読書メモ19
91.#真相をお話しします
本屋で人気ランキングに入ってるのをよく見て面白そうだったので読んだ。
5つの短編ミステリーが収録された1冊
短編だけあって展開も早いし、内容もわかりやすくて、読みやすい。普段あまり本を読まない人にもおすすめできる。
てっきり1冊丸ごと一つの話だと思ってたので、物足りない感じがあったけど、サクッと読めちゃうあたり人気な理由がわかる感じ。
1作品目と5作品目が良かったな。
92.奇跡のフォント
サブタイトルを「教科書が読めない子どもを知ってUDデジタル教科書体 開発物語」
Windowsにも標準搭載されて今では教育シーンだけでなく幅広く使われているUDデジタル教科書体の開発の道のりの話。
今年読んだ本の中で1番面白かった。
著者の高田裕美さんというデザイナーがどういう思いでどういう経緯でフォントを作り上げたか、めちゃくちゃ面白い。
高田さんの物語を辿っていくと、ワープロ以前のフォント作り、それこそ手書きで職人と一緒に作っていた時から現代のフォント作りの歴史も辿れるのも面白い。
フォントって、読むことを目的とした本文書体と、表現やインパクトを演出するディスプレイ書体があるけど、UDデジタル教科書体はまさに本文書体のど真ん中。
教育各所に認められて使ってもらえないと読めずに悩んでいる人に届かないので、いろんな研究者と共同で行った実験などから理路整然と作られて、その中にデザイナーの想いも込められていて、すごく熱い。
93.6人の嘘つきな大学生
爆裂面白かった。真相に迫っていく組み立て方が新しくて、どんどん続きが気になって楽しかった。読後感も良くて抜群に面白かった。
テーマは就活で、最終選考のグループディスカッション中に起こったとある事件をめぐるストーリーで、就活のモヤモヤやある種の異常な空気感が共感を生んでいる。
就活に関して読みながら感想でこれ書こう、と思ったことあったんだけど、面白くてどんどん読んでたら忘れてしまった。
とにかくこの小説は、ミステリーとしてめちゃくちゃ面白い一冊だった。
94.インハウスデザイナーは蔑称か
少し古い本なので、世界情勢などに差は感じるけど、日本のインハウスデザイナーは読みたい一冊。
インハウスとして働いている人が大勢いる中で、なぜデザイナーだけインハウスデザイナーと名乗るのか、それも独立して事務所をやっているデザイナーやフリーランスで活動しているデザイナーに比べて、劣っているような言われ方で名乗っている。
そんな日本のインハウスデザイナーの強みや弱みをジャーナリストの視点で語られているのが面白い。
著者がデザイナーではなくジャーナリストだからこその視点もあって興味深い内容だった。
デザイナーの大切な仕事の一つとして、説得することが挙げられていて、自分の考え(=デザイン)を伝える、説得することが、実は業務の大きな割合を占めていて、そこができない、苦手だ、というのは良くないのではないか。という点は的確だった。故に、「デザインしたけどその後の過程で勝手に修正されたので自分のデザインではない」みたいなのは、自分は伝える、説得する力がありませんと言っているようなもの、と言う意見についてもグサッとくる人も多そう。
95.先生どうか、皆の前でほめないで下さい いい子症候群の若者たち
これもめっちゃ面白かった。文章も読みやすい。
著者は金沢大学の教授の方で、モチベーションなどの研究者
やる気とか、モチベーションとかの観点で著者が関わる学生たちを見て行った時の今の大学生から社会人2.3年目くらいの若者はどのような考え方で何を感じるか、分析が面白い。
やはり、学者が書いているので、論文からの引用や自らの研究からの結論も多く、その辺のコンサル系の人がキャッチーに書く本とは納得感が違う。
基本的な本のスタイルは、教授が同年代(部下に若い世代がいる年代)に向けた「若い子の取説」のような視点で描かれている。
自分個人にも結構当てはまる考え方が、若者特有として統計データ付きで示されていて面白かった。
反対に、自分がいた大学の学科は少し特殊で個性的な人が多かったので、この本で言ういわゆる若者と大学の同期先輩後輩を加えると差を感じるところも多くて面白かった。
最後は、著者なりの現代の若者に対するエールで締められているのも良かった。
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今回の5冊は超当たりでした、おすすめです。