという型に都合よく嵌めるために、社会が女言葉を使わせている。そういう視点もある。
文化的な、後天的な圧力はもちろん女言葉だけじゃなくて、国籍や人種みたいな大きなものあるし、兄弟間の差とか、学歴の差とか、いろいろな型がある。まずは型の存在に気づいて、型にはめないように、型にはまらないように、していきたい。
そう言うことを考えていると、子供が成長する過程で親から受ける影響は計り知れない気がする。関わり方ひとつで、子供を型にはめてしまって、可能性が狭まることもあるだろうし。
124.こちらあみ子
素直さと優しさの生きづらさ。純粋さの暴力性。
あみ子とその周り、どちら視点でもキュッとなる一冊です。
今村夏子さんのデビュー作。
今村さんの作品は、「あひる」「むらさきスカートの女」を読んだことがあって、特にあひるの不気味さには衝撃を受けたのを覚えている。
あみ子は優しくて純粋だけど、小学校や中学校の授業をちゃんと受けられないような、少し変わった女の子。あみ子自身の純粋な優しさ素直さに、周りの人が影響を受けて変わっていく様が、面白くも、苦しい。
優しさが、素直さが、空気の読めなさにつながって、自分自身が傷ついたり、周りを傷つけてしまったり。
他人の不注意や空気の読めなさみたいなものを許容できないくらい人に読んで欲しいな。
こちらあみ子とは別に「ピクニック」という短編も収録。
これはもっと人間の悪意を感じるような作品で、怖かった。
誰かを下に見て楽しんでいる人たちは、その自覚なく、むしろその誰かの味方をしていると言う程を周りと自分に馴染ませる。そこが妙にリアルで、嫌だった。本当に。
収録されている2作品はどちらも気分が快晴になるようなストーリーではないけど、自分のこころに刺激を与える純文学として、めちゃくちゃ面白くて大満足でした。
125.たとえる技術
この本は、これから行く旅行先のガイドブックのようだ
みなさんもこの本を読んで「この本は〇〇のようだ」とたとえてみてほしい。
「たとえる」とはどういうことで、どんな効果があって、どんなふうに使えるかについて書かれた本
プロのたとえがたくさん載っていて楽しいし、新しい発見もきっとある。
「郵便受けに自分宛の郵便が入っていたときのような幸せ」
「ドミノが途切れてしまうような距離」
「うまくできた福笑いのようにつまらない」
「公園に忘れられたボールのように丸い」
たとえることで、その場面を想像させてより引き込むような表現ができる。
あんまり直接言わずに遠回しな表現に慣れてる日本語との相性も良い気がした。
和歌みたいな短い文字数で何かを表現するには読者の想像力を使わないといけないし、やっぱり日本語との相性良いに違いない。
「読み終わったらこの本をたとえてみてください」とのことだったので、これから行く旅行先のガイドブックに例えてみたけど、本を本でたとえてる時点で全然ダメって感じ。まるで何も伝わってこないコーヒー豆の味の説明のようだ。
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